【小説】白い毒

白い毒
新堂冬樹
河出文庫
白い毒 (河出文庫)
白い毒 (河出文庫)
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新堂 冬樹
河出書房新社
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「あなたの悪運を、終わらせる」
恭司は、固く心に誓った。

白い毒』本文より

新堂冬樹の『白い毒』。
単行本『白と黒が出会う時』改題。

これぞ誰もが見たかった新堂冬樹ではなかろうか。
白新堂と黒新堂。
そのふたつの主人公たる人物たちが混ざり合い、そして灰色になり、結末へと向かっていく。

白い天使ともいうべき白新堂の看護師と、病院を潰し自らが設ける側の金貸し側の黒新堂。
もう設定からにやにやする。
これが楽しくないわけがない。

tag : 白い毒 新堂冬樹 河出文庫

【小説】君想曲

君想曲
新堂冬樹
双葉文庫
君想曲 (双葉文庫)
君想曲 (双葉文庫)
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新堂 冬樹
双葉社 (2015-08-06)
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「『君想曲』……君を想う曲か……いい詞ね」
聖は、震えた声で呟いた。
遼の紡ぐ歌詞は、男性の女性にたいする想いを綴ったものが多かった。
今度の新曲にも、胸を鷲掴みにされるようなせつない思いが満ちていた。

君想曲』本文より

新堂冬樹の『君想曲』。
白新堂もの。

愛する作詞家の彼が事故で人格が変わってしまい、必死に彼を想いいつか人格の戻る日を待つ女の子の物語。

なのだが。
どうしてこうなった。
まったくラストが気に入らない。
なぜそうなったのか。
最後の章とその一つ前の章ではその間にいったい何が起こってそういうハッピーエンドに繋がったのか。
唐突すぎるにもほどがあるだろ…


完全なる白新堂の世界に出てくる人格の変わった黒新堂の登場人物のような彼はちょっと作品の中でさすがに浮いてたが黒新堂も読んでいたせいかちょっと楽しかった。

tag : 君想曲 新堂冬樹 双葉文庫

【小説】逃亡者

逃亡者
新堂冬樹
ハルキ文庫
逃亡者 (ハルキ文庫)
逃亡者 (ハルキ文庫)
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新堂 冬樹
角川春樹事務所
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僕は、国家に嵌められたんですっ

逃亡者』本文より

新堂冬樹の小説でこんだけライトでポップな表紙だと…
中身もライトで読みやすい。
ダークさも純愛さもそれほどなし。
新堂冬樹の持ち味を使わずにひたすらスピード感ある本に仕上げてきたし、すごく万人向けで読みやすい本じゃないか。
これは意外な1冊だ。

tag : 逃亡者 新堂冬樹 ハルキ文庫

【小説】整形夫婦-アンチエイジング-

整形夫婦-アンチエイジング-
新堂冬樹
ポプラ文庫
([し]9-1)アンチエイジング (ポプラ文庫 日本文学)
新堂 冬樹
ポプラ社 (2013-02-05)
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アンチエイジング~永遠の美~……あなたも、二十代の自分を取り戻してみませんか?

整形夫婦』本文より

新堂冬樹の『アンチエイジング』改題の文庫版『整形夫婦-アンチエイジング-』。
文庫版で再読。

夫婦のふたりともがお互いをつなぎとめるために、妻は美貌の若返りを、夫は下半身の若返りを試みる。
そこからはじまる悲劇はいつもの闇金業者たちが彼らを追いつめ、っていつもどおりじゃないかと思いきやラストに訪れる子供の決定的な一言に尽きる。
この一言だけのために冒頭と破滅へ追いやられる中盤があるのではないかと思うくらい。

tag : 整形夫婦 新堂冬樹 ポプラ文庫

【小説】純恋

純恋
新藤冬樹
徳間文庫
純恋 (徳間文庫)純恋 (徳間文庫)
(2012/10/05)
新堂冬樹

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「私ね、愛されなくてもいいんです。昭司さんを愛せれば、それでいいんです」

純恋』本文より


文庫版で再読。
前に単行本で読んだときには素直にいい物語で純愛だと思ったのに。
こんなバッドエンドだったっけ。

主人公のふたりは出会い、恋をする。
でも体の関係はない。
それ以外にハードな性描写はいっぱいあるが。
だからこそふたりの純愛っぷりの純粋さが驚くほど綺麗に見えてくる。

妻を亡くし自暴自棄になり社会の底辺を生きる薬物常習の元作家。
養父に売られ体で稼ぐことしかしらない女。

社会の底で出会ったふたりがはぐくんでいく、もしかしたら生きる希望の光を見出すが。
が、あれがラストで本当にいいのか。
どんでん返しとしてはありなのかもしれないが…

tag : 純恋 新藤冬樹 徳間文庫

【小説】アキバの帝王

アキバの帝王
新堂冬樹
文芸社文庫
【文庫】 アキバの帝王 (文芸社文庫 し 2-1)【文庫】 アキバの帝王 (文芸社文庫 し 2-1)
(2014/08/02)
新堂 冬樹

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桐谷勝也が、地下アイドルの聖地である秋葉原に君臨する『オタクの帝王』ーーラオウであるということを。

アキバの帝王』本文より


新堂冬樹がオタクを描くとこうなった。
表の顔は金貸し。
うおおおお。
なんと。
こんなオタクをテーマにしながらも新堂冬樹の原点である金貸し業とは。
バイオレンスに金を回収し、無慈悲に取り立てる。

どうするんだ、と思ったら裏の顔は地下アイドルのファンの頂点。
そしてオタクから崇められるリーダーだった。
思わずずっこけた。

豊富な資金をもって買収、そして地下からアイドルの頂点へともっていく話なのか…
と思っていたら、この遅々として進まない話…
オタ芸とオタクの頂点の描写や最終地点の設定は楽しかったんだ…
そこは楽しかったのに、これこんな普通の厚さじゃなくて、この3倍くらいの量があれば昔のものすごく面白かった時代新堂冬樹っぽいもの見れたんじゃないかと思わずにはいられない。

なんのことはないハッピーエンドももったいない。
本当にこれでよかったのか。

tag : アキバの帝王 新堂冬樹 文芸社文庫

【小説】硝子の鳥

硝子の鳥
新堂冬樹
角川文庫
硝子の鳥 (角川文庫)硝子の鳥 (角川文庫)
(2013/08/24)
新堂 冬樹

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どんな手段を使っても「巨悪」を潰す。
梓は、心で自分に命じた。

硝子の鳥』本文より


新宿のマフィアを追いつめるため潜入捜査を4年続ける主人公の物語。
本来の自分を捨て、名前を変え職に就き、別人として捜査を続ける。

そのストイックさと仮の自分の中でできつつある別の自分。
その行き来がさて、どう物語に反映されていくかな…と読んでいたら、うん、まぁ、近年の新堂冬樹だった。

途中まではよかったよーな気もするんだけど、どうしてこうもここまでありきたりなラストになってしまったのか。

でも一気に読めてしまうほどの面白さはあるから、それはそれでいいのか。
にしてもこのラストはなぁ。
いや、ないわ。

tag : 硝子の鳥 新堂冬樹 角川文庫

【小説】天使がいた三十日

天使がいた三十日
新堂冬樹
幻冬舎文庫
天使がいた三十日 (幻冬舎文庫)天使がいた三十日 (幻冬舎文庫)
(2010/12)
新堂 冬樹

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いつも私はそばにいるから……それを忘れないでね。

天使がいた三十日』本文より


白新堂の純愛もの『天使がいた三十日』。
再読。

妻を亡くし、仕事を失くし、お金も尽き、もはや死のうとしていた男の前に現れた1匹の犬。
彼ら1人と1匹がお互いに生きることの意味を見出していく。
純愛だけど恋愛ではなく、愛だよなぁ。

愛だし、死によって分かたれた人たちが引き継いでいく想いの純粋さも描かれている。

とかなんとかいい話でしかないが、それもまたたまに読むといいもののよーな気もした。

tag : 天使がいた三十日 新堂冬樹 幻冬舎文庫

【小説】君が悪い

君が悪い
新堂冬樹
光文社文庫
君が悪い (光文社文庫)君が悪い (光文社文庫)
(2011/08/10)
新堂 冬樹

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「レディに下品なことをするのはやめたまえっ。 ここは、お触りバーじゃないんだぞ!」
アルコールの力も手伝い、竹林は強気に抗議した。

君が悪い』本文より


この弱弱しさがすべてのはじまりで、次々に人を惨殺していく話へとなっていくんだよなぁ…
ひとり殺して、誰かにバレ、口封じに殺していかざるをえなくなる。
自分は悪くない悪くないと言い聞かせ、本末転倒になっていく主人公が哀れでそしてどうしようもない男すぎて。
でもコメディタッチという、血みどろ残虐描写だらけなのにというギャップが『君が悪い』というこの本。

卑屈で気弱な連続殺人犯の主人公の竹林が、刑事に追い詰められていくさまもある意味見もの。
文庫で読み返してみたけど、いま読むとお手軽に読める新堂冬樹だよなぁ。

一瞬にして非日常すぎる黒新堂の片鱗見れるよな(笑

最近の濃厚でなくささっと読める新堂冬樹の本の一つだと思う。

tag : 君が悪い 新堂冬樹 光文社文庫

【小説】ギャングスタ

ギャングスタ
新堂冬樹
徳間文庫
ギャングスタ (徳間文庫)ギャングスタ (徳間文庫)
(2010/12/03)
新堂 冬樹

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「俺には、この世で絶対に許せないことがふたつある。ひとつは、俺よりモテる男、そしてもうひとつは、女に手を上げる男だ」

ギャングスタ』本文より


新堂冬樹の不良小説『ギャングスタ』。
文庫で再読。

新堂冬樹の白とか黒とか関係なくさらっと読める男の友情もので不良もの。
工業高校の四天王を目指して、そしてその頂点の「ギャングスタ」を目指して入学した新一年生。
今までのパシリ人生とは違った人生に変えてやるぜと躍起になってみた主人公。

いったい何を目指しているんだといいたくなる。
そして四天王の四天王らしさ、そして彼らを越える覇王やルシファー先輩。
名前がっ、いや、もうそれどうなんよというくらい分かりやすい。

戦っては病院送り、復讐の連鎖。
そしてひとつひとつ登りつめていく。
そんな中で育まれていく友情。

…というものが簡潔に描かれていくので読みやすい。
こうやって新堂冬樹はいろんなジャンルからの登竜門を作っていっているのだろうか。

tag : ギャングスタ 新堂冬樹 徳間文庫

【小説】ホームドラマ

ホームドラマ
新堂冬樹
河出文庫
ホームドラマ (河出文庫)ホームドラマ (河出文庫)
(2006/11/03)
新堂 冬樹

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「教えないほうがいいことがあるのは、幼い子ばかりにかぎっての話じゃないのよ」
今日も家族はなにも代わり映えのしない平穏なひとときを過ごし、私は、完璧な「私」を演じることができた。

ホームドラマ』収録『賢母』本文より


『背広の下の衝動』の文庫版。
順番が入れ替わり、サザエさん一家らしき短編がもうひとつ増え、グロ短編が削除。

ふむ。
家族の中での不幸。
仕事の中の不幸。
夫婦の中の不幸。

人と人とが密接に関わる不幸の味が尾を引く話ばかりだよな…

それもそうだけど、新堂冬樹ってこんな短編書けたんだからこれくらい濃ゆい短編集とかまた読んでみたい。
薄っぺらくもささーっと読める長編ばかりだけど、こんなんもまた読んでみたいぜ…

あの頃はこの本と吐き愛で度肝を抜かれたもんなぁ…


収録話:
・団欒
・賢母
・邪
・嫉

tag : ホームドラマ 新堂冬樹 河出文庫

【小説】悪虐

悪虐
新堂冬樹
幻冬舎文庫
悪虐 (幻冬舎文庫)悪虐 (幻冬舎文庫)
(2013/10/10)
新堂 冬樹

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純粋だから、殺すのさ。

悪虐』本文より


黒新堂の『悪逆』。
愛した人のために殺す。
道行く少年を半殺し、すれ違った女性の顔を潰し、なんとなく入った家の人を老人から子供までレイプする悪魔のような主人公。

黒新堂の中でも無間地獄や溝鼠、殺し合う家族くらいには強烈。
いやいや、これは強烈すぎる。

でも強烈すぎるだけかと言えば白新堂も入ってる。
純粋すぎる主人公の愛あふれる過去が合間合間に語られ、現実世界では極悪非道、もう18禁描写とかどころかとんでもない描写が続いていく。

そのギャップがラストへと昇華していく。

なぜ主人公は平穏な世界の中で悪魔になろうとしているのか。
ラストのラストに語られるわけだけれども、どんな悪魔よりも悪魔らしくなろうとし、なれなかった男の悲惨さも出ているのだけれども…


おもしろくはある。
悪魔のようでもある、あああ、もうラストの1ページにならないとその理由に納得できそうでもあり、純粋ゆえにといえばそれはそれでだけれども、あの頭脳をもってして「悪魔のような人間」をそっち方向に理解していたのが残念なような。

あの1ページなけりゃただの暴力小説。
あの1ページと香山二三朗の解説がないと出版すらためらわれるような問題小説かもしれない。


イラストが辰巳四郎でデザインが多田和博というのが初期の新堂冬樹の鉄板デザインっていうのがすごくある意味懐かしい。

tag : 悪虐 新堂冬樹 幻冬舎文庫

【小説】夜騎士物語

夜騎士物語 NIGHT KNIGHT STORY
新堂冬樹
ハルキ文庫
夜騎士物語 (ハルキ文庫)夜騎士物語 (ハルキ文庫)
(2012/05/15)
新堂 冬樹

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どんなに純粋な心の持ち主でも、きっかけひとつで黒く染まる。
純粋であればあるほど、底なしの漆黒色に……。

夜騎士物語』本文より


文庫版で再読。
No.1ホスト。しかしホストらしくなく心優しく太い客も細い客も同等に扱う。
優しきホストがやってきた刺客との一騎打ちの対決。
売り上げが1か月の間に1千万2千万とあがる間にどんどん変化していく。

夜の世界を多々描いている新堂冬樹の中では珍しいホストクラブが題材。

明るくまるで外の世界とは違う世界。
狭い狭いホストクラブという店の中だけの恐ろしく狭い世界でお金が飛び交う。

しかもこの本の舞台はたった1か月の間だけ。
どれだけ人気があろうとも、今回の戦いで得たものによっておそらく彼らも忘れられ過去にすらなれないのかもしれない。

儚い夜の一瞬の光が消えゆく。
童話のような、でも酒と夢と金が織りなしているわけだけど(笑


…でも女王蘭であったり、女優仕掛人とかとさすがにどことなく似てるんだよなぁ。

tag : 夜騎士物語 新堂冬樹 ハルキ文庫

【小説】華麗なる欺き

華麗なる欺き
新堂冬樹
ハルキ文庫
華麗なる欺き (ハルキ文庫 し 8-2)華麗なる欺き (ハルキ文庫 し 8-2)
(2012/08/08)
新堂 冬樹

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――いいかい?初めての人にあったら、その人がどんな仕事をして、どんな性格をしているのかをナゾナゾみたいに考えるんだよ。
一流の詐欺師だった父は、幼い翼にことあるごとにそう繰り返した。

華麗なる欺き』本文より


現代のスティングを異名を持つ詐欺師の190億を狙う戦い。

詐欺師同士のやりとり、騙す側騙される側の葛藤。
詐欺に誇りとプライドを持つやつらの戦いが描かれていた。

…同氏の「3億を狙え」とある意味似た構造だし、裏の裏まで描かれているのだけど薄っぺらいというか、現代のスティングといえるほどにスマートかと言えるかというと、そこまでじゃないし。
スティングが名作だと匂わせて、それを見てもらうための布石だったら納得かもしれない。

どうしようもない後味の悪さを残しているどんでん返しのあとのラストは実に新堂冬樹らしいが、やっぱり他の作品とどうしても比べてしまうなー。
さらっと読むには適しているかも。

tag : 華麗なる欺き 新堂冬樹 ハルキ文庫

【小説】白い鴉

白い鴉
新堂冬樹
双葉文庫
白い鴉 (双葉文庫)白い鴉 (双葉文庫)
(2012/12/13)
新堂 冬樹

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――あっちゃん、泣くなよ。たとえ世界中の人達が敵になっても、俺はあっちゃんの味方だから。

白い鴉』本文より


新堂冬樹の『白い鴉』。
世間を騒がす詐欺師である「白い鴉」の話。

彼による怒涛の詐欺につぐ詐欺。
そして彼自身に目線を移しての犯行動機、そしてもっとも根源的な詐欺の意図。

いつもと違うぞ。
白とも黒ともつかない。

圧倒的弱者からの強敵に対する復讐。
白い鴉が貫いた誰もを敵に回しながら、それでも成そうとした動機。

うわ、圧倒的弱者のはずなのにいつもの新堂冬樹の弱者ではないし、強敵も強敵なのに意外と簡単に詐欺にひっかかりはするけれども、そのやられっぷりはちょっとスカっとする。

詐欺師自身の純粋な気持ちもまた読みやすいとは思うし…
新堂冬樹の中でももしかしたら異色かつ読みやすいものかもしれん。


差別を表す意味での「白いカラス」とは全然別の意味だったのはちょっと先入観持ち過ぎた(笑

tag : 白い鴉 新堂冬樹 双葉文庫

【小説】あなたに逢えてよかった

あなたに逢えてよかった
新堂冬樹
角川文庫
あなたに逢えてよかった (角川文庫)あなたに逢えてよかった (角川文庫)
(2010/01/23)
新堂 冬樹

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「一日、一日、僕の記憶はどんどん失われていく。君のことを……忘れてしまうのが怖い……」
背中を小刻みに震わせながら絞り出すような声で言う彼の瞳は、涙に赤く潤んでいた。

あなたに逢えてよかった』本文より

白新堂の純愛三部作の3作目『あなたに逢えてよかった』。
文庫版で再読。

白い。
甘い。
激甘。
これほど激甘スイーツな言葉を乱発しながら、世界は優しさでつつまれていてロマンス溢れた言葉と匂いに包まれた世界もそうそうないだろう。

そうかと思いきや、この本の純愛の末に彼の病気である記憶がどんどん失われていく。
それをどう支えるのか。
そして主人公の決意の強さが見もの。

純愛だけに終わらない。
そうとうに強い戦いと決意っていうのを見せられた。



が、やっぱ白い新堂さんの本でもっとも白い感触があるのがもーーー鳥肌たつ。
言葉という言葉が甘すぎるわ(笑
でもここまで吹っ切れた世界をつくってしまうのも相当すごいもんである。

tag : あなたに逢えてよかった 新堂冬樹 角川文庫

【小説】ミッション

ミッション
新堂冬樹
中公文庫
ミッション (中公文庫)ミッション (中公文庫)
(2010/04)
新堂 冬樹

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「あの臆病で意気地なしですぐに弱音を吐く男が、変われば変わるものね」

ミッション』本文より

新堂冬樹の『ミッション』。
日本一不運な男』の改題。
タイトルがWeb連載時の『ミッション』に戻った。

拉致されて人を殺せと言われた男。
殺せなかったり暗殺者としての訓練が失敗に終わったら恋人が殺されてしまう。
そして拉致された先には他に3人の同じような境遇の男女がいた。
果たして人を殺さざるを得ないのか。
他の者たちを出し抜けるのか。
弱くて卑屈で実にどうしようもない男がいま、変わる、といった内容。

この変わる様子。
二転三転としていく物語。

新堂冬樹の中でももっとも軽い物語。
これで軽いのだから面白い。
読みやすいし、本をあまり読まない人には面白いかも、と初読の時も思ったけど今回も思った。

でも、新堂冬樹をどっぷり読んできた者としてはつまらない。
軽すぎる。
もっと重厚さをとか思ってしまう。

そして改題したために、ラスト1ページの面白さも半減したんじゃないかとすら思ってしまう。

tag : 日本一不運な男 新堂冬樹 中公文庫 ミッション

【小説】女王蘭

女王蘭
新堂冬樹
祥伝社文庫
女王蘭 (祥伝社文庫)女王蘭 (祥伝社文庫)
(2011/03/11)
新堂 冬樹

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「社長は、なにを捨てたんですか?」
立花が置き残したものに、純粋に興味があった。
それを知れば、なにかが変われる気がした。
『情と良心だ』
「情と良心?」

女王蘭』本文より

文庫版で再読。

黒い太陽』の立花のシリーズ2作目。
風俗王の藤堂との戦いは決着が着かず、逮捕された立花は帰ってきていた。
まるで藤堂のような冷徹さを伴って。

あの若き青年立花はどこへいったのか。
以前にも増して冷徹に冷酷に、確実に金を、そして名声を手に入れていく立花。

かと思いきや、以前の立花のように燃えるような復讐心が芽生えていく。
ああ。
これが立花だよ。
いかにえげつなかろうが立花だ。
どうやっても藤堂を風俗王から蹴落とす。
その圧倒的な強さを持って勝負を挑む。

同様に「女王蘭」優姫も藤堂への復讐の為に、風俗業界に入り一気にトップへ上り詰めていく。

欲望渦巻く中、自らの欲望である復讐のために手を組む立花と優姫。

以前読んだ時には黒い太陽の内容をすっかり忘れていた。
しかし今回は再読してからそんなに立たずに読めた。

立花と藤堂の戦いや、立花の前に立ち塞がった者たち。
引き抜き引き抜かれたキャストたち。
彼らの彼女らの話のしっかりとした続きだった。

1作でも確かにひとつn話は終わっているが、前作を読んでからだと面白さは何倍にもなっていた。

ほんと業の深い奴らだ。

復讐繋がりで復讐代行屋『溝鼠』の鷹場も登場したり、今作のメインの主役でもある優姫『女王蘭』も、すべて立花の駒であり、彼の目指す『黒い太陽』はもっとずっと先にある。
もはやこの藤堂と立花の戦いはまだ続き3作目へと続くわけだけれども、圧倒的すぎる敵を前にどうやって戦うというのか。
互いに大きな損害を与えながらもはや消えゆくのではないか。
また立花のような若者などにとって喰われていくんじゃないか。
黒い太陽』は黒い輝きを持つ「力」じゃなく、飲み込まれていく代物なんじゃないかと思えてくるな。

tag : 女王蘭 黒い太陽 新堂冬樹 祥伝社文庫

【ミステリ】闇の貴族

闇の貴族
新堂冬樹
幻冬舎文庫
闇の貴族 (幻冬舎文庫)闇の貴族 (幻冬舎文庫)
(2008/12)
新堂 冬樹

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「コマンドならば、敵の戦意を喪失させるのが目的だが、我々は違う。アン・アサシンは、ターゲットの命を確実に奪わなければならない。たとえ瀕死の重傷で、数分後には絶命するとわかっていても、だ。死人をもう一度殺す。それを、忘れるな」

闇の貴族』本文より

幻冬舎文庫版で再読。
新堂冬樹の初期作品はほぼ幻冬舎文庫の方で揃ってるから、本棚に並べると映えるねぇ。

新堂冬樹の2作目の作品『闇の貴族』。
初期なので黒新堂もあるけれども、ミステリとしても楽しめるという豪華仕様。

闇金をめぐる追い立てられる側の悲惨さと、追い込む側の非情さ。
そして一人の男が金をめぐり人を殺す決意をするまでの決意と、闇金業界と言う闇からさらに一歩を踏み出し暗殺者の世界へと入っていくダークな物語。

いやいや、それだけならいいのだ。
ミステリ分も堪能できる。
誰が絵を描き実行していったか。何が目的だったのかというラストのどんでん返しの綺麗さは圧倒的。

今までのミステリではないような、金のための殺し、欲望のための殺し。
ゆえにそこにはトリックのための殺人や、モチーフのための殺人なんていうミステリの美学はない。
どう残虐に殺すか、見せしめにするか、どうやって相手の戦意を失わせるか、戦慄させるか。
金と欲望うずまく描写に気をとられていたら、この本にしてやられる。
これがやっぱり初期の新堂冬樹の面白さ、楽しさだ。

tag : 闇の貴族 新堂冬樹 幻冬舎文庫

【小説】黒い太陽 下

黒い太陽
新堂冬樹
祥伝社文庫
黒い太陽(下) (祥伝社文庫)黒い太陽(下) (祥伝社文庫)
(2008/08/30)
新堂 冬樹

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が、やりかたを変えるつもりはなかった。黒い太陽に向かう道はひとつではない。
汚れていようが非道と呼ばれようが、藤堂を叩き潰すことができれば、それでよかった。

黒い太陽 下』本文より

黒い太陽』下巻。

ガチの潰しあい。
風俗王藤堂のもとを離れ、才能を見込まれた立花は自分の店を持ち、藤堂に勝負を挑んでいく。

あまりに大きすぎる存在への挑戦。
キャストの引き抜き、新人の才能の見込み方。
店を大きくしていく過程や、ガチのバトルでお互いに潰しあう店と店の仁義なき戦い。

人としての道を外れながら、人の心を弄びながら、人を楽しませるためにはすべての戦力をもってして才能を発揮していく様は圧巻。

上巻でなりあがっていき、下巻であまりに大きな藤堂の存在感に圧倒され先を先を行く戦略に打ちのめされていく様はなんとも言いようのない迫力で描かれていると思う。

風俗業界を舞台にした小説というのも面白いものだし、客を楽しませるやり方の店側視点も確かに面白い。
それ以上に才能と才能がぶつかる戦いの描き方の筆致にこそこの本は面白さがあるのだと再度、実感させられた。

よし、また次の『女王蘭』もそのうち再読しよう。

tag : 黒い太陽 新堂冬樹 祥伝社文庫

プロフィール

∀ki(あき)

  • Author:∀ki(あき)
  • 自由に生きてます。
    色々読んだり見たりしてます。

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