【ミステリ】美人薄命

美人薄命
深水黎一郎
双葉文庫
美人薄命 (双葉文庫)
美人薄命 (双葉文庫)
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深水 黎一郎
双葉社 (2016-04-14)
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「それにしても婆ちゃん! よくもいろいろと騙してくれたな!」

美人薄命』本文より

くっそーー。
騙された!
まさか後半ここまで予想外過ぎる展開になろうとは。
深水黎一郎っぽいといえばそうだけど。

婆ちゃんと、フィールドワークで老人宅を回ってご飯を届け続けるボランティアの話がここまで転ぶのか。
そんな日常と同時に語られていく婆ちゃんらしき人物の回想シーン。初恋と人生とでもいおうか。
それらが現実と過去とで交錯した…したのかな。その時に一気に世界がすべて変わりよった…

いいミステリだ。
うん、こういうのが楽しいミステリだ。

tag : 美人薄命 深水黎一郎 双葉文庫

【小説】言霊たちの反乱

言霊たちの反乱
深水黎一郎
講談社文庫
言霊たちの反乱 (講談社文庫)
深水 黎一郎
講談社 (2015-08-12)
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「なお、大陸からは熱帯低気圧が、ゆっくりとなんかしていますので、西日本では引き続き警戒が必要です」

言霊たちの反乱』本文より

深水黎一郎の言葉に関する短編集『言霊たちの反乱』。

あらゆる会話や言葉を聞き違える男の話、日本語教師が立ち向かう日本語の難解さと誤解、官能小説家のワープロを使った誤変換の官能っぷり、TVのくさいセリフアレルギーの男。
すべて日本語の面白さをこれでもかと突いてくる。
ここまでやってくれるとあっぱれというか、日本語の楽しさというか、文字で読むからこその余計に盛り上がれる内容の数々に脱帽。
言葉とはここまで楽しいものなのか、と。

tag : 言霊たちの反乱 深水黎一郎 講談社文庫

【ミステリ】五声のリチェルカーレ

五声のリチェルカーレ
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深水黎一郎
創元推理文庫
五声のリチェルカーレ (創元推理文庫)五声のリチェルカーレ (創元推理文庫)
(2010/01/30)
深水 黎一郎

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「擬態は自然界では最強の防衛手段なんだけど、擬態に失敗した昆虫は、まず間違いなく食べられちゃう。それは一体どうしてだと思う?」

五声のリチェルカーレ』本文より

深水黎一郎の『五声のリチェルカーレ』。
短編『シンリガクの実験』も収録。

うお。
深水黎一郎の本で虫を語るのか??

虫の中でも擬態というもの、そしてタイトルが示すリチェルカーレ。
これは芸音楽に関する言葉なのだが、これと虫が見事に絡み合う。


人を殺した少年。
純朴な彼がなぜ人を殺すに至ったのか。
なぜ?どうして?
そして誰を殺すに至ったのか。


虫について語る人を殺すに至った少年の回想と、彼を調査する家裁調査官のリチェルカーレになぞらえて追求される少年の心の奥底。


おそろしくゾッとするラストを堪能させていただきました。
短編の方も同じく子どもという独特の視点だったのだけれども、これもまたゾゾゾッとするほどの衝撃を体験させてもらった。

ミステリや謎解きというジャンルとはまた少々違った趣向なのだけれども、謎が解かれ読者に対して真実が「投げかけられた」瞬間の恐ろしさと言ったらない。
非情に感想が述べにくい小説なのだけれども、そんな感じです。


これまで発表された芸術探偵シリーズとはまた違った趣きが味わえて非情に満足できました。

tag : 五声のリチェルカーレ 深水黎一郎 創元推理文庫

【ミステリ】花窗玻璃 シャガールの黙示

花窗玻璃 シャガールの黙示
深水黎一郎
講談社ノベルス
花窗玻璃 シャガールの黙示 (講談社ノベルス)花窗玻璃 シャガールの黙示 (講談社ノベルス)
(2009/09/08)
深水 黎一郎

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司教座の置かれている内陣の主祭壇は、金の聖具と銀の枝付き燭台、それに生花で飾られ、その向こうに広がる後陣の軸上祭室には、歴代の仏蘭西国王の戴冠聖堂でもあったこの大聖堂に、現代的な魅力を与えるものとして二十世紀後半に嵌め込まれた夏卡爾の手になる三対の青い花窗玻璃が、今日も多くの観光客の目を楽しませながら、青い輝きを放って佇んでいる。

花窗玻璃 シャガールの黙示』本文より

芸術探偵4作目。
…そんなシリーズ名になってたんだ(笑
今回は夏卡爾(シャガール)、そして花窗玻璃(ステンドグラス)です。

なぜにこんな漢字…
いやいや、これこそが醍醐味。
ミステリ的にというよりも文学的にというか。

シリーズの探偵である瞬一郎の手記という形で物語は進んでいく。
その際に漢字は使っていない。
舞台がフランスでも、だ(笑

作中でも瞬一郎が言っているんだけれども、日本語っていうものの見方が変わる。
漢字っておもしろい。
単純に文字を読ませるだけでなく、意味まで持たせる。

ステンドグラスを花窗玻璃と書くわけだ。
それって綺麗な表現だよなぁ。

芸術を語るにせよ、その舞台となる北フランスのランスを語るにせよ、読んでいて非常に創造が書き立てられた。

もちろんミステリにおいてもこの場所でしかできない上に、もちろん芸術が関わるテーマのトリックであるというところも驚かされた。
毎度毎度造詣の深さにも驚かされるが、それでいてミステリの質も上質で満足満足です。

tag : 花窗玻璃 深水黎一郎 講談社ノベルス

【ミステリ】トスカの接吻

トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ
深水黎一郎
講談社ノベルス
トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ (講談社ノベルス フK- 3)トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ (講談社ノベルス フK- 3)
(2008/08/07)
深水 黎一郎

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「おい! 何でお前がここにいるんだ?」
海埜は戸惑いながら言った。
「何でって、これだけのメンバーが揃った公演、僕が見に来ていなかったら逆におかしいでしょう?」

トスカの接吻』本文より

究極のヒマ人で芸術を愛してやまない瞬一郎と海埜刑事が活躍するシリーズ。

今回はプッチーニ作曲の『トスカ』が事件の舞台。
まさに「事件の舞台」だ(笑

歌劇『トスカ』の上演中に殺人事件が発生。
なにものかによってナイフが小道具から本物にすり替えられ、ナイフを刺される役の男性俳優が殺される。

誰がどうやって。

『トスカ』という歌劇を読み解き、様々な仮説を飛び交わし、そして最後には事件をしっかりと収束させていく。

伏線が伏線を呼び込み、複雑化するものの、本1冊に描かれた要素を使い果たして解決するのは圧巻。

ってかまたかよ!
前作もそんな感じだったが、今回も見事としかいいようがない。

あんな伏線が活きてくるなんて思わなかったし、誰もそんなのわかんねーよ、という部分もよく考えたら序盤でそういや記述があったよなと思ったり。

舞台芸術や『トスカ』という作品の薀蓄も興味深く読めるのだけれども、ミステリとしても十分楽しく読めた。
トスカ自体を知らなかったのだけれども、まったく知らなくても問題なかった。
それどころかこれを読むとものすごく興味沸くんですけど(笑


ちょうど先日「オペラ座の怪人」を見てきたところなので、舞台に関するいろんな舞台裏での苦労、オペラの演出のルールなどの話も出てきていて、非常にためになった。
舞台に対する見方も随分変わったかもしれない。

読んだタイミングといい、内容といい、非常に満足です。

tag : トスカの接吻 深水黎一郎 講談社ノベルス トスカ プッチーニ

【ミステリ】エコール・ド・パリ殺人事件

エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ
Un meurtre de l'Ecole de Paris

深水黎一郎
講談社ノベルス
エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ (講談社ノベルス)エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ (講談社ノベルス)
(2008/02/08)
深水 黎一郎

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つまり栄光に満ち、天寿を全うした芸術家の作品は、大抵の場合死後その評価を下げるが、不幸のうちに夭折した芸術家の作品は、むしろ逆に死後その評価を高める傾向にあるということである。まるで実人生における不幸こそが、芸術を完成させるという共同幻想に、人類全体が取り憑かれているかのように――。

深水黎一郎エコール・ド・パリ殺人事件』本文より引用


深水黎一郎の第2作目『エコール・ド・パリ殺人事件』。
ウルチモ・トルッコに出てきた登場人物も出てきてます。

「エコール・ド・パリ」。
一言では言い表せないが、まぁ第一次世界大戦あたりにパリで活躍した芸術家。
その大半が不幸な芸術家である、というくらいに考えた方がいいんだろうな…。

そこらへんの絵画事情は読んで興味は沸いたけどまだ分からないことだらけ。
一つの絵画を知るための指針のようなものはこの本からもらったような気もする。


さて、ミステリとしてのこの本について。

前作と同じように読者への挑戦状付。
やっぱり前作同様しっかりミステリをしていたと思う。

密室殺人事件、それは自殺かそれとも他殺なのか。

ミステリの中でも使い古されてるけれども、未だに誰もが興味を惹かれる内容からはじまり、「エコール・ド・パリ」というこの本のテーマと関わりが出てくる。

その密室殺人の方法についても驚けた。
この本に挿入される被害者の「エコール・ド・パリ」に関しての本の中の内容も専門的ながらも興味が惹かれることもさることながら、事件とのかかわりがなんとももう素晴らしい。

確実に事件とかかわりがあるんだろうなと思って読んでいたけれどもまさか…


前作『ウルチモ・トルッコ』のラストにも唸らされたけれども、今回の内容も素敵でした。

tag : エコール・ド・パリ殺人事件 深水黎一郎 講談社ノベルス

【ミステリ】ウルチモ・トルッコ

ウルチモ・トルッコ ULTIMO TRUCCO
犯人はあなただ!

深水黎一郎
講談社ノベルス
ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ ! (講談社ノベルス)ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ ! (講談社ノベルス)
(2007/04/06)
深水 黎一郎

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私の考案したアイディアを正しく使えば、本当に《読者が犯人》というミステリーが成立するのです。



第36回メフィスト賞受賞作『ウルチモ・トルッコ』。

まさに「読者が犯人」の小説。


小説家の元にくる一通の手紙。
そこには「《読書が犯人》のトリックを教える。その代わりに一億円を要求する」という内容のことが書かれていた。



読み終わった。
この本については一言以外言うことはない。



確かにこのトリックが成立するならばオレが犯人だ…



表紙の反射する素材の部分に犯人である読者の顔が写るといった効果も素敵な装丁。



ちょっと以下で考察(ネタバレあり

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tag : 深水黎一郎 講談社ノベルス ウルチモ・トルッコ メフィスト賞

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∀ki(あき)

  • Author:∀ki(あき)
  • 自由に生きてます。
    色々読んだり見たりしてます。

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