【小説】運命しか信じない!

メフィスト賞→蘇部健一
01 /30 2016
運命しか信じない!
蘇部健一
イラスト: toi8
小学館文庫
運命しか信じない! (小学館文庫)
蘇部 健一
小学館 (2014-03-06)
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「それでも、行きなさいッ。でないと、一生後悔するから」
「うん、わかった。じゃあ、行くね」

運命しか信じない!』本文より


蘇部健一の『運命しか信じない!』。
偶然の連鎖が織りなす連作短編。
時に感動し、時に感動せず、時にふーんとなり。
この落差を楽しみながら最後のオチのさらに先のオチまで楽しませてくれる。

時々短編の1つくらいに超のつく純愛が混じってることが蘇部健一の本に多いけど、
その1本がやたらいいこと多いよなぁ。

そしてなにより話のラストにイラストあるとニヤッとしてしまう。

【小説】古い腕時計 きのう逢えたら…

メフィスト賞→蘇部健一
08 /23 2014
古い腕時計 きのう逢えたら…
蘇部健一
カバーイラスト:toi8
徳間文庫
古い腕時計: きのう逢えたら… (徳間文庫)古い腕時計: きのう逢えたら… (徳間文庫)
(2013/10/04)
蘇部 健一

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「まちがった時間は、正さなければなりません」

古い腕時計』本文より


蘇部健一の純愛ともいうべき愛に満ちたSF連作短編集。
時間を1日だけさかのぼることができる不思議な時計の力を使ってその日をやりなおす。

時にげんなり、時にがっくり。
いつもの蘇部健一らしい短編…と思っていたら連作部分でびっくりするくらいのほっこり愛を

見せてくれた。

連作だったのかよーというのもあるけれども、時間逆行SFの面白さ、もしあの時違ったこと

をしていたらという魅力もある。
ガチSFじゃなくてわかりやすいルールの中で行われているのもすごく読みやすい。
そして最後の最後ですべて繋がっていく仕掛けもうれしい。

こういう路線に蘇部健一いったよなぁ。
六とんからはじまる講談社ノベルス時代とはまた違った味が出てきて楽しい限り。

【小説】赤い糸

メフィスト賞→蘇部健一
07 /27 2013
赤い糸
蘇部健一
カバーイラスト:toi8
本文イラスト:羽住都
徳間文庫
赤い糸 (徳間文庫)赤い糸 (徳間文庫)
(2013/06/07)
蘇部健一

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なんだか左手の小指が引っぱられるような気がして、彼女は真夜中に目を覚ました。

赤い糸』本文より


蘇部健一の『赤い糸』。
こんな一文からはじまるなんと恥ずかしい小説だろう。
蘇部健一だし、まぁ、ありかw
しかも赤い糸というタイトル。
まんまじゃないか。
それでいて帯文を見る限りではまたしても絵のある本。
オチが絵にある。
さらには裏にある全女性必読の文字。

wwwww
笑いがとまらん。
帯から笑わせるつもりかよ。

相変わらず次々にページを捲らせてくれる。
つまらなかったり、どきどきさせられたり、がっかりさせられたりという話が続く。
そして迎えたラスト。

完全にやられた。
ちくちょうめ、ちくしょうという言葉以外に言葉が見つからない。
ある意味で本を投げたくなった。

こんな、こんな。
蘇部健一の本でこんだけ感動させられたとは。

明らかにいつもの蘇部健一だったのに。
それなのに、それなのに。

ああ。
こんだけ感想がいいにくい本だろうとは。

読め。
蘇部健一好きは読んでしまえ。
それ以外の蘇部健一を読んだことない人も読んでしまえ。

これはいい本だ。

【ミステリ】六とん4

メフィスト賞→蘇部健一
10 /29 2010
六とん4 一枚のとんかつ
蘇部健一
講談社ノベルス
六とん4 一枚のとんかつ (講談社ノベルス)六とん4 一枚のとんかつ (講談社ノベルス)
(2010/08/05)
蘇部 健一

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彼は、山崎を死ぬほど怖がらせてやろうと、人生で最高の笑みを浮かべた。

六とん4』収録『ひとりジェンカ』本文より

六とんの4冊目が出ただとっ。
読まねば!と思って積むこと3ヶ月弱。
ついに読むときがきた。

さぁ!来い!
素晴らしいバカミスの数々でガッカリさせてくれ!


『一枚のとんかつ』
うん、トリックもしっかり成立すると思うんだ。
納得できるけど、なんか非常に残念なトリック。
たぶんトリックというよりもクイズみたいなんだよな orz
いや、でもやっぱりいいトリックだと思うんですよ。
エピローグいらねぇよっ(笑
いい話で終わらせようよ


『大江戸線5分30秒の壁』
たぶん都会の人ならではのトリックであろうとは思うんだけれども、ああなんだろう。
ふーん、と思ってあれ?感想が出てこないぞ


『新×××殺人事件』
六とん3の続編のような。
もういいじゃん。ちんこ殺人事件でいいじゃん。
ひどいです。
これはひどい。
前作もひどかったけど、下ネタをどうどうとトリックに利用するあたりがひどいwww(褒め言葉


犯行の印
動かぬ証拠のようなイラストだけですべてを物語る犯行の印。
まさに犯行の印。
ああっ。小池さんだけにあれがなんか別のものに見えるよー


聖職
正直に言おう。
この話が一番好きだ!
タイトルといいトリックというか真相である、アリバイを確認できる絶対的な証拠のイラスト説明がスゴイ!
これは六とんじゃないと使えないトリックだ!
分からないっていう人もいそうな感じがするけど、あああ。説明してあげたいけど、説明したくない(笑
イラストを最初見たときなんのこっちゃわからなかったもんなぁ。
もう一回本文の最後の方を読み返してイラスト見たらわかった。
なぜ辞職しなければいけなかったのか、聖職っていうタイトルも合わせて考えてみよう。


ひとりジェンカ
泣ける。
オチのイラストに泣いた。


修学旅行の悪夢
なぁ…
よく分からないんだけどさ、ラストのイラストから考えてタイトルのままってことでいいの?たぶんいいはず。


翼をください
大量のパンツ盗難事件の真犯人の本当の目的は…
思わず絶句したというか言葉もないというか。
脱力した(笑


追われる男
正直ちょっとこの話とラストイラストの意味がわかんなかったです orz


恋愛小説はお好き?
あああああ。大好き。大好きです。切ねぇ。
内容でも切ないのに最後のイラストでトドメを刺された。


琥珀の中のコートダジュール
うまい!
蘇部たんはこういう恋愛小説っぽい恋愛小説書けばいいのに、って時々思う。



今回もいい話系もガッカリ系も堪能です。

【小説】ふつうの学校3

メフィスト賞→蘇部健一
07 /30 2010
ふつうの学校3 -朝の読書はひかえめに の巻-
蘇部健一
イラスト:羽住都
講談社青い鳥文庫
ふつうの学校3 ─朝の読書はひかえめにの巻─ (講談社青い鳥文庫)ふつうの学校3 ─朝の読書はひかえめにの巻─ (講談社青い鳥文庫)
(2005/06/16)
蘇部 健一

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「それに、もしまだ幽霊がこわいようだったら、あの屋外トイレに二度と近づかなきゃいいだけの話だし。」
「まあ、そうだけど……。」
しかし、あの屋外トイレがもう使えないとなると、ぼくは今後、学校で大きいほうをもよおしたとき、いったいどこでウンコをすればいいというのだろう……。

ふつうの学校3』本文より

ようやく3巻目を読めた。
「六とん」の作者の蘇部健一の児童向けの本「ふつうの学校」3冊目。
さすがに高学年向けになってる(笑

一気に読むくらいに面白かった。
学校で友達に見つかるとウンコできないから、人のいないトイレへ向かう。
ああ。
あったよなぁ。

しかし、そんなちょっと下品な話からトイレの花子さん的な話へシフトしていく。
さらにはそのトイレで声を聞いてしまい、死んだ女の子を探す話だと!?

学校へ忍び込む経緯も二重三重にいろんな話を組み合わせつつ、メインのいじめを苦に死んだ女の子とは本当に存在したのかってくだりの話がとてつもなく面白かった。

ホラーあり、カンニング大作戦あり、ミステリのような伏線もどんどん張られていくときたもんだ。
思わずどきどきしながら一気に読んだ。

読み終わった瞬間の「ああ。おもしろかった」というのは非常に心地いい。

ちょっと下品でエロ。
だけれどもスマートなつくりという不思議な感覚の小説です。

【ミステリ】長野・上越新幹線四時間三十分の壁

メフィスト賞→蘇部健一
02 /27 2009
長野・上越新幹線四時間三十分の壁
蘇部健一
講談社文庫
長野・上越新幹線四時間三十分の壁 (講談社文庫)長野・上越新幹線四時間三十分の壁 (講談社文庫)
(2003/03)
蘇部 健一

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そして、ふたりが長野新幹線のホームへと駆け上がったとき、あさま513号のドアはまさにちょうど閉まりきったところだった。しかし、山田はふらふらになりながらも新幹線の前まで行き、閉まった鉄のドアをどんどんとたたいた。だが、列車はドアをあけろという要求を無視してゆっくりと動きはじめた。

長野・上越新幹線四時間三十分の壁』本文より

薄い本が読みたかったので再読。

アホバカミステリといわれた『六枚のとんかつ』の作者蘇部健一の2作目『長野・上越新幹線四時間三十分の壁』。
中短編集。
文庫版解説は大倉祟祐。
解説とあとがきはこの本の中でもかなり面白い話だと思います(ぇ


鉄道のアリバイ崩しの表題に加え、全4編を収録。

表題は六枚のとんかつの何編かで活躍した半下石警部が活躍。
相変わらず珍妙で軽快で時々寒いトークが光りってます。
知力と体力を尽くして戦うとはまさにこのことだろうw
しかし…
悪くないんだよなぁ。
アリバイ崩しとしても。
ノベルス版を圧縮改稿してて、非常に読みやすくなってるんだけど、やっぱり印象が薄い。

やはり他の短編集が絶句するようなものが多いためであろう。
悪くないミステリであるために、印象がない orz

だからか、後ろの方に収録されている短編およびショートショートが楽しくてしかたない。

特に「指紋」とか「2時30分の目撃者」。
これだ!
やっぱりこういうものこそが蘇部健一だと思う。
むしろこういうものを読みたいものです。
バカバカしすぎるというか、逆にこういうものはきっと誰も書かないというか(笑


収録話:
・ 『長野・上越新幹線四時間三十分の壁
・ 『指紋』
・ 『2時30分の目撃者』
・ 『乗り遅れた男』

【ミステリ】六とん3

メフィスト賞→蘇部健一
05 /11 2007
六とん3
蘇部健一
講談社ノベルス
六とん3 (講談社ノベルス)六とん3 (講談社ノベルス)
(2007/05/10)
蘇部 健一

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最近ネットで「あとがきはおもしろい」とか「あとがきだけおもしろい」という評をよく目にするので、かなりのプレッシャーである。



表紙がこれっっっ。
びっくりした。
前がテトリスだっただけに、今度もなにかゲーム系か。
それともとんかつに戻るのか、とか思ってたが。

江草天仁!!?
びんちょうタンじゃないか!

表紙で泣く。
イラストなのは別にいいんだよ。
いまさら気にもしない。

メフィスト賞でいうと西尾維新が出てきたあたりからもうなにも気にしないことにした(笑

で、表紙。

小銭を握り締めてなにを買おうとっ。
なに「六とん」買おうとしてんだよっ orz
こんな本との出会いはいらないって orz

あの子は実際にあの本を読んで、どこで嘆き悲しみ、そしてあの本を投げつけるのだろうと考えるといたたまれなくて仕方ない。

哀愁を誘うのは著者近影だけでいいのにっ。
著者近影もなんか写真が古びてきたのかなんか「うああ」と声にならないため息のような声をあげそうになる出来。
それはそれですばらしい。

これぞ蘇部タンの著者近影(笑


さて、まったく中身の感想を書いていないので、ここより下から感想。


もうひとつの証言
くだらない。
どこがおもしろいのかよく分からないくらいにくだらない。
感想もパス。


アリバイの視覚
なぜ、これに写真をつけないのか。
確かに微妙すぎて苦情があってもなんともいえないが…
それでもっ。
それでもこれにこそ動かぬ証拠を見せてもらいたいものである。

トリック?
六とんにトリックは必要なのですか?(笑


生涯最良の日
「おとめ座のあなた、今日死にまーす」。
ジャンプの銀魂でそんな話があったが、逆におとめ座がツキまくる話。

オチは好き。
刑事にとってこれほど理解に苦しむ事件なんてのもないだろう。

もうなんてーか名探偵呼んでこい(笑
半下石警部じゃムリだってw


×××殺人事件
ひどい。
これはひどい。
展開も内容もオチもひどい。


殺ったのはだれだ!?
唖然とした。
というより苦笑した。
このラストはないだろ(苦笑
ちょっと前に同じテーマの長編が講談社ノベルスから出ていただけに。
これぞトホミス


瞳の中の殺人者
結構これは好きである。
どこらへんでミステリになるんかなぁ、と思ったらラストらへんでか。
実は未来予知じゃなくて自分の記憶ってのはうまいんじゃないかな。


死ぬ
鬱系だな…
なんか蘇部健一の長編でなんかげんなりする感じが凝縮されたような。
実にげんなり。


嘘と真実
嘘に踊らされる人々を描いて、でもってラストにあのオチ…ね。


栄光へのステップ
うまいっ。
これいいなぁ。
ラストのイラストもすごく効果的。
ぜひこれを世にも奇妙な物語でやって欲しいものである(笑


秘めた想い
想い三部作の最終作?
いつものようにタイムマシンに乗って過去へ行こう、というものだが…
またかっ。
またこの展開かよ。
なぜ自分の20年後のような人が憬れの人の配偶者なのかの謎があれだとは orz


赤い糸
まるでドラえもんに捧げられた作品。
なんでここまで名作なんだ。
六とん2のときもそうだったが、ラストは感動系で〆るというのは恒例なのか。
大好きである。


トホホなミステリ=トホミスを謳った『六とん3』だったが、なかなかどうしてトホホにもなかなかよさげなものがあったりとか。
ちょっと予想と違ったけれども買ってよかったと思えた。
やっぱりこれくらいの比率がいいですって。
トホホなのと普通なのとの割合は。

……普通なのの中になんかげんなりするのが増えたなぁ。
でもそれはそれで好きなんでOK。

【SF】届かぬ想い

メフィスト賞→蘇部健一
03 /27 2006
届かぬ想い
蘇部健一
講談社ノベルス
届かぬ想い (講談社ノベルス)届かぬ想い (講談社ノベルス)
(2004/04/06)
蘇部 健一

商品詳細を見る

あらすじ

幸せな結婚をして、幸せな家庭を築いていた主人公。
しかし子供が誘拐され殺されてしまう。
ショックで妻は自殺。
誘拐犯も見つからず、子供も本当に殺されたかどうかが分からないまま時が過ぎた。
再び運命の人とめぐり合い、再婚し子供をもうけるが…



感想とか

('A`) スクワレナイ

「六とん2」に入っていた短編と似たような、と聞いていたので予想はしていたけど…

なんて後味の悪い。
けど伏線の消化から来る後味の悪さとやりきれなさのようなものは嫌いじゃないです。

【小説】ふつうの学校2

メフィスト賞→蘇部健一
10 /13 2005
ふつうの学校2
-ブラジャー盗難事件の巻-

蘇部健一
講談社青い鳥文庫
ふつうの学校〈2〉ブラジャー盗難事件の巻 (講談社青い鳥文庫)ふつうの学校〈2〉ブラジャー盗難事件の巻 (講談社青い鳥文庫)
(2004/02/15)
蘇部 健一

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ふつうじゃない学校で起こる強烈な個性の稲妻先生と普通の小学生たちが織り成す学校生活を綴った連作短編集。

小学上級から。
……ホントか!?ホントに小学生に読ませていいのかコレ!?

とりあえず2巻のラインナップ

・「稲妻先生の家庭訪問」
生まれたばかりの仔犬の貰い手が見つからない。
稲妻先生のとった「手」とは。

生徒への借金取立て方法ひでぇ(笑
フィギュアの相場とかちゃんと調べたのかなぁソブたん。


・「にわか放送部は大混乱」
AV(オーディオヴィジュアルね)会社と学校との癒着があったらしいとの噂が囁かれる。
そして学校に設備が整い放送部が設立。
稲妻先生が間違って昼休みの全校放送で「エマニエル夫人」を流してしまい……。

エマニエル夫人がなんなのか分からない人は検索でもしてください。
アキラ君はませガキだと思います。


・「遠足はいつも憂鬱」
バスに乗ると必ず酔ってしまう人のためにバスに酔う人は電車で遠足に行こうという提案する稲妻先生。
しかし教頭先生はそれを遠足は団体行動だ、と言ってつっぱねてしまう。
そこで稲妻先生は教頭先生にバスに酔ってしまうことを擬似的に体感させる計画を練る。

稲妻先生がえらくカッコイイ。
……バスに酔う自分のためなのかもしれないが。
あとは遠足ならではの甘酸っぱいエピソードが色々と。


・「初恋の人を探せ!」
クラス一の美少女のナナちゃんがおばあちゃんの初恋の人を探してほしいという。
そこでクラス一クールな名探偵の六さんとアキラで探すことになったのだが……。

蘇部健一は「六枚のとんかつ」というミステリでデビューした作家です。
……あぁミステリに見せかけてこれは実は(以下略
ソブたんいいものを書くようになったよなぁ。
感動系作家に転向したら実はヒットするんじゃなかろうか。


・「ブラジャー盗難事件」
プールの時間中にサトミちゃんのブラジャーが消えた。
犯人探しがはじまる。

なんだかんだ言ってもやっぱりミステリ者な作者だと思わせる一編。
この本って短編集に見えて実は「連作」なんだよなぁ。
様々な要素があってたどり着くのがここ。

・「エピローグ」
オチが最高にいいです。
3巻を読めということなんでしょう(笑


絶対ネタだろうな、と思ってたけど意外に楽しめた。
小学生が楽しめるかどうかは分からないけど。

蘇部健一コンプリートまであと二冊。

【ミステリ】六とん2

メフィスト賞→蘇部健一
10 /10 2005
六とん2
蘇部健一
講談社ノベルス
六とん〈2〉 (講談社ノベルス)六とん〈2〉 (講談社ノベルス)
(2005/10)
蘇部 健一

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あのアホバカミステリと言われ挙句の果てに壁に投げ飛ばされたあの本が帰ってきた。
『六枚のとんかつ』の2作目(?)ということで『六とん2』。
蘇部健一に毒された読者の方々必見。
怖いもの見たさの人もどうぞ。

11編からなる短編集。
途中には真相がまる分かりな絵が収録されているので本をペラペラめくるべからず。

ここから下
読んだ人だけ分かってください。

グループA
『最後の事件』
あぁもうなんだよコレっ。
しょっぱなから電車の中で思わず本を地面に叩きつけようかと思った。
すんばらしいダイイングメッセージもの。

『三食パンの秘密』
なぜ毒は多く含まれていたのか。
( ゚Д゚)ポカーン
あぁなるほど三食パンか。

『甘い罠』
一瞬読後に訳が分からなかった。
よくよく考えてみるとヽ(Д´ )ノ。
あそこで犯人があぁ言っていたから嘘ついてたってわけかよっ。


グループB
『午前一時のシンデレラ』
半下石…これでいいのか。
これじゃあタイトルどおり「シンデレラ」じゃないか。
犬が大活躍。

『行列のできるパン屋さん』
正直泣ける話(泣けないけど。
なんていうかこのトリックは泣ける。

『姿なき目撃者』
一体誰が犯行を見ていたのか。
犯人を悩ませる様々なところから聞こえてくる「(犯行を)見たぞ」の声。
こう書くとおもしろそうなんだけどなぁ。
都心だからこそありえる犯行かも。

『読めない局面』
伏線なんてさっぱりないけど話としては好き。


グループC
『誓いのホームラン』
後味がっ。後味悪っ。

『地球最後の日?』
侵略か友好か。そんなのはもはや問題ではないのです。

『叶わぬ想い』
蘇部健一の作品『届かぬ想い』の後味を解消しようとしたらしい。
ラストの絵がぁぁぁ。

『きみがくれたメロディ』
認めたくはない。
しかしこれが現実なのか。
個人的な話、これを乙一の『きみにしか聞こえない』と比べても構わないような傑作のような気がしてならない。
感動作です。
まさかこんなのが『六とん』という本の中で読めるとは思わなかった。

【ミステリ】木乃伊男

メフィスト賞→蘇部健一
06 /08 2005
木乃伊男
蘇部健一
講談社ノベルス
木乃伊男 (講談社ノベルス)木乃伊男 (講談社ノベルス)
(2002/09)
蘇部 健一

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あらすじ
昔から布部家に伝えられるミイラ男の伝説。
入院している病院で聞かされる
「病院内でミイラ男を見たら、見た人は死ぬ」という噂。
そして入院中の主人公、布部正男と同じ病室に入院することになった自称ミイラ男。
あっ、と驚く場面をイラストで表現するという斬新なミステリ小説。

蘇部健一とは第3回メフィスト賞を受賞し「六枚のとんかつ」という
ミステリ界に大きな衝撃を与えた作品を世に生み出した人である。
様々な人にゴミだクズだ、と評価されたが
それでも作品を発表し続け、その結果ゴミだと評価した読者は何故か付いてきた。
何故読者は離れなかったのだろう。
その謎を考えてみようと思う。

蘇部健一はこれまで次のような作品を発表してきた
・ 六枚のとんかつ
・ 長野・上越新幹線2時間30分の謎
・ 動かぬ証拠
・ 木乃伊男
・ ふつうの学校
・ ふつうの学校2
・ 届かぬ想い

ふつうの学校と届かぬ想いを除く四作はミステリである。
ミステリというからにはアッ、と驚くトリックを読者は期待している。
しかし、まさかこんなトリックじゃ…、と思うようなものが書かれていることがよくある。
トリックに気付くと「なんだこのくだらないトリックは」と思い
分からなかったら「なんだよこのトリックはっ」と思ってしまう。
トリックにはしっかりと伏線も張られているから、フェアなものである。
だからこそ、そのくだらないトリックに対して失笑してしまう自分に嫌気がさしてしまう。

もう一つの特徴はそこはかとなく下品なことが書かれていることだろう。
時には親父ギャグ、時には直球ストレートな表現、
ひかえめだけどよく考えると下品な表現。
色々なところにそんな表現が散りばめられている。
例をあげてみたら分かりやすいのであげてみる。

ex.木乃伊男の序盤のシーン
布部家に伝えられているミイラ男伝説。
ご先祖様の夫婦は結婚後豊かで円満な生活を送っていたが
ある時、夫が不能になってしまう。
妻は夜の生活に不満を持ち、男漁りをして性病を貰ってきてしまう。
妻の男漁りの対象の一人に庭師がいた。
その庭師もその妻から性病を貰い、それがばれて庭師を解雇。
その後、庭師は性病から他の病気を併発してしまい、顔ががただれる病気に。
妻への恨みから元雇い主であるご先祖さまの家の周りを包帯を巻いてうろつく。

……ミイラ男を登場させるにも別に性病を持ってこなくもいいんじゃないだろうか、
と思うのは気のせいでしょうか。
確かに性病であった方がしっくりくる場面はあるのですが…。
いやいや、それこそが蘇部健一の持ち味の一つなのです。

つまり、ちょっと下品な表現もくだらなさも他の作家の本を読んでいる限り味わえない。
あの失笑感をもう一度!
なんか下品な表現に飢えている、そうだ蘇部健一を読もう!
そう思えるからこそ蘇部健一についていけるのではないのでしょうか。

もう一つ蘇部健一がある意味人気のある原因の一つに文章そのものがあると思います。
分かりづらい文章、読んでていらいらする文章。
途中で投げ出したくなるような文章がないように思えます。
もしかすると個人的にそう思えるだけなのかもしれませんが。
日本語的に「読みやすい文章」「最後まで読ませる文章」を書けるから
青い鳥文庫という小学校高学年~中学生向けの本を出しているところでも
ふつうの学校というシリーズを出していると言えるのでは、と勝手に思ってます。
今月3巻がでるようなので、きっと人気があるシリーズなんでしょう。

そういえばまだ「ふつうの学校」の2巻を買っていません。
何故でしょう?w
答え:正直買うのが恥ずかしい。
青い鳥文庫を買うというのも恥ずかしいと思う原因の一つですが、
サブタイトルの「ブラジャー盗難事件の巻」が大きな要因。
青い鳥文庫でこのタイトルは一体……。
蘇部健一侮りがたし。
このタイトルで通した青い鳥文庫編集部はある意味尊敬の対象です。
そのうちネットで買おうかと検討中。

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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