【本】遠野物語remix

本→京極夏彦
07 /16 2017
遠野物語remix
京極夏彦柳田邦男
角川ソフィア文庫
遠野物語remix 付・遠野物語 (角川ソフィア文庫)
京極 夏彦 柳田 國男
KADOKAWA/角川学芸出版 (2014-06-20)
売り上げランキング: 122,102

今の世に在りてこそ、より多くの者に讀まれる事を切望す。願はくはこれを語りて平地人を戰慄せしめよ。

遠野物語remix』本文より

京極夏彦の現代語訳、そして同系統の話をまとめ順番を入れ替えた『遠野物語』。原典も同本に収録。

よくぞやってくれた!
やっと遠野物語がなんなのかを理解した。
現地の人に聞いて回って集めた説話集であり物語であり怪談でもある。
そう言ってしまえばそうなんだけど、それぞれの物語の不思議さがどこから来たのか、なぜ語られてきたのか。
その地方の文化、風習、考え方、その地方のすべてが詰まっているといっても過言ではない。
この本をもってして民俗学がはじまったというのも納得。
こんな内容ならじゃあ他の地方はどうなのか、そしてそれら文化は保存しなければ消滅する可能性も多くある早く保存しなければとなるのも理解した。


やっとこさ昔に読んだ大塚英志に読んだ様々な漫画であったりノンフィクションであったり、そのルーツを理解できたわ…

【小説】厭な小説

本→京極夏彦
06 /18 2017
厭な小説
京極夏彦
祥伝社文庫
厭な小説 文庫版 (祥伝社文庫)
京極 夏彦
祥伝社 (2012-09-01)
売り上げランキング: 324,654

何よりも厭なことが、この先お前に起きる。

厭な小説』本文より

京極夏彦の『厭な小説』。

どんだけ読もうと五感に厭な感触が行きわたるような感覚の連作短編集。
視覚的にも聴覚も嗅覚も味覚も触覚も。
どれをとっても嫌な、気持ちの悪い。
ただそれだけの、ほんとそれしかない小説なのだが、その感覚が群を抜いている。
すごい。
しかもどんどん読み進めたくなる内容。
いったいどんな展開とひどい結末が訪れるのか。

圧倒的な面白さと気持ち悪さを兼ね備えた変な小説であってなおかつ傑作かもしれん。

【小説】幽談

本→京極夏彦
06 /12 2016
幽談
京極夏彦
MF文庫
幽談 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
京極 夏彦
メディアファクトリー (2012-02-23)
売り上げランキング: 479,140

私が生きていると、いったい誰が保証してくれるのか。生きているかどうかなんて、自分にも判らないことだ。そう思えば。
それは怖くて仕方がない。
同時に、何も怖くないような気にもなる。

幽談』収録「こわいもの」本文より

京極夏彦の幽霊に関する短編集『幽談』。
だから「かすか」なのか。あるのかないのかわからず、存在が希薄である、だからいるのかもしれない。

そんな幽霊であったり、何かの存在を匂わせる、ぞくっとするよりは後で考えるとこわいような。
…うん、怖いもの多かったわ。
いわゆる怪談のように明らかに怖いものであったり、何か出てくるものと比べると情緒あるよな。


収録話
・「手首を拾う」
・「ともだち」
・「下の人」
・「成人」
・「逃げよう」
・「十万年」
・「知らないこと」
・「こわいもの」

【小説】文庫版 死ねばいいのに

本→京極夏彦
05 /28 2016
文庫版 死ねばいいのに
京極夏彦
講談社文庫
文庫版 死ねばいいのに (講談社文庫)
京極 夏彦
講談社 (2012-11-15)
売り上げランキング: 41,338

「何で死にたくねえ訳? 生きてたって辛いだけで、でもってどうしようもねーってことなら、死なね?」

死ねばいいのに』本文より

久々に京極夏彦の本を読んだ。
講談社文庫である。
もちろん張り子表紙である。
妖怪ものでもないような小説になぜ。そして読み始める。
一人の女性の死、その女性の事を知ろうとする青年。彼が突き止めていく関係者たちは揃いも揃って死ねばいいのにという人たち。
こうして声じゃなく言葉にするとなんてひどい、なんて文字に起こしてはいけない禁忌のような言葉であろうか。
実際世間では幾度となく実にいろんな人が発するこの言葉。
だからこそある意味こんなタイトルにすると逆になんかおぞましいのではないかと読んではいけないもののような本だと思えてしまうわけで。

一向に女性の死や女性になにが起こったのかわからぬまま最終章まで読み進めた途端。
いやもうなにこの逆転劇というか衝撃のというか。
そして読み終わって放心して表紙に戻ってもう一度衝撃を受けることになるわけだが。
だからこの表紙なのか、と。
くっそ。巧いなぁ。

【小説】数えずの井戸

本→京極夏彦
07 /06 2014
数えずの井戸
京極夏彦
Cノベルス
数えずの井戸 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)数えずの井戸 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)
(2013/06/24)
京極 夏彦

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ただ生きて。
ただ暮らしているだけで幸せだと、そう思うのは間違っていたのだろうか。

数えずの井戸』本文より


江戸怪談3冊目は番町皿屋敷の『数えずの井戸』。
なにゆえ皿を数えるのか。欠けた皿を数えなぜ井戸から幽霊として成仏できずにいるのか。

出展がなく、突然それこそぽっと出現した怪談。
現在までに様々な解釈がされ、姿を現したお話を京極夏彦が解釈。

…それにしてもぶ厚い本になったなぁ。
そもそもこの皿屋敷に舞台が移るまでが長い。
けれどもお菊さんを含め、彼女の母や、幼馴染、主人となる人物。
その他さまざまな登場人物たちのひとつひとつの短編があり、少しずつ悲劇へと連なる物語へと形を創っていく過程が非常に面白い。

最後まで読んで、そしてはじめて「ゆえに語り継がれる物語となった」と。
まるで怪談の作られ方のような造形。
これこそが創作の面白さといわんばかりに。

密かな愛と悲しみが積み重なったなんとも心が締め付けられるような物語だった。

【小説】西巷説百物語

本→京極夏彦
04 /20 2014
西巷説百物語
京極夏彦
Cノベルス
西巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)西巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)
(2012/08/24)
京極 夏彦

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「要は、生き死にやない」
凡ては生きとる者の心持ち次第--。
そうやろと、既に夜の闇そのものになってしまった影は言った。

西巷説百物語』本文より


又一の話ではなく、彼と同業ともいえる靄船の林蔵の話がスタート。

又一のように大仰に人を罠にはめるのと違い、林蔵の少しずつ真実を本人の口から出させるような巧妙な話術が見事。

少しずつ奇妙な世界に入り込んでしまったかのような語り口。
それに加えて現実世界から見なおした時のある種の滑稽さと怖さ。
このコントラストがまたページを捲る手を止まらせてはくれない。

あとはやっぱりこの本のいいところは「絵」だろうなぁ。
おどろおどろしいというよりは奇妙な妖怪・現象の桃山人の絵がなんともいい味と、どんな話がはじまるかという予感も楽しませてくれる。

又一の話もたいへん面白いものだったが、林蔵さんのエピソードもいいじゃあないか。
もっと読みたいぞ。

なにげに少しだけ出てくる又一と作家先生を出してくるあたり今までのファンとしてもにやりとさせてくれるところもいいもんだ。

【小説】豆腐小僧双六道中おやすみ

本→京極夏彦
08 /25 2013
豆腐小僧双六道中おやすみ
京極夏彦
角川文庫
文庫版  豆腐小僧双六道中おやすみ (角川文庫)文庫版 豆腐小僧双六道中おやすみ (角川文庫)
(2013/07/25)
京極 夏彦

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「豆腐小僧でございまするぅ」

豆腐小僧双六道中おやすみ』本文より

これぞ妖怪珍道中。
そして妖怪とはなんぞやという楽しみがこれでもかと詰まっていた。

『豆腐小僧』第2弾。

古今東西の妖怪たちが次々にわき出ては己が何者かと悩んだり、雑談したり。
そもそも人間がいないと妖怪たちも出現しようがないというアイデンティティをもっているからややこしい。
でも、まぁそりゃそうだわな。

前作以上にいろんな妖怪を巻き込んで、そのアイデンティティに迫っていった。
京極夏彦を語る上で欠かせない姑獲鳥さんだったり邪魅さんだったりもいてたり。
うおおお。となった。
さらには朝霧の巫女などでおなじみになった稲生物怪録にもしっかり解説を入れてくれていたり。

そう、妖怪ってなんだろうっていうのをわかりやすく、そして面白く、知っている人にはもっと深いところまで足を突っ込ませてくれる小説だ。
にやにやがとまらない。

【小説】巷説百物語

本→京極夏彦
03 /28 2012
巷説百物語
京極夏彦
Cノベルス
巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)
(2002/02)
京極 夏彦

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御行は懐から鈴を出し、りんと鳴らして、一言、
「御行奉為――」
と言った。

巷説百物語』本文より

巷説百物語』再読。
たぶん7~8年ぶり。
前回読んだときはそれほど面白いと思わなかった。そして「続」であまりの面白さに失神するかと思ったのは覚えてる。

今回再読してみたら、その面白いこと。
怪談となぞらえた仕掛けの面白さ。
恨み辛みが発生する人と人の関係にこそ、怪談が発生するといわんばかりの実に濃い人間関係。
それを利用しての仕掛けのどんでん返しと、独特の余韻。

単なる小悪党たちによる悪党の征伐に終わらない物語だと思う。

時代劇さながらの「御行奉為」の決め台詞や、馴染みのメンバーたちによる立ち回りの活躍もすごく魅力的だと思う。

そしてなにより「怪談」の面白さというものを教えてくれる本だと思う。



収録話:
・「小豆洗い」
・「白蔵主」
・「舞首」
・「芝右衛門狸」
・「塩の長司」
・「柳女」
・「帷子辻」

【SF】ルー=ガルー

本→京極夏彦
11 /14 2011
ルー=ガルー 忌避すべき狼
京極夏彦
徳間書店
ルー=ガルー ― 忌避すべき狼ルー=ガルー ― 忌避すべき狼
(2001/06/23)
京極 夏彦

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「変わるわけないのよ。人間は――そんなに凄いものじゃないから。ちっぽけなもの。人間は凄い、物凄いと思えば思う程、私は何か見失う気がする。人は人の大きさしかない」

ルー=ガルー』本文より

京極夏彦のSFミステリ『ルー=ガルー』。

読者からの膨大な実際にありそうな未来についての投稿をもとに作られた管理社会。
動物も食べず、すべての食べ物はバイオ産業から作られるもの。
食物連鎖から脱却し、地球にそれでも居続ける人間の気味悪さ。
果たしてそれは人間なのか。
その人間以下とされる住民登録されていない者たちは何者であるのか。

いくつかの失踪事件、殺人事件と共にこの未来の世界を通して「人とは何者であるのか」を問うていくSFだった。

人類批判の物語は数あれど、これほど読ませてくる話も珍しい。
殺人事件と失踪事件というミステリいう要素が丁寧にテーマに寄り添うことになるとはねぇ。

殺人事件だけじゃない。
このテーマを解きほぐす上ですごく重要なのがものすごい数が散りばめられている未来の世界の設定たち。
それこそがこの本のすべてであったと言っても過言じゃないとすら思う。

人を人たらんとしている境界線がゆらぎまくる。
実に気味悪くも、考えさせる物語でした。

【本】豆腐小僧その他

本→京極夏彦
07 /14 2011
豆腐小僧その他
京極夏彦
角川文庫
豆腐小僧その他 (角川文庫)豆腐小僧その他 (角川文庫)
(2011/04/23)
京極 夏彦

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「お、お化け--なの?」
「はあ。何もできない、お豆腐を持ってるだけの、ほんとに役に立ちません、間抜けなお化けでございます。皆様、ご機嫌宜しゅう」
小僧は礼をした。

豆腐小僧その他』収録『豆腐小僧』本文より

京極夏彦の豆腐小僧をはじめたとしたいろいろなものを収録。
小説あり、落語あり、狂言あり。
共通しているのは妖怪が出てくるというところあたりか。

小説の『豆腐小僧』は角川つばさ文庫版、供向けに書かれた「豆腐小僧」を収録。
やってることは『豆腐小僧双六道中ふりだし』と同じなのだけれども、現代を舞台にしているのもあるけれどもおそろしくわかりやすい。

狂言も落語も時代背景は現代ではないけれども、現代のものを小道具にだしたりと、
でも決して「らしさ」はなくならない。
むしろ笑わしてくれたり見事なオチに使ったり。
普段狂言や落語は見たりしないけど、面白いじゃないか。
特に狂言と落語の『死に神』は読んでいて楽しかった。

収録
・小説『豆腐小僧』
・狂言台本『狂言 豆腐小僧』
・狂言台本『狂言 狐狗狸噺(ロングバージョン)』
・狂言台本『狂言 新・死に神』
・落語『落語 死に神remix』
・特別収録 茂山千之丞『京極作品と狂言との"歴史的出会い"』

【小説】豆腐小僧双六道中ふりだし

本→京極夏彦
07 /13 2011
文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし
京極夏彦
角川文庫
文庫版  豆腐小僧双六道中ふりだし (角川文庫)文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし (角川文庫)
(2010/10/23)
京極 夏彦

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「オノレはこの世に居ないモノ。居ないモノが何を畏れることがあろう」
「だって」

豆腐小僧双六道中ふりだし』本文より


京極夏彦の『豆腐小僧双六道中ふりだし』。
豆腐小僧たんかわいいよ。

妖怪とはお化けとはなにか?
豆腐小僧の冒険や妖怪たちとの出会いを描きながらの中で、これほどわかりやすく示した小説もないだろう。

妖怪・お化け・都市伝説。
それらの物語化に至る過程の説明も分かりやすいし、より興味をもてた。

そしてこの物語に出てくる妖怪たちの愛らしさや、個性豊かな様もさ、かわいくてしょうがない(笑
めんどくさがりながら淡々と作業する死神さんとかどうやねん(笑

【小説】前巷説百物語

本→京極夏彦
07 /26 2010
前巷説百物語
京極夏彦
Cノベルス
前巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)前巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)
(2009/04)
京極 夏彦

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「怨み辛みも未練も消して、残すは巷の怪しい噂――だ。それで好いなら下手な小細工はご無用だぜ。あんな不細工な仕掛けなんざしねェでも八方丸く収めてやらあ。口八丁手八丁、舌先三寸二枚舌、口から先に生まれ出て、口先だけでこの世を渡る――」
小股潜りの又市様を甘く見て貰っちゃ困るなと、又市は大いに嘯いて、柳の木を見上げた。
星も出ていない。生温い夜である。
そう。
――所詮、俺は小股潜りだ。

前巷説百物語』本文より

御行の又市の巷説百物語のシリーズの1作。
『前(さきの)』というだけに又市が御行の又市として動き出すまでの物語。


時として「この小説を読んでよかった」と心の底から思わされる作品ってあるものだけれども、明らかにその1作。
「続」「後」と読むたびに驚嘆していたけれども、またこの「前」もショッキングでそして又市の凄絶でドラマティックだった。

もう最後まで読んだ時には彼の「御行奉為」という言葉の持つ奥深さに涙でも出てしまうかと思った。
もはやただの弔いの言葉ってだけじゃない。
彼が御行という身をまとうことによって、彼の本心を隠し孤高の存在と見えるように振舞っていたのかと思うと…


真実を人心を利用した巷説によって隠し、裁けぬはずの悪を裁く。
たとえ人を殺めようとも、か。
そんな仕事の中で又市は何を思い、何を成そうとしていたのか。
今まで百介の目を通して描かれていた物語が、又市の目線に変化することで今までの話にも一気に深みが増したそんな1作だと思います。

【ミステリ】陰摩羅鬼の瑕

本→京極夏彦
08 /07 2008
陰摩羅鬼の瑕
京極夏彦
講談社ノベルス
陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず) (講談社ノベルス)陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず) (講談社ノベルス)
(2003/08/09)
京極 夏彦

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伯爵は私を視た。
そして問う。
「貴方にとって生きて居ることと云うのはどのような意味を持つのです――」

陰摩羅鬼の瑕』本分より

買ってから随分長いこと放置していた京極堂のシリーズ7作目『陰摩羅鬼の瑕』を読了。
『邪魅の雫』を読んだ時にそういえば前作を読んでないよーなと思ったのだが、やっぱり読んでいなかった模様(笑
それからさらに積読で熟成させてたみたいです。


「鳥の城」と呼ばれる伯爵の館で起きた4つの事件。
花嫁が初夜のあと何者かに殺された事件が4回連続して起きていた。
犯人いまだ捕まらず。
そして5度目の婚礼が行われるという日に、関口と榎木津が館を訪れる。


な…長かった。
ラスト200ページはものすごく面白かったけど(笑

前半はひたすらに「死」という概念について語られ、関口くんの欝が進行する。
「生きているということと死んでいるということ」そのどちらにも属せないことに気づく苦悩。
これまで以上の悩みっぷりじゃないか関口君(笑

それらも含めて長々と語られることがほぼすべてラストへの伏線とは…
それどころか常に一貫して複雑かつ単純である真相を語るにかかせないことばかりじゃないか。

読み終わって最初の方をさらっと読むだけでも納得。
最初からすでに京極夏彦の術中にはめられたというわけか… orz


登場人物の誰にとっても決してすっきりしない結末。
嫌いじゃないですが、読後に凹むな orz

【ミステリ】今昔続百鬼 雲

本→京極夏彦
06 /22 2007
冒険小説 今昔続百鬼 雲【多々良先生行状記】
京極夏彦
本文イラスト:ふくやまけいこ
講談社ノベルス
メフィスト連載
今昔続百鬼-雲 (講談社ノベルス)今昔続百鬼-雲 (講談社ノベルス)
(2001/11/06)
京極 夏彦

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馬鹿は、互いが馬鹿であることを見抜くと急激に接近する。俺達はあっと云う間に意気投合した。会う度、挨拶代わりに互いの業の深さを哀れみ、病の重さを嘲り合って―それから伝説やらお化けやらの話に明け暮れた。


京極夏彦の『今昔続百鬼』。

収録作品:
・岸涯小僧
・泥田坊
・手の目
・古庫裏婆


今回の主役は妖怪研究家の多々良先生。

いろんなトコを巡っては事件に遭い、これは妖怪のせいだーーとはしゃぎ回る話(笑

妖怪マニアってこれだ!
確かにこれまでも京極堂シリーズや巷説百物語でもたくさんの妖怪を扱ってきていた。
けれども、これは異色。

なんせ妖怪が好きすぎてたまらない研究家が主役である。
ふりまわされる主人公の沼上から見たら滑稽なことこの上ない行動の数々。

けれども、ここまで来ると愛着が沸くのも不思議な話(笑


妖怪大好きーという内容なので、実は妖怪についてかなり深くまでこの本の中で語っているんじゃないだろうか。

それでも"冒険小説"というよりはしっかりと探偵小説をやっていたりするのも不思議だ。


また、滑稽な多々良先生の奇行はふくやまけいこのイラストによってさらにおもしろくなってます。


4話目で京極堂がゲストで出てます。
京極堂出ないんだったら読まねーよ、という人にも読む価値ある…かも。

文庫版 今昔続百鬼 雲 〈多々良先生行状記〉 文庫版 今昔続百鬼 雲 〈多々良先生行状記〉
京極 夏彦 (2006/06/15)
講談社

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【ミステリ】邪魅の雫

本→京極夏彦
11 /08 2006
邪魅の雫
京極夏彦
講談社ノベルス
邪魅の雫 (講談社ノベルス)邪魅の雫 (講談社ノベルス)
(2006/09/27)
京極 夏彦

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殺人。
悪事である。犯罪である。許されぬ行為である。
ひとごろしは、報いを受けねばならぬのだろう。
-何故だろう。



3年ぶりの京極堂シリーズ本編。

江戸川から大磯まで連続して起こる毒殺事件。


懐かしい面々と久々に再会したかのような気分。
この本の厚さ!
京極夏彦を読んでるなぁという感覚!
懐かしくて先が楽しみで終わるのが残念な不思議なそんな感覚。


内容自体は「殺す」というものについて深く深く掘り下げてるよなぁ。
何故殺すのか。
殺すとは一体どういうことなのか。

そんなことを考えつつ、それよりもやっぱり榎木津と愉快な仲間たちのやりとりを楽しんでいた気がする(笑

【小説】後巷説百物語

本→京極夏彦
09 /05 2006
後巷説百物語
京極夏彦
中央公論社
Cノベルス
後巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)後巷説百物語 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)
(2006/02)
京極 夏彦

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巷説百物語3作目。

第130回直木賞受賞作品。


長い。
800ページ…。
持つのも疲れる(笑
まぁそれは毎度のことのような気も致しますが。
長いので少しずつ読んでいこうかと。


赤えいの魚
百介がご老人になってる!?
その百助が若いものに向けて語るという形なんだろうか。
なんだかそれはそれで、物語を聞いているような感覚に陥る。

常識が常識として認識されない島にやってきた百助が見た狂気の世界という奴でしょうか。
総てが自分の思い通りになってしまうというのはあまりに窮屈なんだろうな…。
今回の又市が描いた仕掛けがえらく怖いんですが。

天火
ぎゃー。
なんて最終回っぽい話。
帷子辻の直後のお話。

大塩平八郎の乱の頃の飢餓にあえいでいた時代、ある村での村人と権力者の話でもある。
……シリーズとして読んでいる人へのサプライズのような気もした。

手負い蛇
70年生きた蛇にまつわる話。
70年前に封印された匣の中から蛇が出てきて噛みつき人を殺した。
そしてその昔この匣に百介と又市も関わっていた。

物語の初っ端から不気味な展開。
はたしてこれは祟りなのか、というものが成り立つこの世界観はやっぱり好きだ

山男
--残るは巷の怪しい噂。
まさにこの言葉のための話。
又市の仕掛けとはまさにこうするためにこそある。
真実はひっそりと噂の中へと隠れるかのような。

五位の光

又市さんとの最後の話!?
じゃああとに残った話は!?
時代の境目のような話だろうか。
江戸と明治とを分け隔て…
話としては確かにおもしろい。
おもしろいけれどもそれよりもこのあとの最後に残っている話が気になって仕方がない。

風の神
ラスト。
あぁ
終わるんだな…
あのブ厚い本を読み始めてから4日。
最後の方はなんか終わらないでこのまま此処にいたい、読んでいたいという気持ちで読んでいた。

そんな最後の話「風の神」は巷説百物語の一番最後を飾るに相応しい話でした。

【小説】覘き小平次

本→京極夏彦
08 /11 2006
覘き小平次
京極夏彦
C NOVELS
覘き小平次 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)覘き小平次 (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)
(2005/02)
京極 夏彦

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シリーズものなのか単発ものなのかどっちなんだろう。
一応又一でてます。


主役は小平次。
役者で幽霊の役をやらせたら右に出るものはいない。
しかし、生活面で言えば人間とは思えぬものであった。
襖の奥に潜み、襖の隙間からじっと外を眺める。
ただそれだけの人間であった。



怖い。
小平次は確かに生きている人間には違いないのだが存在が怖ろしい。
幽霊とはこのようなものといっても差し支えないんじゃなかろうか。
存在は在る。
しかし、人と接さず、潜み、眺めるだけ。
彼は一体"なにをしている"のだろうか。
さっぱり分からない。
生きている者のはずなのにそれがまったく読み取れない。
小平次視点で語られている話も出ている。
それを読む限りでは小平次は決して幽霊ではなく少し変わった人間であるのだけれど…。

なぜそこに居るのかまったく分からず、容貌や雰囲気からこの世のものならざるもののように思われる小平次。
幽霊もそうである。
居るだけで怖ろしい。
人間の思考で分からないものだからこそ怖ろしいんだと思う。


やっぱり京極夏彦は夏に読むのに適してるよなぁ。
ゾッとできる。
怪談話としても楽しめるし、又一が何を仕掛けようとしているのかも楽しめたかな。


そろそろ『邪魅の雫』が出るようですねぇ。

【ミステリ】百器徒然袋 風

本→京極夏彦
04 /02 2006
百器徒然袋 風
京極夏彦
講談社ノベルス
百器徒然袋 風 (講談社ノベルス)百器徒然袋 風 (講談社ノベルス)
(2004/07/06)
京極 夏彦

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・五徳猫
・雲外鏡
・面霊気

探偵・榎木津礼二郎の下僕の本島が主人公の中編集



感想とか

榎木津礼二郎と愉快な下僕たちの話たちです。

本島が哀れすぎます。
榎木津がアホカッコイイです。
面霊気のラストの封筒のシーンが好きです。

……京極夏彦全般に言えるブ厚いというのもそろそろ慣れてきた。
それよりこの「風」をブ厚いと感じなかった時点でもうどうかしてると思う。

【小説】百器徒然袋 雨

本→京極夏彦
09 /20 2005
百器徒然袋 雨
京極夏彦
講談社文庫
文庫版 百器徒然袋 雨 (講談社文庫)文庫版 百器徒然袋 雨 (講談社文庫)
(2005/09/15)
京極 夏彦

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京極夏彦の妖怪シリーズの番外編的位置付けの作品。
探偵「榎木津礼二郎」を主人公にすえた百器徒然袋第一弾。

他人の記憶が「見えてしまう」探偵。
自分は神であり、自分を中心に世界が回っているように本気で思っている。
その上、金持ちの息子。
普通に考えたらとんでもなく厭な人物に思えてならないはずなのだが、なぜかこの榎木津という探偵の存在は許せてしまう。
人を「バカオロカ」と平気で呼ぼうが、人の名前を一向に覚えようとしなかったり、服を選ぶのに2時間かかったり……
『周りの人にあわせたりせずに自分のスタイルを貫く』そんな姿勢に憧れすら抱けてしまう。
それになによりもこの榎木津が悪い奴ではないということに好感が持てる。
「アイツはちょっと変な奴だけどイイ奴だ」
そんな人物。


この榎木津や京極堂シリーズの本来の主人公である中尊寺明彦らが活躍する『姑獲鳥の夏』が映画化されたが、外伝的なこの本まで映像化されたらおもしろいだろうなぁ。

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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