The World Is Made Out Of Entertainment
本や映画・ドラマ・アニメの感想などを書いてる日記blog。
【ミステリ】φは壊れたね
PATH CONNECTED φ BROKE
森博嗣
講談社ノベルス
![]() | Φは壊れたね (講談社ノベルス) (2004/09/10) 森 博嗣 商品詳細を見る |
「しかし、今回の《φは壊れたね》の意味を考察しているんでしょう? 無駄な議論をしていると思うなあ」
『φは壊れたね』本文より
「いえいえ、そもそも議論の大半は無駄なのです」
森博嗣のGシリーズ1冊目『φは壊れたね』を再読。
密室状態で見つかった死体。
その死体発見の現場は部屋に仕掛けられたカメラによって撮影されていた。
ビデオのタイトルは『φは壊れたね』。
いったい誰がなんのために。
S&Mシリーズの西之園萌絵や新メンバーたちによるミステリ。
S&Mから四季まで辿りつき、これを読んだときには「なんだこれ」と思った。
なんか淡々としすぎてないか?とかミステリとしての重厚さが足りないんじゃないか orz、と。
いやいや。
これまでのシリーズに比べて圧倒的に読みやすいし、くすっと笑える部分が増えたように思う。
特にこのシリーズから参加した登場人物たちの軽快な会話や、あまりに無駄な議論が非常に楽しいんだよなー。
今年は久々にGシリーズの新刊出るみたいだし、ちょこっと再読でもはじめてみようかと思います。
【絵本】STAR EGG
森博嗣
文藝春秋
![]() | STAR EGG 星の玉子さま (2004/11/03) 森 博嗣 商品詳細を見る |
人が一人だけしかいない星では、その人が何をするのか、
『STAR EGG』本文より
ということで、その星の雰囲気が決まります。
森博嗣による『STAR EGG』。
絵も森博嗣。
お世話になった方々から図書カードをプレゼントにもらったので、それを使って自分のためだけのプレゼントに買ってきた。
もちろん文庫版じゃなくて単行本の方で。
絵本なんだから、もっとも綺麗な状態で残る形の本で読みたかったので(笑
この絵本の中には「孤独」と「夢」が詰まっていた。
いろんな星に住んでいる人たちを主人公の玉子さまが訪れる話。
一つ一つの星が独特の雰囲気を持っていて、星の個性を出している。
一つとして同じものはない。
けれども個人個人はとても孤独。
でも孤独を孤独と思うそのこと自体に優しさを感じた。
他の人がいてはじめて自分を寂しい=孤独と感じる。
なるほど。
そう思ったら孤独っていうのは決して孤独ではないじゃないか。
他の人=星があるのならば、そこを目指せばいい。
またもう一つのテーマとして「夢」があった。
その夢のために自分の世界を創っていく。
「なぜ」「どうすれば」という好奇心をもって没頭する。
そうして夢を作り出していく。
それって素敵なことだよなぁ。
読んでいて孤独という概念が覆されたかも。
【メフィ】工作少年の日々
Under Construction Forever
森博嗣
集英社文庫
小説すばる連載
![]() | 工作少年の日々 (集英社文庫 も 24-2) (集英社文庫 も 24-2) (2008/01/18) 森 博嗣 商品詳細を見る |
自己完結することが趣味の醍醐味だと書いた。しかし、同時に、完結しそうにない予感こそ、ときに人が生きていく糧になるものだ。
森博嗣『工作少年の日々』本文より引用
森博嗣のエッセイ『工作少年の日々』。
ものづくりに対する姿勢、特に森博嗣の趣味の範囲である工作について書かれたエッセイ。
工作だけに関わらず、好きなものに対しての取り組み方や考え方って言ったほうがいいかもしれない。
それはこのエッセイに関わらずMLAでも過去の日記シリーズでも一貫して書かれていると思う。
ここまで長い間自分自身の意見っていうのがブレていないように思えるのもすごいことだ。
特にものを作るにあたって楽しみながら作る、また趣味に没頭して楽しむ。
それが好きならばそれでいいじゃないか。
周りは周り、自分は自分の好きなことをしたらいいという考え方には特に共感。
【メフィ】タカイ×タカイ
Crucifixion
森博嗣
カバーデザイン:坂野公一
講談社ノベルス
![]() | タカイ×タカイ (講談社ノベルス モF- 41) (2008/01/11) 森 博嗣 商品詳細を見る |
「そうそう、人間の子供って、たかいたかいってすると、面白がるでしょう? 怖がりませんよね。犬なんか、あんなことしたら、びっくりしますよ。人間って、どうして怖いのが好きなんでしょう? ジェットコースタとかもそうだし」
森博嗣『タカイ×タカイ』本文より引用
「これは大丈夫っていう理解力? 信頼?」
「危険を知らないだけなんじゃないかな。鈍感だってことじゃないですか?」
「そうかもね。鈍感だからこそ、ここまで、地球を支配できたのかもしれない」
Xシリーズ3冊目『タカイ×タカイ』。
高さ15メートルのポールの上でマジシャンが死んでいたことから事件ははじまる。
今までのXシリーズのようにシンプルに、かつ人間の本質に迫るような内容だった。
真鍋くんのズレているようで、本質的なことを突いていて読んでて「はっ」とさせられるような論理が素敵だ。
なぜ殺してそしてトリックを用いようとするのか、なぜ意味のないことを人はするのか、など。
シンプルでとても魅力的な謎の解明も、そこにいたる楽しい知的で日常的な会話も読んでいて楽しい。
Gシリーズがはじまった時などは物足りなさを感じたけれども、ここ最近のGとXシリーズはそういう会話ですらものすごく楽しく感じてきた(笑
なぜ高さ15メートルのポールの上で殺されていたのかという謎も、あまりに単純だけれども納得できてそれでいて気づけないところがなんか日常的。
魅力的な謎っていうのはあんがい近いところにあるところから作り出されるもんなのかもな、と読んでいて思った。
【メフィ】クレイドゥ・ザ・スカイ
Cradle the Sky
森博嗣
イラスト:鶴田謙二
Cノベルス(中央公論新社)
![]() | クレィドゥ・ザ・スカイ (C・Novels BIBLIOTHEQUE 84-5) (2007/10) 森 博嗣 商品詳細を見る |
今までの人生がすべて幻だったとしても、僕は全然驚かない。それくらい希薄なのだ。僕はまだ病院のベッドで眠っているのかもしれない。今も夢を見ているのかもしれないじゃないか。
『クレイドゥ・ザ・スカイ』本文より引用
あまりにも長い夢を見すぎた。
煙を吐く。
ああ……、どうしよう。
もう、いい加減に、こんな不完全な連鎖は断ち切るべきなんじゃないか?
『スカイ・クロラ』からはじまる5部作の最終巻。
"Cradle the Sky"。
空こそが安らぎの場所であるゆりかごのよう、っていうような意味だろうか。
地上で色んなしがらみに縛られて生きていることこそが不自然。
空を飛行機で飛び、相手の戦闘機とダンスを踊り、死ぬときは空の中で。
空で生きていることの方が自然。
だから空で生きようとしているだけのキルドレたち。
でも、彼らを戦争の道具に使い、政治の手ごまに使う人達がいる。
言ってしまえば戦争の道具になっている主人公たち。
でも人間らしさから離れている空に憬れる彼らの方が人間らしいんだよな…
平和のためという口実で戦争の道具にしてしまっている人類の方が人間らしくないように思えてくる。
もはや「人間らしくない」とも言える様なあまりに純粋すぎるキルドレの子供たちの思考には憬れるんだけれども、もう戻れないよな、と思ってしまう(笑
鶴田謙二がイラストを書いているということで買いはじめたノベルス版だけれども、この最終巻のイラストはこのシリーズの核をついているような気がする。
すんごくよかった!
タグ : 森博嗣 クレイドゥ・ザ・スカイ Cノベルス 鶴田謙二
【メフィ】探偵伯爵と僕
His name is Earl
森博嗣
カバー・口絵イラスト:山田章博
講談社ノベルス
![]() | 探偵伯爵と僕 (講談社ノベルス モF- 40) 森 博嗣 (2007/11/07) 講談社 この商品の詳細を見る |
僕が初めて伯爵を見たのは、小学校の隣にある公園だった。まだ夏休みまえのことだ。真っ黒な服装の大人の人がブランコに乗っていた。
『探偵伯爵と僕』本文より引用
ミステリーランドの1冊の『探偵伯爵と僕』が新書落ち。
ミステリーランドは文庫などにはならないと当初は聞いていたので喜ばしい限り(笑
ミステリーランド版と比べて山田章博による挿絵が多くなっているようです。
アールと名乗る探偵伯爵と僕=新太が出会って、僕の友人の失踪事件の謎を解いていく。
他人から見たらひどく怪しい人物である探偵伯爵。
自らを伯爵と名乗り、しかもアールという名前だという。
昼間から町をぶらつき(まぁ探偵なんで)、ゆえに新太のお母さんからは評判が悪い(そりゃそうだわな。
そんな伯爵と友達になり、関わっていくうちに次第にいろんなことに気づいていく。
終始子供の視線から見ている物語だけに、社会への疑問がどんどん沸いたり、すごく些細なことでも気になっと書かれていたり。
そういう風に描かれているので、童心に還って読めたような気がする。
大人でもまだまだ疑問は沢山持てるもんだ。
そしてなにより探偵伯爵の謎めいた雰囲気が大好きだ。
決して物事の疑問をさっと答えてくれない(笑
逆に疑問をさらに掘り下げて考えさせるように投げかけられたりもするし。
ラストの2ページには正直ゾッとした。
その2ページの影響でもう1回読んで見る必要があるかもなー、とすら思えた。
【メフィ】工学部・水柿助教授の逡巡
The Hesitation of Dr.Mizukaki
森博嗣
表紙イラスト:大竹茂夫「アルバトロス」
幻冬舎文庫
星星峡連載
![]() | 工学部・水柿助教授の逡巡―The Hesitation of Dr.Mizukaki (幻冬舎文庫 も 3-8) 森 博嗣 (2007/10) 幻冬舎 この商品の詳細を見る |
このまえも、水柿君は学生に、ぼそっとこう言ってしまった。
『工学部・水柿助教授の逡巡』本文より引用
「マジっていうのは、あれは、真面目の省略形だよね」
「え、マジですか?」
森博嗣の水柿君シリーズ第2弾。
単行本から約3年。
ついに文庫落ち。
文庫版の解説はよしもとばなな。
工学部の助教授である水柿君がついに本を書き、作家デビューしたあたりのエピソードが収録されている。
本を出し始めても別にそんなに世界が変わるわけではなかった。
奥さんと普段の会話をして思ったこととか、学生と喋って気づいたこととか、いかに模型が作りたいかということをつらつらと書かれている小説。
まるで森博嗣自身の話のようだけれども、別に森博嗣自身に重ねて書かれたというわけではなく、でも実は本当にあったエピソードもあるのかもしれない(笑
しかし、やはり森博嗣と重ねて読んでしまうのが読者というもの(笑
そりゃ日記のシリーズやblogを読んでたら…。
小説として読むとなんだか、ごちゃごちゃと結果として「何がいいたいんだ」ということになりかねないようなものなので、
これはエッセイとして軽ーく読むのが一番楽しめる本だと思う。
編集者の唐本さんとのやりとりが妙に現実感漂ってた気がする。
唐木さん自身もこんな人なのかなーと思ったりとかしながら読めちゃったし。。
こうやって無意識的に唐木さんのイメージがついていくものなんだろう(笑い
さて、そうなると森博嗣の奥さんのささきすばるの印象はすでにこのシリーズで定着しているといえるだろう。
かといって定着させてしまったところで本人に会うことがあるわけでもなし(笑
【メフィ】キラレ×キラレ
森博嗣
カバーデザイン:坂野公一
講談社ノベルス
![]() | キラレ×キラレ (講談社ノベルス (モF-39)) 森 博嗣 (2007/09) 講談社 この商品の詳細を見る |
「なんか普通に見えるのに、普通の人として生活しているのに、その奥に異常な精神が潜んでいる、それがときどき、なんかの拍子で現れてくる、そんなのが怖い」
『キラレ×キラレ』本文より引用
「ホラーですよね」
「ホラーよ、うん。結局、普通の人間が一番怖いのよ。」
森博嗣の『Xシリーズ』2冊目『キラレ×キラレ』。
講談社のメルマガによると次もXシリーズ、そのあとにまたGシリーズに戻るらしい。
Xシリーズはあと3冊くらい、Gシリーズはあと6冊くらいらしい。
『キラレ×キラレ』の話に戻ろう。
事件は切り裂き魔。
満員電車の中でいつの間にかカッターナイフのようなもので切りつけられるという事件が何件か起きる。
被害者は30前後の女性ばかり。
誰がなんのために?
故意に被害者を選んだのか無差別に切りつけているのか。
帯を見たときは「なんて地味な」と思った。
読んでみたら意外と面白かった。
空転する推理やいつものウェットにとんだジョークや日本語がうまく通じない会話というのは読んでて楽しい。
なんだろうな。
たとえ無駄な部分であったとしても議論によって物事の本質が見えてくるさまというのはまるで読んでるこちら側も議論に参加しているような気分になる。
例えば、今回の「何の変哲もない普通に生活している人が、女性を切りつけることに興奮を覚えるようになった心理状態」の議論なんかはゾクっとした。
それは誰もがなる可能性があり、なにがきっかけでそうなってしまうのかは断言できない。
今まで無害だった人やものが急に原因になることがある。
近年流行している花粉症などは昔から花粉は存在していたのに、なぜ近年になってアレルギー症状となったように、無害から有害になるものもある。
では時代の変化によってあらゆるものは変化する可能性があるということか…
…おもしろい部分も多々あったんだけど、まだXシリーズの登場人物が覚えられない orz
【メフィ】悠々おもちゃライフ
森博嗣
講談社文庫
ラピタ連載
![]() | 悠悠おもちゃライフ (講談社文庫) 森 博嗣 (2007/07/14) 講談社 この商品の詳細を見る |
趣味には理解者が必要だが、理解者に振り回されてはいけない。なぜなら趣味は、あくまでも個人的で我儘なものだからだ。
『悠々おもちゃライフ』裏表紙より。
森博嗣がラピタで連載した『悠々おもちゃライフ』に単行本未収録の3本を収録した完全版。
フルカラー。
まぁ少なくとも小説というジャンルの本ではない。
機関車、車、ぬいぐるみに飛行機。
多種多様な趣味をもつ森博嗣が仕事としておもちゃを語った本。
語ったというのもヘンだな。
森博嗣が思うところの趣味とは何であるかを幼少期から大人に至るまでに体験したことを交えて"こう考える"ということが書かれている。
森博嗣のファンであるのなら、少なくともMORI LOG ACADEMYあたりを読んで問題なく読めたら読んでみるといいんじゃないだろうか。
内容が趣味の話であるだけにミステリ好きの人を意識して書かれたものではないから。
対象とされている読者はラピタを含め、趣味を満喫する人。
またはいわゆる「いい大人」という年齢になってからでも未だに機関車や飛行機といった趣味を謳歌できる人。
なのでそこらへんでひく人は読まない方が賢明かも(笑
大丈夫な人とか、MORI LOG ACADEMYのファンとか森博嗣の思考に興味がある人にはオススメ。
参考:
MORI LOG ACADEMY : http://blog.mf-davinci.com/mori_log/index.php
【メフィ】フラッタ・リンツ・ライフ
Flutter into Life
森博嗣
表紙イラスト:鶴田謙二
中央公論新社 Cノベルス

「知っているんだ。
命がここにあることを。
僕の命も、
君の命も、
すべてがここにある。
ここにあった。
堕ちていった奴らの命さえも、
ここにある。
ずっと……。」
スカイ・クロラのシリーズ4作目ノベルス版。
ようやく出た(笑
半年くらい伸びてたんかなぁ。
鶴田謙二のイラストが遅れたかららしいけど。
いやいや、「鶴謙ファンの気持ちは鶴謙ファンでなけりゃ、わかるもんかよ、ねぇあんた!」という素晴らしいキャッチフレーズが公式ファンサイトの少年科學倶楽部にあるけど、森博嗣のファンにも味あわせたわけだな(笑
そしてアベ商やforgetの続きはいつなんだろう(笑
しかし、その甲斐あってか表紙イラストと中のイラストは素晴らしかった。
人間であること、人間でないこと、女性であること、生きていること、死んでいること。
そんな主人公が持つ疑問が見事に表されていたと思う。
そしてその疑問こそが4巻でも深く問われる。
深いよな…
次で最終巻。
ノベルス版と同じときに単行本が出てるはず。
さて、ノベルス落ちはいつになるんかなぁ。
![]() | フラッタ・リンツ・ライフ 森 博嗣 (2007/05) 中央公論新社 この商品の詳細を見る |
タグ : 森博嗣 スカイ・クロラ フラッタ・リンツ・ライフ 鶴田謙二 Cノベルス
【メフィ】イナイ×イナイ
Peekaboo
森博嗣
講談社ノベルス

「うん、なんか、ちょっとロマンティックでしょう?」
「ロマンティック?
いや、どちらかというと、グロテスクだと思います。」
「ああ、そうか、そう感じるわけね」
森博嗣の「Xシリーズ」第1弾『イナイ×イナイ』。
Gシリーズはどこ行った?と思わないでもないけれども、そのうち出るでしょう。
今までの講談社ノベルスで出してた本に共通してた理系っぽさはなくなってきた感じ。
むしろ文系さが出てきたと言えるかも。
でも世代の差というか個人と個人の見解の差異から来る会話がしっかりかみ合わないことをコメディのように見せるのは健在。
あとはポエティックな構成。
これもまだまだ活躍。
事件そのものは古典的でどこか懐かしいミステリ読んでるような感じの陰鬱さが立ち込めてるけど、登場人物たちが少し軽い感じなんで、随分と変わった雰囲気を纏って物語が進んでいく。
なんていうか…軽快?
そんな感じ。
そして…(以下ネタバレあり)
【メフィ】堕ちていく僕たち
Falling Ropewalkers
森博嗣
集英社文庫
小説すばる連載

「もちろん、男に戻りたいなんて、一度も思わない。やっぱり、女性の精神って、そういうふうにできているんだね。著しく安定したポテンシャルなんだ。」
森博嗣の『堕ちていく僕たち』。
久々に再読。
5つの短編からなる本。
そのどれもが女性を語っていて、けれども別にセクシャルな内容を語るわけでもなく。
なんか不思議な感じ。
それはこの本の文体が一人称ですべて語られているのか。
小説でありながらやけに詩的な感じがするからなのか。
少なくとも、不思議なラーメンを食べたことで男から女に性別が変わってしまったのに、そんなに動揺することなく受け入れる人たちは不思議だ。
性別が変わろうと少なくともこの人たちは自分という存在を尊重してるよなぁ。
えぇもう森博嗣の本の中でもとびっきり不思議な本だと思う。
![]() | 墜ちていく僕たち 森 博嗣 (2004/05) 集英社 この商品の詳細を見る |
【メフィ】人間は考えるFになる
土屋賢二
森博嗣
講談社文庫

「見かけと実際は違う。たとえばわたしは見かけは貧弱だが、内面は自分で言うのも何だが……」
「えっ もっと貧弱なんですか?」
森博嗣と土屋賢二の対談本「人間は考えるFになる」。
表紙イラストはコジマケン。
巻末に森博嗣の小説「そこに論点があるか、あるいは何もないか」と土屋賢二の小説「消えたボールペンの謎」が収録。
文庫では二人のあとがきも収録されています。
さて、この二人。
どっちも大学で教鞭をとりつつ研究を重ね、かつ本を出している人です。
森博嗣はミステリィなど、土屋賢二はエッセイで有名。
大学という場所はヘンな人間が集まるものだと思ってるけど、この二人は色んな意味で突出してるよなぁ。
森博嗣の日記などでは森博嗣の思考はよく知ることができるけれども、この対談だとお互いに話しているわけだからやりとりをする。
そしてそのやりとりがものすごく面白い。
会話ってこんなに楽しいもんなのか(笑
巻末におふたりの小説が載っているわけだけれども、これもまた対談の延長にある話でまた楽しめる。
特に土屋賢二の小説はおもしろい。
なんだろう。
あのネガティブさはクセになる(笑
対談本だから内容に期待はしてないでとりあえず森博嗣だから買ったってだけだったけど、それ以上の楽しさをこの本から貰えた気がする。
森博嗣の小説だけじゃなくモリログアカデミィなどでさえも楽しめる人向け。
人間は考えるFになる / 森 博嗣、土屋 賢二 他
タグ : 森博嗣 土屋賢二 人間は考えるFになる 講談社文庫 コジマケン
【メフィ】魔的
【メフィ】ηなのに夢のよう
Dreamily in spite of η
森博嗣
講談社ノベルス

「今日大丈夫だから、明日も大丈夫だなんて、約束はとてもできないでしょう?」
Gシリーズ第6弾「ηなのに夢のよう」。
読み方は「イータ」。
地上12メートルで首をつって死んでいた自殺者。
なぜそのような場所で自殺をしたのか。
そしてそこには再びギリシャ文字のつく遺留品があった。
もはや森ミステリィではないな…。
森博嗣独特の…しかもいままで以上に。
なんかすべてを統合していくような。
そんな印象を受けた。
当初からあった、真賀田四季の影。
それに紅子や保呂草さんも加わり…
妃真加島に関わったあらゆる人たちが集ってきた。
なんなんだろう。
どこへ向かおうというんだ。
このGシリーズという物語はっ。
ηなのに夢のよう / 森 博嗣
【メフィ】四季 冬
Black Winter
森博嗣
講談社文庫

「私たちは、どこへ行くと思います?」
「どこへ?」
「どこから来た?私は誰?どこへ行く?」
「貴女は、貴女から生まれ、貴女は貴女です。そして、どこへも行かない」
四季、最終章。
すべての終わりであり到達点であり、始まりの物語。
「真賀田四季」とは一体なんだったのか。
人だったのか、人ですらなく人を超えた存在であったのか、それとも彼女は神だったのか。
真賀田四季とは一体何者だったのかを四季自身の目を通して問う物語だった。
そして物語は終わった。
けれども、読者は知ってしまった。
真賀田四季の存在、シリーズすべての別の視点を。
うーむ。
読み返せば新たな読み方ができてしまうんだろうなぁ。
そしてその量が多かろうとも再び読むことは楽しみですらある(笑
四季 冬 / 森 博嗣
【メフィ】四季 秋
White Autumn
森博嗣
講談社文庫

「涙を見てくれる人がいる。
疑問を受け止めてくれる人がいる。
それだけで、充分ではないか。
彼女は目を瞑って息を吸った。
静かに、
自分が泣くことを許すように、
沢山のことを許さなくてはいけない、と彼女は思った。」
四季、三作目。
秋。
犀川創平、西之園萌絵、紅子、保呂草、各務亜樹良。
これまでのシリーズの主人公たちが集い、天才、真賀田四季をめぐって彼らは出会う。
そしてその話は…乖離していた物語たちが「真賀田四季」という一つのキーワードを基に一つの枠の中に収束した、そんな話だった。
この物語の大きな構造はとても綺麗だと思った。
S&Mシリーズの最終回であり、Vシリーズのラストでもあると言えるんじゃないだろうか。
この「四季 秋」は。
残すところは「四季 冬」。
あとは「四季」の物語の終わりを見届けるのみ。
四季 秋 / 森 博嗣
【メフィ】猫の建築家
A Cat of Architect
作 森博嗣
画 佐久間真人
光文社文庫

「理由もなく存在するものが、もしかして、あるのだろうか。
もしかして、それが「美」だろうか」
森博嗣と佐久間真人による絵本の文庫版。
絵本ですら文庫になるんだな…。
建築家の猫による「美」の追求。
人なんて誰も出てこない。
出てくるのは猫たちと風景のみ。
主人公の猫はひたすらに見えない触れない「美」を探す。
どこにあるのか、なにが「美」なのか。
目に見えたあらゆるものに触れながら「どうしてそう在るのか?」という疑問を持ちながら歩き続ける。
なんて猫らしくない(笑
けれども、急ぎ足で歩き続けて、周りの風景をなんとなくしか認識しない人間よりもずっと思慮深いよなぁ。
絵本だけれども、大人向け。
そして英語に翻訳された文も載っているのでグローバルな絵本でもあります。
猫の建築家 / 森 博嗣
【メフィ】少し変わった子あります
Eccentric persons are in stock
森博嗣
文藝春秋

「とぎれとぎれに思い出す記憶のように、転々と人から人へと、意識は渡り歩いているのではないか。その人その人になりすまし、次々に新しい町を訪ねるように。」
連作短編…か。
短編には変わらないけど、なんだろこのジャンル。
とにかく変わった小説だった。
ただ、主人公の大学の先生と様々な女の子がただ食事を一緒にするだけ。
それぞれがそれぞれの個性を持っていて、その場かぎりの会話を楽しむ。
プライベートなことを聞くわけでもなし、その人に触れるわけでもない。
一期一会。
もう会うこともない人とただ文字のとおりに「会話をするだけ」。
ただの会話、されど会話。
森博嗣が書くと会話はここまでおもしろくなるのか。
そして最後には別々の話と思っていたのにしっかりと話が完結するところがまたいいよなぁ。
あ、なるほど、と。
少し変わった子あります / 森 博嗣
タグ : 森博嗣
【メフィ】四季 夏
Red Summer
森博嗣
講談社文庫

「受精すれば、花は枯れる。
しかし、人は子孫を生んでも、まだ生きようとする。
何のために?
循環を望んでいるようで、阻害する。
永遠を望んでいるようで、悉く断ち切る。
一瞬の本能だけが、生命の循環を支えている。
脆弱だ。」
四季シリーズ第2弾。
四季、13歳。
天才であるがゆえに、感情を理解し得ない。
すべてはロジカルなものであり、それゆえに先の先まで見通せる。
しかし、この夏で四季は人に興味を持つ。
人に興味を持つことで、人を理解しようとし、人から何かを得ようとする。
天才を経て人に近づいていく、という様もこの巻の見所のひとつだけれども、
「すべてがFになる」の一つの真相、そしてS&MシリーズとVシリーズの間に張られた伏線がついに明かされる。
はじめて読んだときには驚愕した。
しかもものすごく(笑
ここまでが一番の盛り上がりを見せるところ。
そしてあとの残りの秋と冬でシリーズの一つの締めくくりへと向かっていく。
四季 夏 / 森 博嗣
タグ : 森博嗣













