【小説】コーヒーブルース

コーヒーブルース
小路幸也
実業之日本社文庫
コーヒーブルース Coffee blues (実業之日本社文庫)
小路 幸也
実業之日本社 (2015-01-31)
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「ブルースが流れ続けるってわけさ。お前の毎日には」

コーヒーブルース』本文より

小路幸也の『コーヒーブルース』。
なにげなく読んで解説で「モーニング」と同じシリーズと聞いて驚く。
なんか、さもありなん。

何の気なしに行方不明の子を探しだすうちに大きな問題にぶつかっていく。
しかしまたこの珈琲店に集う面々のなんと頼もしいこと。
ここから年代を重ねていくとモーニングの時代へと突入していくわけで、渋カッコいい世界になっていくわけか。

ジャジーな感じの小路幸也世界だった。

tag : コーヒーブルース 小路幸也 実業之日本社文庫

【小説】猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷

猫と妻と暮らす 蘆野原偲郷
小路幸也
徳間文庫
猫と妻と暮らす: 蘆野原偲郷 (徳間文庫)
小路 幸也
徳間書店 (2014-04-04)
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まぁ考えても詮無いことなのだろう。この世の事はなるようにしかならない。郷の人間はただただ自分たちにできることを為すだけなのだから。

猫と妻と暮らす』本文より

小路幸也猫と妻と暮らす』。

あれ。これはまた…
妻が猫に変わる。
それはいい。
しっかりファンタジーしていて、禍に立ち向かう郷の人たちと自分の故郷に対する郷愁であったり、郷の人間であるからこその義務の描き方が絶妙。
決してやさしく人情あふれるいつもの作風とはまた少し違うのだけれども、これ同じ世界観の話もっと読んでみたくなるなぁ。

tag : 猫と妻と暮らす 小路幸也 徳間文庫

【小説】キシャツー

キシャツー
小路幸也
河出文庫
キシャツー (河出文庫)
小路 幸也
河出書房新社
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「大学に入って勉強するのはもちろんだけどさ、違う街で違う自分になって、この町で出来上がっていった今の自分と比べてどうかとか、そういうことを考え続けていけなきゃならないのさ」

キシャツー』本文より


小路幸也の『キシャツー』。

田舎町へいって姉を探す主人公と、彼とともに一緒に探す地元の学生たち。
海と海沿いの町とその町を走る電車の田舎的な光景と、その町でいろんな将来を考え行動していくみんながきらりと光ってる。
郷愁感もだけど、ほのぼのとした町の雰囲気すきだなぁ。

tag : キシャツー 小路幸也 河出文庫

【小説】東京ピーターパン

東京ピーターパン
小路幸也
角川文庫
東京ピーターパン (角川文庫)
小路 幸也
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人と出会って、仕事をして、人と別れて、日々を暮らして。そう、毎日を暮らすってことを意識できるようになった、気がする。
それまでは、ただ生きているだけだった。

東京ピーターパン』本文より


小路幸也の『東京ピーターパン』。
それぞれの異なった登場人物が、年齢も職業も状況もまったく違う。
そんな人たちが集って、未来をもう一度見つめなおす。

もうこの人たちのまっすぐさ、やさしさに癒されるわ。

tag : 東京ピーターパン 小路幸也 角川文庫

【小説】荻窪シェアハウス小助川

荻窪シェアハウス小助川
小路幸也
新潮文庫
荻窪 シェアハウス小助川 (新潮文庫)
小路 幸也
新潮社 (2014-07-28)
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「こんなにもたくさんの馬鹿がいるのに世の中がうまく回っているのは、正直者が、自分が損をしてるなんて思わずに一生懸命仕事をしているからだ。それでいいって思ってるんだ。そう思える心の強さを、本当の善き人間は持っているのさ」

荻窪シェアハウス小助川』本文より

小路幸也の『荻窪シェアハウス小助川』。
シェアハウスで見つけていく同居人たちのそれぞれの人生。
いい同居人たちに恵まれて少年が夢を持つ青年へと成長していく過程を優しい気持ちで見守れたような読後感。

もちろん主人公だけじゃなく、ホストであるリタイアした医師も夢を見つけていくし、人と人が出会って話して一緒に生活をすることでそれぞれ「何か」を見つけていくっていうのがなんかいいよな。
これが人が出会うことの醍醐味だよなぁ。

tag : 荻窪シェアハウス小助川 小路幸也 新潮文庫

【小説】花咲小路四丁目の聖人

花咲小路四丁目の聖人
小路幸也
ポプラ文庫
花咲小路四丁目の聖人 (ポプラ文庫 日本文学)花咲小路四丁目の聖人 (ポプラ文庫 日本文学)
(2013/10/04)
小路幸也

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私の仕事は常にperfectだ。

花咲小路四丁目の聖人』本文より


少路幸也の『花咲小路四丁目の聖人』。
昔ながらの商店街に潜むおじいちゃん。昔は大泥棒。しかも誰も傷つけず人の幸せのため

にしか盗みをしないある意味義賊。

それを情緒ある商店街の謎と、大きな外部からの陰謀と立ち向かう。

って、これまたずいぶん子供心をくすぐる戦いと恋と。
いいねぇ。
ほんといいものだ。

tag : 花咲小路四丁目の聖人 小路幸也 ポプラ文庫

【小説】ラプソディ・イン・ラブ

ラプソディ・イン・ラブ
少路幸也
PHP文庫
ラプソディ・イン・ラブ (PHP文芸文庫)ラプソディ・イン・ラブ (PHP文芸文庫)
(2013/11/11)
小路幸也

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これは、ドキュメンタリーじゃない。
ノンフィクションでも、フィクションでもない。
笠松市郎という稀代の役者が最後に遺した、彼の覚悟を映したジャンルだ。僕はただ文字通りそれを映しただけだった。

ラプソディ・イン・ラブ』本文より


少路幸也の『ラプソディ・イン・ラブ』。
いつものように家族ものと思いきや、家族であって家族でない。
ばらばらになった家族がひとつの家で過ごす。
それもいままで家族だったように役者が演じて。
でも役者といっても、ちゃんと血のつながりがある家族どおしときたもんだ。

これは演技か、それとも素か。
それぞれが演技を引き出しながら進んでいき、家族が家族として過ごす本質を演技から探そうとしていく。

そのフィクションなのか、ノンフィクションなのか。
境目の中で進んでいくさまがすごく緊張感がある。緊張感があるのに核には柔らかさのあるような小説になってた。

tag : ラプソディ・イン・ラブ 少路幸也 PHP文庫

【小説】ホームタウン

ホームタウン
小路幸也
幻冬舎文庫
ホームタウン (幻冬舎文庫)ホームタウン (幻冬舎文庫)
(2008/10)
小路 幸也

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「だったら私に話しておきなさい」
人に言えないってことは、嫌なことも辛いことも多いんだろうから、そういうのを溜め込んでおくのは身体にも心にも良くないって。

ホームタウン』本文より


小路幸也の『ホームタウン』。
文庫で再読。

殺人犯の両親を持つ主人公。
彼の職業は会社のための内部調査。
ゆえに不正をあばき、暴かれた側は自殺したりもしたりする。
そんな「調べる」ことが仕事の彼の妹が結婚を目前に失踪。
大事な人を探すために奔走するという話。

おお。これはある意味探偵小説のような。
それでいて、殺人犯の両親をもったがゆえに彼を今まで守ってきた心優しい人たちの気持ちのひとつひとつがぐっとくる。

小路幸也の初期の作品だけに、後に昇華されていく「小路幸也らしさ」がまっすぐ届いてくるなぁ。

tag : ホームタウン 小路幸也 幻冬舎文庫

【小説】わたしとトムおじさん

わたしとトムおじさん
小路幸也
朝日文庫
わたしとトムおじさん (朝日文庫)わたしとトムおじさん (朝日文庫)
(2012/09/07)
小路幸也

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「帆奈ちゃんは、何も悪くない。我慢できるのは偉いけど、我慢する必要なんかない。言いたいことは、ぜんぶ、みんなに言えばいいんだ」

わたしとトムおじさん』本文より

小路幸也の『わたしとトムおじさん』。
帰国子女でいじめにあって学校に行く必要がないと思って家族の仕事を手伝う帆奈ちゃん。
引きこもりで、人と話すのも苦手だけれども、古い建物の修復を仕事にするトムおじさん。
ふたりの話であり、人との距離を測りかねている人たちの話でもあって、彼らが話して話して自分たちがどうあるべきなのかを模索する姿にすごく勇気づけられた。

いじめはダメぜったい、なんていうありきたりで陳腐でもう読みあきたアプローチじゃなくて、すごく広い視点で未来を見せて、そしてなによりも彼らがいかに愛されているかという愛情の深さの見せ方になるほどなぁと感心した。
彼らが前にゆっくり進んで行く様をみると、なんだろう、もう大丈夫だという安心もできるんだよな。

tag : わたしとトムおじさん 小路幸也 朝日文庫

【小説】ピースメーカー

ピースメーカー
小路幸也
ポプラ文庫
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(2013/08/02)
小路 幸也

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「無理するな。楽しめ。できるところから少しずつやって、青春の思い出を作ろうぜ」

ピースメーカー』本文より


舞台は1975年の中学校。
文化部と体育系の部活が対立する中学校をピースメーカーと呼ばれる放送部が間を取り持って平和を作っていく。
ロックに彩られ、青春…そう、まさに青春そのものじゃないか。

いくつものバンド名が出てきて、そのロックさ、自由さを楽しみながら学校が風紀を持ち出して対立したり、
ロックに対抗するフォーク派がロックを認めなかったり。
そうだよなぁ70年代といえばこうじゃなきゃ(笑

その時代そのものを映しながらも、それ以上に学校内での過ぎゆく日々やその時である中学生の時にしかない空気というのを久々に感じれたもしれない。
その自由さ、不自由さに対する反抗なんてのはやっぱりあの時にしか感じ得ないわ。
青春だよなぁ。

tag : ピースメーカー 小路幸也 ポプラ文庫

【小説】レディ・マドンナ 東京バンドワゴン

レディ・マドンナ 東京バンドワゴン
小路幸也
集英社文庫
レディ・マドンナ (7)  東京バンドワゴン (集英社文庫)レディ・マドンナ (7) 東京バンドワゴン (集英社文庫)
(2013/08/21)
小路 幸也

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怒りは、ただエネルギーを消費してそれで終わり。何にも生み出さない。でも、怒りを別のものにして表現できれば、それは誰かのエネルギーになる

レディ・マドンナ』本文より

東京バンドワゴン7冊目。

結婚だったり出産だったり、まだまだ家族の幸せはどんどん広がってる。
受験があったり、小学校入学までもうちょいな感じだったり。
子供たちの成長もやっぱり見ていて楽しいものだし、まだまだ起こるいろんな事件も愛おしい。

今回の貴重な本の盗難本を売りさばこうとした人の話なんてのもそうだし、ごそっと棚ごと本を買って行く人の真意も実に面白い方向へと進んで行った。

7冊目となると飽きてくるところもありそうなものだけど、一人一人が年齢を重ねていって、個性が巻を重ねるごとにどんどん出てきていて飽きないよなぁ。

tag : レディ・マドンナ 東京バンドワゴン 小路幸也 集英社文庫

【小説】残される者たちへ

残される者たちへ
小路幸也
小学館文庫
残される者たちへ (小学館文庫)残される者たちへ (小学館文庫)
(2011/10/06)
小路 幸也

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祈ろう。
わたしの大好きなものたちが、守られますように。
月に、祈ろう。

残される者たちへ』本文より

文庫版で再読。

団地という老若男女が集まり生活する場という「懐かしさ」を回顧しながら、団地で育った友人たちとの間で起こる不思議で優しい謎を解いていく。

人が人を育てていくというのは小路幸也の作品の中でもよくつかわれるテーマだけれども、この作品では顕著。
ああいう団地というのは稀有なものだったのかもしれないな。
なんせ住人みんな知り合いみたいな感じだったしなぁ。
もちろん子供は親の繋がりもしっているし、ご近所さんとの付き合いも当たり前にあった。

当たり前なことだからこそ残っているところはあるけれども、都会だろうとそういうものがあった時代っていうのはすでに過ぎ去ったことのような気がするからこそ、この本に懐かしさっていうのを感じざるを得ないんだよな。

tag : 残される者たちへ 小路幸也 小学館文庫

【小説】さくらの丘で

さくらの丘で
小路幸也
祥伝社文庫
さくらの丘で (祥伝社文庫)さくらの丘で (祥伝社文庫)
(2013/06/12)
小路幸也

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「来ますよ、間違いなくそういう日が」

さくらの丘で』本文より


優しい物語を読んだ。

戦時中と現代を繋ぎながら、今回舞台となる館の中に込められた想いの迷宮ともいうべき謎。
その謎が孫娘たちによって解かれていくかしましさと、それぞれの職業を活かした意見の交換。

この娘たちがなかよくなっていくのもそうだけど、何十年もかけて紡がれた女性たちの願いの尊さと強さっていうのを見せつけられた。

強いよな。女性って。その想いとなればなおさら。

tag : さくらの丘で 小路幸也 祥伝社文庫

【小説】オブ・ラ・ディ オ・ブ・ラダ 東京バンドワゴン

オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ 東京バンドワゴン
小路幸也
集英社文庫
オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ  (6) 東京バンドワゴン (集英社文庫)オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ (6) 東京バンドワゴン (集英社文庫)
(2013/04/19)
小路 幸也

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「こうやってさぁ、Life goes onだよぉ。人生は続いていくんだねぇ。親父の人生の先は短いかもしれないけどねぇえ」

『オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ』本文より

東京バンドワゴン6冊目『オブ・ラ・ディ オブ・ラ・ダ』。
四季は5回めぐり、みんな育ってきた。
特に子供たちは。
花陽にいたっては受験もすぐそこかよ。
月日の経つのって早いな。

今回もちょっと謎、そしてなにより暖かい話が多かった。
それよりもここまで巻を重ねると誰しもに会うのが懐かしくてたまらない。
みんな元気にしてたかなーという風に。
自分も年をとったけれども、劇中の彼らもまた年を同じように重ねているところがまたいいんだよな。

さて東京バンドワゴンもドラマ化が決まったようだし、連続じゃなくても時々スペシャルとかでやってくれるようなのだと嬉しいねぇ。

tag : 東京バンドワゴン 小路幸也 集英社文庫

【小説】そこへ届くのは僕たちの声

そこへ届くのは僕たちの声
小路幸也
新潮文庫
そこへ届くのは僕たちの声 (新潮文庫)そこへ届くのは僕たちの声 (新潮文庫)
(2011/01/28)
小路 幸也

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「子供のうちに起こる出来事は、全部将来のための布石だってさ。意味のないことなんか何にもないんだって」

そこへ届くのは僕たちの声』本文より

新潮文庫版で再読。

子供たちががんばる。
彼らにしかできない「遠話」という能力をつかって人を救っていく。

SFで子供たちの冒険もので、ちょっとミステリで。
そしてなによりも子供も大人も同じ目線でひとつの事件へと収束していく。

中心にいる人物の「ハヤブサ」という名前も語るような宇宙の大きさ、果てしなさ、未知への畏怖や探究心も詰め込まれてる。
そしてハヤブサの実際の事件でもあり映画化もされたようなエピソード、ロストしてから彼を探し出すまで。
それがまるで「遠話」という能力の由来でもあるよう。

なんていうか、小路幸也のいろんなものが詰まった話でした。
冒険も大人たちの背中のカッコよさも、子供もやがて大人になるようにしっかりとした一人の人格として描くところや、家族の暖かさや、ミステリ分も。

なんていうか、ジャンル分けなんて無意味だと思えるような面白さをもった本だと思う。

tag : そこへ届くのは僕たちの声 小路幸也 新潮文庫

【小説】空を見上げる古い歌を口ずさむ

空を見上げる古い歌を口ずさむ
小路幸也
講談社文庫
空を見上げる古い歌を口ずさむ (講談社文庫)空を見上げる古い歌を口ずさむ (講談社文庫)
(2007/05/15)
小路 幸也

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「家族は、いっしょにいなきゃダメだ。たとえ違う場所に生きることになっても、死ぬまで家族なんだ。いつか離れるそのときまで、家族でいろ。代わりはいないんだ。そういう思いが、必ず力になる。この家族の力になってくれる」

空を見上げる古い歌を口ずさむ』本文より

講談社文庫版で再読。

そっか。
上を向いて歩こう、だったんだ。
この古い歌は。
作中に出てくるこの歌は。

それだけでそれを知っている人には郷愁を覚えるし、過去の話を語りだした兄の世代。
そんな懐かしさ。
外がすべて冒険の場所だったころのような。
まさに「あの頃」である少年時代っていうやつを思い出させてくれる。

そんな懐かしさと、他人がほぼすべてのっぺらぼうに見えてしまうという現象を解明していく冒険のストーリー。
そして過去に兄は何があって、兄と同じくのっぺらぼうが見えてしまうようになった息子は一体どんな状態に置かれているのか。

冒険と謎という心くすぐる物語でありながら、引用もした小路幸也のこのデビュー作以降ずっと描かれて続けている「家族愛」ってやつをものすごく感じた。
そう、これが小路幸也の根底の物語だ。

tag : 空を見上げる古い歌を口ずさむ 小路幸也 講談社文庫

【小説】僕は長い昼と長い夜を過ごす

僕は長い昼と長い夜を過ごす
小路幸也
ハヤカワ文庫JA
僕は長い昼と長い夜を過ごす (ハヤカワ文庫JA)僕は長い昼と長い夜を過ごす (ハヤカワ文庫JA)
(2012/06/05)
小路 幸也

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「自己犠牲というのは結局のところ自己満足だ」

僕は長い昼と長い夜を過ごす』本文より

小路幸也の『僕は長い昼と長い夜を過ごす』。
50時間起きて20時間起きるという人と少しズレたリズムの青年が主人公。

もーー。
どんだけ合わないと思ったことか。

少し不遇な境遇を持ったゲームプランナーの青年のもとに2億円という大金が転がり込んできた。
しかしそれを狙う者もいるのも事実。
家族に、そして自分の周りの人間を不幸にしまいということを最優先に2億円で家族を救おうとする物語。

どんだけ…どんだけいいやつなんだよ。
人から好かれて、無条件に助けてくれる友人がいて、家族思いであり家族からも思われ。
さらには職場関係も非常によくて上昇志向で自分の職業にプライドをもっていて。

できすぎた人物像なのに犯罪近いことに巻き込まれるという、人間のダークさがでそうな内容でも、いつもの小路幸也の愛のあふれる物語ときたもんだ。
ああ、もう、しかもそんな設定すらもこの本の仕掛けの一部であろうとは。

設定にも結末にも驚かされたのが悔しい。
内容も好きじゃなかったら、全体的に嫌いな小説で終われたのにー。

tag : 僕は長い昼と長い夜を過ごす 小路幸也 ハヤカワ文庫

【小説】リライブ

リライブ
小路幸也
新潮文庫
リライブ (新潮文庫)リライブ (新潮文庫)
(2012/09/28)
小路 幸也

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私は、思い出を食べます。
善き人の人生の思い出をいただいて、代わりに違う人生を作ります。
人生の最期に、幸せだと思える夢のようなものを見ていただきます。
何を望むかは自由です。どんなことでも。
あなたが、それを望むのなら。

リライブ』本文より

ああもう素敵だな。
この詩的な獏の独白。
そしていろんな人生の選択肢をやり直していく人たちの善き心たちも。

言葉も素敵なら物語も素敵。
だけれども素敵だけじゃあ終わらない。

人生の中で悔いのあることを選んで、それをやりなおしていく。
もちろん現実にもさまざまな選択肢があって次々に選びとっていっている。
けれども、もし違う選択をしていたら。
良くなっていたかもしれないし、悪くなっていたかもしれない。

そんな短編を7つも読んでいたら、読んでる側も人生についていろいろな想いを馳せたり記憶を探ってみたり。
それを考えてうわあああ、ってなった(笑

もし自分だったらどこの場面を選んだだろう。
そして何が変わったんだろう。

素敵だけじゃない、自分自身のことを多いに考えさせてくれる読後感でした。

tag : リライブ 小路幸也 新潮文庫

【ミステリ】探偵ザンティピーの憶測

探偵ザンティピーの惻隠
Spring Good-bye of Detective Zantippy

小路幸也
幻冬舎文庫
探偵ザンティピーの惻隠 (幻冬舎文庫)探偵ザンティピーの惻隠 (幻冬舎文庫)
(2012/10/10)
小路 幸也

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これで三度目の、日本の旅はここで終わる。
今回も、温泉をたっぷりと愉しめた。しかも、多くの優しき人々に会うことができた。
私は、満足していた。

探偵ザンティピーの惻隠』本文より

知らない土地に行き、温泉を楽しみ、人々に触れ、そして帰っていく。
ほっこり。
温泉だけに。

…あれ、前作も似たようなことを思ったような。
いや、これでいいのだ。
ザンテさんの本はこれでいいのだ。

古い写真の持ち主を探すという依頼の謎と日本の情緒と温泉と。
今回は写真の過去が絡む人情ものなので、人がつむぐ想いが交錯するけれども、陰惨とかそういうのとは縁が遠いので安心して読める。

それにしたって、トラさんっぽいザンテさんという探偵と旅情の似合うこと(笑
温泉にいきたくなるじゃないか。

tag : 探偵ザンティピーの惻隠 小路幸也 幻冬舎文庫

【小説】キサトア

キサトア
小路幸也
文春文庫
キサトア (文春文庫)キサトア (文春文庫)
(2012/05/10)
小路 幸也

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「たくさんのわからないことを知ろうとする気持ちがいちばん大切。それは勉強のことだけじゃなくて、どうやったらもっと上手く組み立てられるかとか、美味しい料理を作れるかだとか、そういうこと。そういう気持ちを忘れないようにしてくれって」

キサトア』本文より

小路幸也の『キサトア』。

色を失った少年と、少年の双子の妹キサとトアの物語。

ここではないどこかでの、心温まる、そして「大人の背中」というプロフェッショナルの仕事を見て、何者かになっていく過程がすごく夢がある。

もとは児童書ということもあって、子供から見た物語と大人から見た物語の2つの視点を持っているというのも面白い。
大人から見れば子供を育て彼らが育つのを見守って、そして自分たちの生き方を見せるということであったり、少年が目標を持ちながら成長していく成長ものでもある。

こういう本っていいよなぁ。
親子でいろいろ話せそうなもの。

どこの誰というわけではなく、少し不思議な設定もどんどんこの世界の中へと入っていってしまうきっかけになっているようで、読んでいて今度はどんなものを見せてくれるのだろうってわくわくできる。

ほんわかした。

tag : キサトア 小路幸也 文春文庫

プロフィール

∀ki(あき)

  • Author:∀ki(あき)
  • 自由に生きてます。
    色々読んだり見たりしてます。

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