【ミステリ】群衆リドル

メフィスト賞→古野まほろ
12 /27 2015
群衆リドル Yの悲劇'93
古野まほろ
光文社文庫
群衆リドル Yの悲劇’93 (光文社文庫)
古野 まほろ
光文社 (2013-08-07)
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「正義が守られるとは限らない」
「守りたいと思う気持ちが、正義なんです」

群衆リドル』本文より

古野まほろを読むのは、5年ぶりくらいだろうか。
天帝シリーズや探偵小説のシリーズと同じ世界で繰り広げられる天才ピアニストであり、いや、もうただの天才の探偵役だろ。
英知という英知をもって挑む密室、そして「Y」の謎。
次々に提示されていく謎と、それに挑まざるを得なくなる構造は相変わらず。
この謎だらけで、博識すぎる見地をもって描かれるんだけど、少年少女の年頃の描写のギャップがしっかり出てくるのがやっぱりいい。

【ミステリ】探偵小説のためのゴシック「火剋金」

メフィスト賞→古野まほろ
01 /12 2010
探偵小説のためのゴシック「火剋金」
古野まほろ
表紙イラスト:ゴツボ×リュウジ
講談社ノベルス
探偵小説のためのゴシック「火剋金」 (講談社ノベルス フJ- 9)探偵小説のためのゴシック「火剋金」 (講談社ノベルス フJ- 9)
()
古野 まほろ

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トリックは有限、ロジックは無限。
美と論理と、そして因果の恐怖を思い知らせるために。

探偵小説のためのゴシック「火剋金」』本文より

古野まほろの探偵小説シリーズ完結。
探偵小説のためのゴシック「火剋金」』。

ついに完結。
あかねんとコモのコンビが見られるのも今回で終わりかぁと思うと感慨深いものがあります。
特にあかねんの妄想が見られなくなるのは非常に残念(笑

これまでも探偵小説の様々なジャンルに挑んできたこのシリーズ。
今回は「予告」。
個人的には嫌いなジャンル。
予告殺人とか、ね。

しかしジャンルすらものともせず、もはやこれは古野まほろというジャンルと言ってもいいんじゃないか。
ただ論理の限りを尽くして事件を解体し構成する様は爽快。

加えて最高にエンターテイメントしている。
事件は派手に難解に。
陰陽道の戦いもあり、式神も跋扈する。
もちろん妄想も炸裂する。


あー。
このシリーズ読んでいる間、非常に楽しかった。
次なるシリーズへの伏線も張られていたので、この探偵小説シリーズとのコラボなんかも見られるんかなーと期待してます。

【ミステリ】探偵小説のためのインヴェンション「金剋木」

メフィスト賞→古野まほろ
10 /30 2009
探偵小説のためのインヴェンション「金剋木」
古野まほろ
表紙イラスト:ゴツボ×リュウジ
講談社ノベルス
探偵小説のためのインヴェンション 「金剋木」 (講談社ノベルス)探偵小説のためのインヴェンション 「金剋木」 (講談社ノベルス)
(2009/09/08)
古野 まほろ

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そしたら。
あたしと一緒に、どこまでも来てくれるかも知れん。寒くて重い旅路を。
やがてどこかで途を違えたとしても。
永劫の彼方で、あたしを待っとってくれるかも知れん。

探偵小説のためのインヴェンション「金剋木」』本文より

まほたんの『探偵小説』シリーズ4作目。
あと残り1作のはずである。

4作目は『探偵小説のためのインヴェンション「金剋木」』。
読み終わってから考えるとすばらしいまでに本の内容を表したタイトルである。
御見事。

様々な種類の探偵小説たる要素を盛り込んできた4作目はパズラー。
特殊な空間においての論理を駆使しての密室崩し。


コモやあかねんたちが迷い込んだ廃校。
そこに巣食う吸血鬼たちとの饗宴。
吸血鬼たちの生態のルールの中、絶対に入れない場所で殺人が起こる。

さて陰陽師たち一行はどう謎を解くのか。
謎が解かれない場合にはあかねんの危機がっ、というお話。


嫌いじゃないんだけど、ルールが多すぎて謎解きよりも百合百合しい内容の方に目が行ってしまったことは認めよう。
熱きかるた取りもあかねんによる妄想もなかったけれども、非常に楽しい百合内容でした。

登場人物がほぼ女の子だと華がありまくるよな ⊂⌒~⊃。Д。)⊃

【ミステリ】探偵小説のためのノスタルジア「木剋土」

メフィスト賞→古野まほろ
08 /03 2009
探偵小説のためのノスタルジア「木剋土」
古野まほろ
表紙イラスト:ゴツボ×リュウジ
講談社ノベルス
探偵小説のためのノスタルジア 「木剋土」 (講談社ノベルス)探偵小説のためのノスタルジア 「木剋土」 (講談社ノベルス)
(2009/06/05)
古野 まほろ

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「水里あかね、あおいの娘よ
おまえごときが名人とは。
名人位も地に堕ちたものぞな。はふう」
「せいぜいほざくがいい。昔の歌がどこまで続くのか。
刻の遷移。刻の無情。いち時代がその撰んだ名人に許すちから、思いしらせてくれよう」

探偵小説のためのノスタルジア「木剋土」』本文より

まほたんの探偵シリーズ3冊目。
探偵小説のためのノスタルジア「木剋土」』。
これで折り返し点も過ぎた。
が、ええええーー。
なにこのクライマックスみたいな展開。
これでまだ半分かよ!
どうすんの?続き!?

物語部分も急展開。
ミステリは…
変化球というか、今までと比べて変化球だな。

その作者と読者の対決ともいうべき推理部分。
この参考資料が恐ろしいほどの量が巻末に収録されているわけだが。
いやいや、ちょっと読みにくくね?と思ったり。
しかも膨大な中にしっかりと事件を解く鍵はあるわけだが、巧妙すぎ。
解決編を読んでからだと全然違ったものに見えてくる。


でもなぁ。
面白かったんよ。
しかしっっ。

あかねんの妄想が本編内じゃなくて巻末に収録というのは何事か。
これは本編に入れて欲しかったというか、妄想はこのシリーズの醍醐味であろう(ぇ


本編中。
今回一番楽しめたのは名人同士のかるた取り。
なんだこの圧倒的迫力は!?
これが古野まほろの筆力か!

かるた取りがここまですさまじい競技とは。
えぇ、もうなんか恐るべしってやつです。

【ミステリ】天帝のみぎわなる鳳翔

メフィスト賞→古野まほろ
02 /07 2009
天帝のみぎわなる鳳翔
The Aircraft Carrier SURUGA Murder Case

古野まほろ
講談社ノベルス
天帝のみぎわなる鳳翔 (講談社ノベルス フJ- 6)天帝のみぎわなる鳳翔 (講談社ノベルス フJ- 6)
(2009/02/06)
古野 まほろ

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ただ、人間として。
三千の人間を屠った者がいるというのなら。その責めを負うべき者がいるというのなら。
アタシには興味がある。

天帝のみぎわなる鳳翔』本文より

まほたんの天帝シリーズまさかの4作目。
三部作じゃなかったのかよ!?(笑

いやいや、でも嬉しい限り。
あのメンバーが再びあの怪しくも様々な知識と言語が飛び交う世界を見せてくれるのだから。


今度の舞台は海軍が誇る空母「駿河」の中。
大きな密室の中で起こる殺人事件。
しかし最初の多くの謎を孕んだ殺人事件もきっかけにすぎず、惨劇は惨劇を生み。
果ては3000人の犠牲者が出る大事件へと発展していく。


なんで今までこんな舞台と小説がなかったのだろう。
大量すぎる殺人事件はミステリとしてそぐわないのか?
いやいや、この小説を読む限りそんなことはない。
正統派ミステリでありながら、スケールの大きさも保っている。

トリックから動機に至るまでの解決編の緊迫した内容に加えて、シリーズがさらに大きく飛躍する瞬間ってのを目にできた。
そんな気さえしてくる。

ああ。こいつはまだまだ「完結編」に向けて走り出したばかりなのかもしれない。


今までの3作と比べてみても緊迫感といい、世界観のさらなる深みが描かれたことといい、一体このシリーズはどこに向かうというのだろうか。
むしろ今までの3作はまだまだ序章だったんじゃなかろうか(笑
そんな期待を抱けた4作目でした。
めっさ期待してます!

【ミステリ】探偵小説のためのヴァリエイション「土剋水」

メフィスト賞→古野まほろ
09 /23 2008
探偵小説のためのヴァリエイション「土剋水」
古野まほろ
表紙イラスト:ゴツボ×リュウジ
講談社ノベルス
探偵小説のためのヴァリエイション 「土剋水」 (講談社ノベルス フJ- 5)探偵小説のためのヴァリエイション 「土剋水」 (講談社ノベルス フJ- 5)
(2008/07/08)
古野 まほろ

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「その探偵的帰納法とやら、とくと拝聴つかまつりましょう。論理の松明燃え尽きて、驕慢なその脳髄が私に膝を屈する。その哀れさを憫笑するために」

探偵小説のためのヴァリエイション「土剋水」』本文より

古野まほろ探偵シリーズ2作目『探偵小説のためのヴァリエイション「土剋水」』。

主人公のあかねんが逮捕される。
容疑は殺人。
競技かるたの試合会場で起こった陰惨な事件。

そして再び陰陽師のコモが謎に挑む。


まだまだ古野節は衰えることを知らなかったようだ。
独特の語感と言い回し。
そして多くの言葉を従え、論理を紡ぎ、探偵小説となる。

これほどまでに探偵小説としてのルールをエンターテイメントとして提示した小説があるだろうか。

読者への挑戦状なんてどころじゃない。
形式美をいかに美しく魅せるのかに特化させたような謎解きでした。


そして次作は「天帝シリーズ」ですとぉぉ。
まさか4作目が出るとは。
さらにその後にしっかりと「探偵シリーズ」も待機中!

まじでかっ。


古野まほろ作品には英語やフランス語が飛び交うけど、「天帝」のタイトルは英題で「探偵」はフランスなんだな。
なんかここらへんに違いあるんだろか。
世界観は同じようだけど。

【ミステリ】探偵小説のためのエチュード「水剋火」

メフィスト賞→古野まほろ
05 /23 2008
探偵小説のためのエチュード「水剋火」
古野まほろ
表紙イラスト:ゴツボ×リュウジ
講談社ノベルス
探偵小説のためのエチュード「水剋火」 (講談社ノベルス フJ- 4)探偵小説のためのエチュード「水剋火」 (講談社ノベルス フJ- 4)
(2008/04)
古野 まほろ

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「皆まで言うなと介錯をっ!!」
手刀が首に入る感覚。
「はっ」
「傷は浅いわよべべんべん!」

探偵小説のためのエチュード「水剋火」』本文より

天帝シリーズの古野まほろの新作シリーズ「探偵シリーズ」。
今度は陰陽師探偵モノ。

舞台設定は天帝シリーズと同じもの。
探偵役の陰陽師である小諸るいかと主人公である四国の実予にやってきた水里あかねも女の子。

女の子同士ゆえの姦しい会話とボケとツッコミ。
古野まほろ特有のと擬音と濃い内容が織り成す会話が非常に楽しい。

つか「急々如律令」ということばを「はよせえ」と説明した本ははじめて見た(笑


陰陽道の話もかなり濃いというか実にマニアックな薀蓄満載。
会話のノリが非常によすぎる。

だからかミステリ部分よりもそのあたりをちょっと読んでて楽しみすぎたかも(笑

まぁシリーズ1作目ということもあり、登場人物の紹介も兼ねているだろうからこれくらいがちょうどいいのかもしれないけど。


1作目が「水剋火」ということは「木火土金水」の5つをタイトルに並べるんかな。
だとしたらまだまだ当分は楽しめそうなシリーズだ。

【メフィ】天帝の愛でたまう孤島

メフィスト賞→古野まほろ
10 /10 2007
天帝の愛でたまう孤島
The Tenaitou Island Murder Case

古野まほろ
カバーデザイン:坂野公一
カバーイラスト:ウスダヒロ
講談社ノベルス
天帝の愛でたまう孤島 (講談社ノベルス フJ- 3) 天帝の愛でたまう孤島 (講談社ノベルス フJ- 3)
古野 まほろ (2007/10)
講談社

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荷を捨てて踏み出す新しい世界。
そらの祝祭に愛でられた海と雨林。
地の果てに結実した青いいのちと緑のゆめが集うここは。
ここは天帝の愛でたまう孤島
ここは天愛島だった。

天帝の愛でたまう孤島』本文より引用


古野まほろによる天帝三部作3作目『天帝の愛でたまう孤島』。
推薦文は大森望魔夜峰央
前巻に引き続き表紙イラストはウスダヒロ
もう天帝シリーズはウスダヒロというイメージが固まったかも(笑
あやしげな仮面の表紙がたまらない。


Σ( ̄□ ̄;) 天帝シリーズって三部作だったの!?


今度は孤島。
十角館の殺人、孤島パズル、そして誰もいなくなったetc
孤島モノといわれれば上のような名作たちが思い浮かぶわけで。
まぁ当然この本の中でもミステリマニアたちが語るわけですが(笑

孤島モノに跋扈する怪人。
そして起こる惨劇は連続殺人。
伝承歌に秘められた謎とはなんぞや。

そんなお約束を散りばめたような話。
しかし、もう使い古されたようなジャンルだとしても、やっぱりしっかりと孤島モノであり、怪人モノだった。
しっかりツボをついてきやがる⊂⌒~⊃。Д。)⊃
天愛島の設定とかたまんねーよw


殺人事件が起ころうとも、彼らは神を語り、映画から神話から哲学から台詞を引用し、とても高等な会話を繰り広げまくる(笑
日本語でフランス語で、時々ドイツ語で。

そう。
この「まほろ語」がいいんだよなぁ(*´Д`)
なんか中毒性がある。
清涼院流水のライムや舞城王太郎の文体にずぶずぶとはまっていくのに似ているかも(笑


三部作しかと楽しませていただきました。
まほろと詩織の会話なんかは特に(笑


……それにしても古野まほろ(作家)の筆はやすぎね?
今回も600Pあるんですけどっ。
前巻も600Pで4ヶ月しかまだ出てから経ってないし…

【メフィ】天帝のつかわせる御矢

メフィスト賞→古野まほろ
06 /16 2007
天帝のつかわせる御矢
The SuperExpress Asia Murder Case

古野まほろ
表紙イラスト:ウスダヒロ
講談社ノベルス
天帝のつかわせる御矢 天帝のつかわせる御矢
古野 まほろ (2007/06/08)
講談社

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「気持ちよく乾いた空気に絶好の眺望。『東洋のウンターデンリンデン』。東満州(満州帝国)を象徴する壮観かつ前衛的な帝都新京。美しい眺めだ。
街じゅうから立ちのぼる邪悪な黒煙と、一夜にして廃墟になった煉瓦造りの街角さえなければ、
神よ擁護を垂れたまえ、あまりに磔の多ければ―とパウル・バルシェを口ずさみたくなるようなそんな午後だった。」

第35回メフィスト賞天帝のはしたなき果実」の続編「天帝のつかわせる御矢」。

前作に続いてまほろ君が主人公。

作品は偽史を扱っている。
ありえなかった世界での殺人事件。
この世界、つまりこの小説の中の登場人物はえてして天才的。
さも当たり前のように日本語、英語、仏蘭西語を使いこなし、古今東西の地理歴史に文化まで知っている。
ゆえに文体は様々な言語が飛び交い、日本語で書かれているのにも関わらず不思議な旋律を生み出しているようにすら思える。


そんな人物たちが「あじあ号」、1930年代に実在した満州国の超特急。
舞台の最初は新京、今で言う長春からハバロフスク~札幌と中国ロシア日本を結んでいる豪華列車の中での殺人事件。
引用した中の「ウンターデンリンデン」はベルリンのこと。


おもしろかった。
キャラが描けていない、あまりに有り得ない。
そんなところをこの小説はずっと通り越している。
もはやこの小説は一つの「世界」だろう。
1作目の「天帝のはしたなき果実」の時もそう思ったけど、さらに磨きがかかってる。
今度はなんせ豪華な超特急。
乗っている人も風格ある人ばかり。
そんな彼らとも対等に渡り合う主人公のまほろ君たち。
その会話がまたくらくらする(笑

知識と知識がぶつかりあって、なんかすごく高尚なのだ。
別次元。
それを帯で推薦文を書いた竹本健治は「異形」と称しているけどまさにそんな感じ。


まったく……
そんな内容を生み出せるこの古野まほろは一体なにものなんだ。

【メフィ】天帝のはしたなき果実

メフィスト賞→古野まほろ
01 /17 2007
天帝のはしたなき果実
The Keisoukan Murder Case

古野まほろ
講談社ノベルス
天帝のはしたなき果実 天帝のはしたなき果実
古野 まほろ (2007/01/12)
講談社

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「本当だったんだ。言葉のちからが消えたときこの世を統べるもの、それは音楽のちからだって。本当だったんだ。僕は背筋の震えとともに、右眼から涙がおちるのを感じた。」

第35回メフィスト賞受賞作品。

あぁ。
すごいものが読めた。

まるで知の結晶のような本だった。

ルビがたくさん振ってあった。
英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語。
その時々の微妙なニュアンスでどの言語が一番相応であるのかを選んでのことなのかもしれない。
もはや言語の壁なんてこの本の中には存在しなかった。

文学、数学、歴史、科学、地学、神話。
この本にはありとあらゆる知識が平然と話されていた。
読んでてすごい甘美だ。
決して専門的すぎるというわけではない。
当たり前のことをすべて理解しているという異常な登場人物ばかり。
分からないこともそりゃ沢山あった。
それでも全然、苦ではなかった。
読むのがえらく楽しかった。
最後の参考文献を読んで納得した。
この作者すげぇよ。

そして肝心の探偵小説としても当然なりたっていたと思う。

これらのありとあらゆるものを語り尽くすことが出来たのもきっと世界観なのだろう。
現在ではない。
微妙に歪んでいる日本。
その歪みこそが、この世界を成立させている。
そんな気がする。


35回目のメフィスト賞にて、なんかすごいのが出てきた。
そう思えてならない…

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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