【小説】星の海にむけての夜想曲

星の海にむけての夜想曲
佐藤友哉
星海社
星の海にむけての夜想曲 (星海社FICTIONS)星の海にむけての夜想曲 (星海社FICTIONS)
(2012/07/13)
佐藤 友哉

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夜空を見上げると一面の花。地面には屍体の山。

星の海にむけての夜想曲』本文より


佐藤友哉の『星の海にむけての夜想曲』。
うん、もうこの書き出しがまた佐藤友哉の世界だな、っと。
少し違う世界で、でもいっぱい少女の死体が出てくる。
狂った世界で生きている人たちの当たり前のように花粉で狂って殺し合い、そんな花粉症発症者を殺す人たち。
花粉のせいで地下に潜って生きなければいけなかった人たちというなんとも世紀末的な。
もはや人類に居場所がなく、太陽も月も星もない世界で、地上に出れば殺されるときたもんだ。

ずっと星空を知らなかった人たちの純粋に空を見たい。
登場人物たちのその想いがなんとも美しいねぇ。
狂おしさもあいまって。

tag : 星の海にむけての夜想曲 佐藤友哉

【小説】子供たち怒る怒る怒る

子供たち怒る怒る怒る
佐藤友哉
新潮文庫
子供たち怒る怒る怒る (新潮文庫)子供たち怒る怒る怒る (新潮文庫)
(2008/04/25)
佐藤 友哉

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「解ってるよ。そんなこと、口に出さなくても解ってる。ぼくたちの考えは間違ってない。ぼくたちの行動は正しい。ぼくたちの怒りは当たり前だよ」

子供たち怒る怒る怒る』本文より


8年か9年ぶりに再読。
子供たちと基本的に死体と。
または子供と暴力だったり、性だったり。
大人のいない、大人が頼れない、大人が怒りの対象である世界である子供たちだけの世界。
狭い狭い世界で感じて怒って行動する。

大人になってから、こういう子供らしくない話を読むとよくよく考えると大人や社会に対しての子どもなりの怒りって確かにあったんだよな…
でも大人になると忘れてる。
そして子供なりの世界ってやつをいつの間にか理解できなくなってることこそがホラーだよな…

この本の持つ異常な描写が続く内容を子供視点で見せてくれるというのはなんとも稀有な体験。

tag : 子供たち怒る怒る怒る 佐藤友哉 新潮文庫

【小説】デンデラ

デンデラ
佐藤友哉
新潮文庫
デンデラ (新潮文庫)デンデラ (新潮文庫)
(2011/04/26)
佐藤 友哉

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「お前はなんのために生きている?」
「なんのため」何者かは言葉を繰り返しました。「そうだな……殴りつけてやりたくて生きているんだろうな」
「誰をだ」
「誰もかれもだ」

デンデラ』本文より

佐藤友哉の『デンデラ』。
新たな新境地を見た。

しょっぱなから見ることになる50人もの老女ばかりの登場人物リスト。
それに圧倒されながらも、老女ばかりの中での戦いが描かれる。
相手は自然であったり、熊であったり、老女の中での自分たちを捨てた村と戦う勢力と穏健派との戦いであったり。

今までの佐藤友哉の独自の狭い世界観のものではなく、この時代背景と柳田邦夫の言う姥捨て山の「デンデラ野」の再現と、そこを舞台にしたサバイバルを描ききる筆力に圧倒された。
また、佐藤友哉の文体にある、どこか突き放したような主観でありながら客観性が持てるような文体がすごく効果的だった。

凄まじい生き残りをかけた女同士の戦いであり、圧倒的な自然との闘いは読みごたえ抜群。
これこそが惨劇だ。

tag : デンデラ 佐藤友哉 新潮文庫

【小説】世界の終わりの終わり

世界の終わりの終わり The End Of "End Of The World"
佐藤友哉
角川書店
新現実連載
世界の終わりの終わり世界の終わりの終わり
(2007/09)
佐藤 友哉

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稼いでやる。怖くなってやる。凄くなってやる。賢くなってやる。偉くなってやる。目立ってやる。屠ってやる。支配してやる。
すべてをひっくり返して、すべてを認めさせてやる。

世界の終わりの終わり』本文より

ユヤたんの『世界の終わりの終わり』。
ちょうど絶筆宣言してしばらくたった頃の小説だっただけに、なに面白いもの書いてんの?と当時思ってたっけかなぁ。

作家になるという夢をかなえたものの、世界から拒絶されるかのように本は売れずに絶版続き。
作家として干された若者が主人公。

鬱屈して鬱屈して。
それでも這い上がろうと世間に復讐してやろうと「すごい小説」をひたすら書こうとするその意気込みと若さと閉塞した世界観が素敵!
鬱々したユヤたんの世界の中でも屈指のもの。
そしてたぶん、この時しかこんな小説は出来ないと思う。

自虐のようでいて、どこか文学的。
何者にも慣れないという不安がものすごく伝わってきます。



あとユヤたんはやっぱり脳内とか妹とか書いてると生き生きしてくるように見えるから不思議(笑

tag : 世界の終わりの終わり 佐藤友哉 新現実

【小説】灰色のダイエットコカコーラ

灰色のダイエットコカコーラ
佐藤友哉
講談社
ファウスト連載
灰色のダイエットコカコーラ灰色のダイエットコカコーラ
(2007/06/01)
佐藤 友哉

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空き地があればすぐにコンビニを建てて、無駄にでかいデパートと無駄に広い駐車場があって、楽しいイベントもなくて、面白い人間もいなくて、ただ毎日があるだけで、生活があるだけで、生活だけですべてが終わってるこの町が大っ嫌いなんだ。この町なんて、全部壊れちゃえばいいと思う。みんな死んじゃえばいいと思う。僕は憎んでさえいる。

灰色のダイエットコカコーラ』本文より

ユヤたんの『灰色のダイエットコカコーラ』。
五月病がひどくて、どうにも精神的に下の方まできちゃったから、じゃあこういう時のためにとっておいたこの本を読むべきだと思って読んでみた。


「覇王」であった祖父のようになるために一般の普通で幸せな生活をしている「肉のカタマリ」を見下し憎悪し、自分は特別なのだと思い覇王たらんとする19歳の話。

自分は普通じゃない、
普通じゃない何かを持っている、
何かをできるはず、
少なくとも自分は特別であるはずだ、
それを誰もわかってはくれないだけだ、なぜならそいつらは肉のカタマリだから。

とまぁ鬱屈しまくった主人公ではあるのだが、普通の人生・普通の幸せ・普通の生活から抜け出そうとするのは今でもしっかり分かる気がする。

自分は何者で何ができて、何がしたいのかすらわからず迷走する、
いわば自分を探すが結局暗い内へ内へと自分を追い込む青春小説だよなぁ。

たまたま「覇王」という漠然として何なのか分からない対象に憧れなろうとしたが、何の行動もできずにただだらだらと年月だけが過ぎてた。
憤りと不安渦巻く日常っていうのが、今の年齢に達してから読むと若くてよいです(笑
何者にもなれず、何もできず、夢も希望もないことに対する「みんな死ねばいいのに」という発想と共感はそこを通り過ぎた人にしかわからないだろう。

当時誰に何も言わなくとも、こうした気持ちというのは少なからずあったよなぁ。
若っかいなぁ。

どこかに置きっぱなしになっていた自分のカケラのようなものでも見つけたような読後感だ。

tag : 灰色のダイエットコカコーラ 佐藤友哉

【小説】鏡姉妹の飛ぶ教室

鏡姉妹の飛ぶ教室 <鏡家サーガ例外編>
佐藤友哉
表紙イラスト:笹井一個
講談社ノベルス
鏡姉妹の飛ぶ教室 (講談社ノベルス)鏡姉妹の飛ぶ教室 (講談社ノベルス)
(2005/02/08)
佐藤 友哉

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「バイバイ、お姉ちゃん」
電話がプチリと切れました。
そして私は現実に戻ります。
廃墟の学校に。
壊れた校舎に。
暗闇の世界に。
だけどもうへこたれません。もう泣きません。もういじけません。
なぜなら私の機能は完全に回復したからです。

鏡姉妹の飛ぶ教室』本文より

鏡家サーガ4作目『鏡姉妹の飛ぶ教室』を再読。
『ああっ、お兄ちゃーん』と云う方に最適です(本当)、というのは実に的を得た表現だと思う。

佐奈が非常にかわいいのです。
那緒美も非常によいのです。
その他の女性キャラもいい味を出しまくりです。

それだけでも十分です。
加えてルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』からの引用も本編と絡めて楽しませてくれますし、
なにより非日常描写と非日常と内面世界というものについて考察に費やされたページ数は読むに値するだけの分厚さです。

だからこの4作目が一番好きだと言い切れます。


まぁ加えて言うなら講談社BOOKクラブで連載されていたときには「本にならない」と聞いていたので必死に読んでいたのも楽しかったし、なによりあの佐藤友哉が筆者。
このとき『クリスマス・テロル』にて断筆宣言をしてから沈黙を保っていただけに「おいおい、あんな宣言しておいて復活かよ。しかも本にならないだって」っていう状態。

それがまた1作目の時点で死亡していた佐奈視点で描かれ、そんでもって舞台は死人だらけの学校。
生き残ったのは数人。
いかにして生き残るかというサバイバルものになるかと思いきや、物語は精神的に内へ内へと向かっていくという予想外の方向へ。
最後の着地点まで「どうなるんだろう」と楽しませてくれた。

再読してみても、やっぱりこれが一番佐藤友哉の本の中で好きかも。

tag : 鏡姉妹の飛ぶ教室 佐藤友哉 笹井一個 講談社ノベルス

【小説】水没ピアノ

水没ピアノ 鏡創士がひきもどす犯罪
佐藤友哉
表紙イラスト:笹井一個
講談社ノベルス
水没ピアノ―鏡創士がひきもどす犯罪 (講談社ノベルス)水没ピアノ―鏡創士がひきもどす犯罪 (講談社ノベルス)
(2002/03)
佐藤 友哉

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僕は『世の中どこか間違ってる』と口にするのが癖だった。

水没ピアノ』本文より

鏡家サーガ3作目『水没ピアノ』を再読。

ストーリー→どうでもいい。
さまざまな人物の視点から語られるストーリーがやがてひとつに収束してびっくり仰天、という内容なのだがそこには触れないことにする。

やっぱりこの物語、みどころといえばもちろん。

陰鬱で後ろ向きでネガティブ思考に文句をひたすら垂れ流す。
幸せを渇望しながらも周囲を恨み、世間を妬み。
もはや自分が悪いのでなく、そうさせている回りがおかしいのであると言い出しかねない始末の文がつらつらと書き連ねられる。

その負の感情ともいうべきものをこれでもかというくらいに自虐的に書いてくるのである。
そこに一切の躊躇もなく。

だからこそ分厚い話にも関わらず一気に読みきらせてくれる。
5年か6年ぶりくらいに読み返してみたけれども、ユヤタンの本いいなぁ。
この頃はこの頃で輝いていたような気がする(笑

tag : 水没ピアノ 佐藤友哉 笹井一個 講談社ノベルス

【小説】1000の小説とバックベアード

1000の小説とバックベアード
佐藤友哉
新潮文庫
1000の小説とバックベアード (新潮文庫)1000の小説とバックベアード (新潮文庫)
(2009/12/24)
佐藤 友哉

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「文章には力がありますからね。まっすぐ歩く人間の人生を壊しかねない、潰しかねない、大きな力がありますからね。だから私、小説が大ッ嫌いなの。それではごきげんよう。玉稿を期待してますよ、木原先生」

1000の小説とバックベアード』本文より

ユヤタンの…
いや、ユヤタンと呼ぶのは気が引ける。
なんせこんな小説を読まされたあとだ。
こんな作家になっていたのか、佐藤友哉は。
ここまで力強い小説を読むことになるとは。

三島由紀夫賞受賞作の『1000の小説とバックベアード』。


依頼人の物語を描く創作者である片説家と呼ばれる職業。
主人公の木原は片説家の会社を解雇されモノを読むこと書くことができなくなってしまう。
そこへ物語を依頼する女性が現れたり、失踪した女性を追ったり、謎の多い図書館へと閉じ込められたり。
ある意味冒険と言えなくもないことをするが決してファンタジーというわけでもない。

これは小説家、ひいては小説そのものを描いた小説だ。
一体小説とは何なのか。
なんて根源的な問い。

多くの感想を語る気なんてない。
ただこのあまりに力強い物語に吐き気を覚えながら引き込まれたというのは確かだ。
そして文章の持つ力というものを今一度再認識させられた。

tag : 1000の小説とバックベアード 佐藤友哉 新潮文庫 三島由紀夫賞

【小説】青酸クリームソーダ

青酸クリームソーダ <鏡家サーガ>入門編
佐藤友哉
イラスト:笹井一個
講談社ノベルス
青酸クリームソーダ〈鏡家サーガ〉入門編 (講談社ノベルス)青酸クリームソーダ〈鏡家サーガ〉入門編 (講談社ノベルス)
(2009/02/06)
佐藤 友哉

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「話戻すけど、事件に入りこめないってのは、僕も気持ちが解る。ありきたりな猟奇殺人にしか見えないから推理するって感じでもないし。そもそも、頭のおかしい猟奇殺人犯に推理なんてナンセンスだからね。失って気づいたけど、密室とか館とか探偵とか、そういうのは大切なものだったんだよ」

青酸クリームソーダ』本文より

鏡家サーガ5作目『青酸クリームソーダ』。
そうか…
4作目からもう4年の月日が経ったのか。

その間いろいろありました。
ユヤたんは遠くに行ってしまったという感じがあったけれども、今作を読む限りそんなことはない!
みんなのユヤたんが帰ってきた!
まさにそんな感じ。

そうそう。
これこそが鏡家サーガだ!

佐奈のかわいさはもちろんのこと、鏡家のどこかおかしな言動。
そこはかと散りばめられた小説やマンガにアニメに文学からの引用。

そしてなによりラストに向かって崩壊していく物語。


今回も竹やりで人を殺す少女が主人公の公彦のもとで「私がなぜこんなことをしたのか真相をつきとめろ」とせがむ話。
まったく、最初の章からなんのこっちゃって展開である。
竹やりて。
血だらけの少女って。

犯人わかってる。
殺害方法もわかってる。
解らないのは動機だけど、本人に問いただすことはNG。
でも探偵しろ。

わけがわからない。
でもそれでも物語が成り立つのが鏡家サーガってなもんです。

久々の鏡家の新作。
存分に楽しませてもらいました。

じゃあ次はユヤたんにはぜひとも鏡家「ナイン・ストーリーズ」を…

tag : 青酸クリームソーダ 佐藤友哉 笹井一個 講談社ノベルス

【小説】エナメルを塗った魂の比重

エナメルを塗った魂の比重 鏡陵子ときせかえ密室
佐藤友哉
表紙イラスト:笹井一個
講談社ノベルス
エナメルを塗った魂の比重―鏡稜子ときせかえ密室 (講談社ノベルス)エナメルを塗った魂の比重―鏡稜子ときせかえ密室 (講談社ノベルス)
(2001/12)
佐藤 友哉

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香取羽美からナコルルへの移行。
一言で云えば、それは逃げです。逃避です。
私は逃げている。その自覚はもちろんあります。
でも別、別に良いじゃありませんか。逃避を悪と規定する、その一方的な勘定こそが悪ではないのか?

エナメルを塗った魂の比重』本文より

久々にノベルスの新装版を再読。

佐藤友哉の鏡家サーガ2作目『エナメルを塗った魂の比重』。
2作目は鏡陵子が主役、というわけではないけど彼女が大きな役目を果たすのは確か。

人肉しか食べられなくなった少女や、コスプレによって自己を別人に投影することに自分を費やす少女たちが登場する近作。
また、自分より下位における人をいじめるという構図によって安心するクラスというものも登場。

そのすべてが自分という存在に対する不安や不満を表しているかのよう。
そう、いわばまるで「これが青春」とでも云わんばかりに。

鏡家2作目ではこういった不安定さの描写がたまらないです。
つきつめれば自分ってなによ、ってな事を主張しているかのような。

そういった若さゆえの不安定さっていう主題とともに、もうひとつの物語の主軸となるのが「予言」。
またかよ。
1作目もそうだったじゃないか、というのもありますが、それはそれ。
またまた予想外の方向へと行きやがります。

閉ざされた一部の世界における未来を予知する「予言」なんていう大層な代物。
この予言のもとに登場人物たちの奇怪な行動が終結し、いい意味で馬鹿げた終結を迎えていく。

やっぱ鏡家はこうでなきゃ。
1作目でも主人公がいっていた「狂える鏡家」というものをまさに表しているかのよう(笑
そういうところもサリンジャーの「狂えるグラース家」を描いたグラースサーガをしっかり意識してるよなぁ。


あらゆる不安定さがこの小説独特の雰囲気を醸し出していく。
青春小説とはまさにこういうものって言っていいとすら思う。
青春なんて美しくなんてない、っていう意味で。

tag : エナメルを塗った魂の比重 佐藤友哉 笹井一個 講談社ノベルス

【小説】フリッカー式

フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人
佐藤友哉
講談社文庫
フリッカー式 <鏡公彦にうってつけの殺人 > (<a href=講談社文庫)" border="0">フリッカー式 <鏡公彦にうってつけの殺人 > (講談社文庫)
(2007/03/15)
佐藤 友哉

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どうしてこれほどまでに『意味』に固執するのだろう。
そのこだわりには、価値があるのだろうか?
いや、
惑わされない。
僕は惑わされないぞ。
惑わされるものかッ。




佐藤友哉の処女作「フリッカー式」文庫版。
鏡家サーガ1作目。
ついに文庫。
表紙はいつもどおりの笹井一個。

処女作とはいいつつ、手を加えすぎ(笑
話自体は当然変わってないけど。
あぁ、だからこれほどまでに文庫化が延びたのか。

なので旧版および新装版まで買っちゃった人も読んでみたら印象変わるかも。



妹がレイプされ自殺した。
そしてその現場を録画したテープを持ってきた謎の人物。
さらにその人物はレイプ犯の娘たちの行動パターンが記された紙を鏡公彦に渡す。
そして彼は娘たちの拉致を開始する。
一方、巷では突き刺しジャックという77人を殺した凶悪犯の犯行が重ねられていっていた。



このネガティブで理解できない構成が大好きだ。
序盤から「おにいちゃーん」という内容。
そして自殺。
さらに拉致。
そこからどんなものに発展するのかと思ったら予想外も予想外。
突き刺しジャックとその犯人の犯行時にだけ犯行現場を「見て」しまう超能力が加わったり。
そもそもレイプ犯たちの言っている「儀式」とはなんなのか。

実にカオス。
そして逸脱しすぎ。
ジャンルの特定なんかできるわけがない。
もうまったくなんなんだろな、この小説は。


ミステリ作家の法月綸太郎が絶賛し、大塚英志の流れを汲むような内容。
そこから考えてもわけがわからない(笑

読んだのは3回目だけど、やっぱりわからないがおもしろい。
『意味』を放棄した。
そんな「あの80年代生まれ」が体験してきた様々なサブカルチャーを取り込んで、一つのそれらの作品に対する答えを示したもののような気もする。
「エヴァ」しかり「MADARA」や「サイコ」とかさ(笑
あれらも「意味」を探させた物語であるだろしなぁ。


2作目以降も文庫化されますよーに。

tag : 佐藤友哉 フリッカー式 講談社文庫

【小説】クリスマス・テロル

クリスマス・テロル invisible×inventor
佐藤友哉
講談社ノベルス
クリスマス・テロル invisible×inventor (講談社ノベルス)クリスマス・テロル invisible×inventor (講談社ノベルス)
(2002/08/06)
佐藤 友哉

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講談社ノベルス20周年企画「密室本」のうちの1作。


吾妻ひでおの「うつうつひでお日記」を読んでたら急に佐藤友哉が読みたくなったので再読。

いいなぁ。
やっぱりいいなぁ。
作家佐藤友哉の鬱屈具合が此処に!という内容ですよ。
初心者にはお薦めできないよなぁ(笑
ファウストなどのエッセイでニヤリとした方は是非。


読み返してみて、副題の「invisible×inventor」ってうまいことつけたタイトルだと思った。
確かにこの本と存在自体を語るにふさわしいものだと思う。

この本が起こしたテロにしてもきっと届いた人なんてとてつもなく一部の人だけなのかもしれない。
そんな境地を乗り切って「鏡姉妹の飛ぶ教室」や「子供たち怒る怒る怒る」を出した佐藤友哉は実はすごい作家なのではないかと思う。
そして(ネタバレにつき反転)作家佐藤友哉のどん底具合をフィクションという創作で描かれた「クリスマス・テロル」が大好きです(笑

【小説】子供たち怒る怒る怒る

これを書いてる本人は講談社のメフィスト賞が大好きです。
メフィスト賞は森博嗣や清涼院流水、舞城王太郎といった作家を生み出してきました。
ではメフィスト賞とはどんな賞なのか。
賞金も名誉も一切なし。
下読み委員も一切なし。
直に編集者が読んでおもしろいと思ったものは本にする。
そんな賞です。

このblogのタイトルもそんなメフィスト賞から出てきた舞城王太郎の「世界は密室でできている。」の英題を参考にしています。


さて、書評(というか感想)第一弾です。

子供たち怒る怒る怒る
佐藤友哉
新潮社
子供たち怒る怒る怒る子供たち怒る怒る怒る
(2005/05/28)
佐藤 友哉

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第21回メフィスト賞受賞者の佐藤友哉初の短編集。
収録作品
新潮に掲載された4編
・大洪水の小さな家
・死体と、
・慾望
・子供たち怒る怒る怒る
書き下ろし2編
・生まれてきてくれてありがとう!
・リカちゃん人形

全編に共通して出てくる子供たち(死体と、の子供は死体でしたが)。
彼らは大人から見ればまだまだ子供に過ぎない。
けれども大人顔負けの自分なりの考え方ってものを主人公の子たちはみんな持っている。
大人は理解できないもの排除したがるものだけど、
果たして本当に子供の考えを理解しようとしてあげてるのだろうか。
社会を常識的に生きてる大人から見れば「非常識極まりない」ような言い分でも、
しっかりと筋道立てた純粋な論理であることが多いように思います。
自分が子供だった時、自分なりに考えて大人に反抗した時なんかには、
考えて考えて出した答えや考えなのになんで大人は分かってくれないんだ、
って思ったことが何度もありましたし。

子供の意見でも大人の意見でも自分の理解が及ばないことであっても、
ちゃんと聞く、理解しようとするという人として最低限の姿勢はとっていきたいものです。


しかし佐藤友哉の文章表現はなんともキモチ悪い。
描写が残酷だけれど妙にドライな感じがする。
嫌悪感はあるんだが、それでも一気に読めてしまう。
一種の才能なんだろうねぇ。
新潮に掲載されているような佐藤裕也の文学作品も好きなんだけれども、
鏡家サーガのようなエンターテイメント作品も忘れないで書いてほしいです。
プロフィール

∀ki(あき)

  • Author:∀ki(あき)
  • 自由に生きてます。
    色々読んだり見たりしてます。

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