【ミステリ】軍神の血脈

メフィスト賞→高田崇史
03 /11 2017
軍神の血脈 楠木正成秘伝
高田祟史
講談社文庫
軍神の血脈 楠木正成秘伝 (講談社文庫)
高田 崇史
講談社 (2016-03-15)
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「これでまた、さっきの説に関して確信が持てたよ。やはり正成たちは、突き詰めれば自分たちの一族のために戦っていた。決して、南朝のためではなく、ね」

軍神の血脈』本文より

高田祟史の『軍神の血脈』。
うん。QEDが終わった今となってはこれはカンナのシリーズでも神の時空シリーズでもないわな。
あたらしく主人公を置いて歴史ミステリとしてやらないと。

楠木正成の歴史ミステリ。
いや、それだけにとどまらなかった。
彼と彼の血脈と、彼の精神がもたらしたことまで。
いったいどんだけ楠木正成だけで謎がこんなにも出てくるし、後の世を巻き込んだストーリーに仕上げてきたんだろう。
たった1冊がこの濃厚さ。

【小説】神の時空 伏見稲荷の轟雷

メフィスト賞→高田崇史
02 /18 2017
神の時空 伏見稲荷の轟雷
高田祟史
講談社ノベルス
神の時空 ―伏見稲荷の轟雷― (講談社ノベルス)
高田 崇史
講談社
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「正直なところ、ぼくも少し動揺しています。情けない話ですが。今まで人間のしてきたこと、そしてこれから行っていくであろうことと、彼ら鬼神たちの主張と、どちらが正しいんでしょう」

神の時空 伏見稲荷の轟雷』本文より

神の時空』第6弾「伏見稲荷の轟雷」。
5作目の直後。

貴船から先のこの6作目まで。怒涛のように神の時代から続く謎が明かされ、その度に現代日本の危機へと進んでいく。
今回の伏見稲荷の狐の謎も言われてみれば不思議なことだらけ、千本鳥居もなぜあの形になり、実際に伏見稲荷が祀っているのはなんなのか。
知っているようで知らないことだらけだ。
歴史や由来を読み解くことの面白さと、それぞれの作品がリンクしていくにつれ面白味が増してきた。

【小説】神の時空 嚴島の烈風

メフィスト賞→高田崇史
02 /04 2017
神の時空 嚴島の烈風
高田祟史
講談社ノベルス
神の時空 ―嚴島の烈風― (講談社ノベルス)
高田 崇史
講談社
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「私たち日本人は長い歴史の殆どを、天災や疫病や怨霊たちと共に暮らしてきた。何千年もの間ね」

神の時空 嚴島の烈風』本文より

神の時空』第5弾。
5弾目は厳島神社。
これでもかというくらいに宮島と厳島神社のいびつな形。
これほどにまでいろいろ封じてきたのかよというくらいに、歴史をひも解いてみても地形からもこんなに面白く読み解けるとはな。

皇の謎と目的も明かされつつある中で次は伏見稲荷。
すでに事件は起こっていて次巻に続く、と。
再びの京都。しかも貴船の事件があったばかりの京都に戻るとなるとこれはまた楽しみだ。

【小説】神の時空 三輪の山祇

メフィスト賞→高田崇史
01 /21 2017
神の時空 三輪の山祇
高田祟史
講談社ノベルス
神の時空 ―三輪の山祇― (講談社ノベルス)
高田 崇史
講談社
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「じゃが、三輪山は神体山じゃぞ。これは、どこをどう調べてもそうなっとる。となれば、当然そこには神様がおる。神様のいない神体山など、どこにも存在しないわい」

神の時空 三輪の山祇』本文より

神の時空』4作目「三輪の山祇」。

3作目の貴船での事件が活きてきた。
神の怒りを買い、世界を滅ぼそうとする奴らが一気に動き出してきた感がある。
大神神社の謎をひも解きながら、ある意味神々と対話するかのよう。
何を祀っていたのか、神社ではなく山を崇拝するというのは何を意味しているのか。
一風変わったこの神社はやっぱりだいぶ変わった解釈も可能で、今回の山での事件に繋げてくるか。

この分量でこの内容の濃さは楽しい。

【小説】神の時空 貴船の沢鬼

メフィスト賞→高田崇史
01 /07 2017
神の時空 貴船の沢鬼
高田祟史
講談社ノベルス
神の時空 ―貴船の沢鬼― (講談社ノベルス)
高田 崇史
講談社
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「般若の顔は、憎しみや怨念だけの表情と違います」
「えっ」
「あんたさまは、般若の顔をされたことがおありどすか」

神の時空 貴船の沢鬼』本文より

神の時空』3作目。

貴船に鞍馬に。果ては上賀茂下賀茂に至るまで。
怨念渦巻く京都と般若。
うん、貴船といえば般若というのもあるが、かなり掘り下げてきたな…
いつもの高田祟史の歴史ミステリといえばそうだけど、次々に日本の大怨霊の謎をやりながらついに本筋がここで見えた感じがするぞ。

【小説】神の時空 倭の水霊

メフィスト賞→高田崇史
02 /21 2015
神の時空 倭の水霊
高田祟史
講談社ノベルス
神の時空 ―倭の水霊― (講談社ノベルス)神の時空 ―倭の水霊― (講談社ノベルス)
(2014/07/03)
高田 崇史

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誰の怨霊にしても、もしも目覚めて暴れ出したら、名古屋市内まで海に戻る。

神の時空 倭の水霊』本文より

神の時空』2作目。

名古屋近辺が今度の舞台。
熱田をメインにしながら、真清田神社まで出てきたぞ。
ってかうわ、この名古屋近辺の古地図。
そういうことか。
住んでいてなんとなくそうじゃないかとは思ってたし、自転車で走ってわかる若干の傾斜。
清州に枇杷島、肥後島に下津。
やたらと水に関する地名多いなと思っていたら古地図ではそうだったのか。

加えて熱田などの祭神と日本武尊の関係などからも、ああなるほど、と。

今回すごく納得したし、名古屋が沈むとかもという前提で歴史的怨霊の側面から歴史と神話をひも解いていく流れ。これは面白いわ。

【小説】神の時空 鎌倉の地龍

メフィスト賞→高田崇史
10 /05 2014
神の時空 鎌倉の地龍
高田祟史
講談社ノベルス
神の時空 ―鎌倉の地龍― (講談社ノベルス)神の時空 ―鎌倉の地龍― (講談社ノベルス)
(2014/03/06)
高田 崇史

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「文字になっていないこと、文書として残すことがでいなかったことが真実じゃ。史書を読んでみろ。どうか真意を読み取ってくれ、と文字の行間が訴えておる」

神の時空 鎌倉の地龍』本文より


QEDが終わり、カンナが終わり。
次のシリーズがこの『神の時空』。

あ、これはまた違う趣向だな。
数々の大怨霊を知り、鎮めていくかのような。

今回は鎌倉、また鎌倉かよと思っていたら頼朝。
え、頼朝は怨霊だったのかよ。
どこの神社の中の実際はどこに祀られているのか。

あー、なるほどなぁ。

それに鎌倉時代の血塗られた歴史。
暗殺毒殺なんでもござれ。
なぜ誰も首都にしなかった場所に頼朝は鎌倉幕府を開いたのか。

よく考えれば疑問なのに、歴史で勉強すると「そうだった」という事実しか読み取らない。
やっぱそれだけじゃ面白くないよな。

よしよし、これでまた当分は歴史ミステリを楽しく読んでいけそうだ。

【ミステリ】QED flumen ホームズの真実

メフィスト賞→高田崇史
10 /13 2013
QED flumen ホームズの真実
高田崇史
講談社ノベルス
QED ~flumen~ ホームズの真実 (講談社ノベルス)QED ~flumen~ ホームズの真実 (講談社ノベルス)
(2013/09/05)
高田 崇史

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人の思いや気持ちは、常に物語を作る。そこには、フィクションもノンフィクションもありません

QED flumen ホームズの真実』本文より

QEDシリーズ完結から2年。
まさか新作が読めるとは。
祟と奈々の新たな物語であり、後日談。

しかもまたしてもホームズ!?
3作目以来ときたもんだ。
さらにはホームズと紫式部を関わらせるという予想のななめ上の展開。
どちらも「紫」というキーワードで物語を読み解いていく。
紫という言葉だけでここまでやってしまうんかいっ。

今までずっとQEDで書きつづられてきた語られざる物語たち。
物語の中にこそ読み解くものがあるという総決算である前作とは違って、今までのシリーズのあった楽しさの根本こそを読み解いていっていて、それがまたこれが後日談だからこそすごくぐっとくる物語でした。


半分は手に入らなかったQEDのパーフェクトガイドというのもまた終わったシリーズだからこその楽しみだよなぁ。

【小説】カンナ 京都の霊前

メフィスト賞→高田崇史
10 /06 2012
カンナ 京都の霊前
高田崇史
講談社ノベルス
カンナ 京都の霊前 (講談社ノベルス)カンナ 京都の霊前 (講談社ノベルス)
(2012/07/05)
高田 崇史

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「そう。それで目が覚めた。少し考えれば、そうだね。本当の歴史を学ぼうとしたら、自分の頭で考えなくちゃダメだ。実際に現代だって、色々な情報が政府やマスコミから流れてくる。でも、もちろん彼らは、自分たちにとって不都合な事実など決して公にはしない。それならば当然、昔だって同じようなことが行われていたはずだ。今までは、そんな当たり前のことにすら気づかなかったんだ。恥ずかしいことにね」

カンナ 京都の霊前』本文より

前で九字は切られた。『カンナ』最終巻。
最後は京都ですよ!京都!

『QED』は出雲で、『カンナ』は京都。
あるべきところに落ち着いた。

今回挑む謎は「天皇」。
いやぁ、もうどきどきした。

今までの流れで様々な歴史の謎をあらためて考えるきっかけを提示してきた本書だけれども、日本の天皇の発祥の謎へと至るとは。
そりゃあ、今まで散々戦いの発端となっていた書物のコトの重大さを示すわけだ。

誰もが日本史の中で通り過ぎる名前を使った、もうひとつの考え方。
歴史は覚えるものじゃなくて考えるものっていう楽しさを9冊を通してあらためて考えさせられた。

歴史楽しいじゃないか!

【ミステリ】千葉千波の怪奇日記 化けて出る

メフィスト賞→高田崇史
12 /01 2011
千葉千波の怪奇日記 化けて出る
高田崇史
講談社ノベルス
千葉千波の怪奇日記 化けて出る (講談社ノベルス)千葉千波の怪奇日記 化けて出る (講談社ノベルス)
(2011/11/08)
高田 崇史

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「階段落ちくん」
「だから」ぼくは言い返す。「その呼び方は止めてってば」
「いいじゃないの」
「良くない」

千葉千波の怪奇日記 化けて出る』本文より

ぎゃあ。
ぴいくんの本名のヒントがっヒントがっ。

まさかの完結巻。
前作でラストだと思ってたので思わぬボーナストラックのような大学編。

ぴいくんと慎之介と大学でできた女の子の友人ふたりと。
そしてもちろん千波くんやチョコちゃんのいつものパズル。
でも今回はミステリ色やホラー色もあったり。
いつも以上にどうでもいい薀蓄を語りながら嬉々として楽しそうな日常を送っていてなにより。

いや、もうほんと。
大学生になって、お酒も飲むようになって。
ああ。
QEDや麿のシリーズみたくアルコールを飲んでる彼らの楽しそうなこと。
そこにパズルを含めたいろいろな現象を語る。
くっそ。
すっごい楽しそう。
大学時代っていいなぁとほんとすんごく思わされた。

西澤保彦のタックシリーズかよっ、ってツッコミたくもなったり。
そしてなにげに西澤作品並みに「ないわー」って思うような登場人物たちの名前。
そこでぴいくんも「人のことを言えないけど」っていう始末。
へぇ、ぴいくんそんな変わった名前なんだ。
そんでもって今回から登場の古都里ちゃんに「階段落ちくん」とか「落っこちくん」と連呼される始末。
ちゃんと入学して階段を落ちたという由来はあるんだけれども。
うわ、ものすごいヒントやん。
もちろん本名の。

だからあえてこんな珍妙な名前の人物を跋扈させまくったのか。
そして今から考えれば、彼が落ちて浪人したのも、ある種のギャグだったのだろうかとかすら思えてくる。

えぇ。
オチまで含めて久々に彼らの姿を見ることができて楽しい限りでした。
ああ楽しかった。

【ミステリ】QED 伊勢の曙光

メフィスト賞→高田崇史
10 /20 2011
QED 伊勢の曙光
高田崇史
講談社ノベルス
QED 伊勢の曙光 (講談社ノベルス)QED 伊勢の曙光 (講談社ノベルス)
(2011/10/06)
高田 崇史

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今回の事件もそうだったが、神の坐す場所には、表に見えている以上の深遠な歴史が隠されているのか。まだまだ奈々の知らない事実が……。

QED 伊勢の曙光』本文より

QED』最終巻。
最後は伊勢。

いわばオールキャストともいうべき登場人物で挑む、QED史上もっとも数多くの謎を抱えた伊勢神宮。
たったひとつの鍵ですべての扉が開く爽快感。
歴史ミステリの醍醐味はここに極まったとも言っても過言じゃないんじゃないのか。
いままでの鬼と人と神との関係や神が生まれる=怨霊の封じ込めなど、いままでの内容を踏まえて、そこからさらにもっと先に踏み込んだ「天照」の正体にはびびった。
これはすごいラストだ。

今回は殺人事件と歴史の事件の関連性もしっかりあったしね。
伝説は風習となって残り、その根本となるところは歴史の闇に消えていっている。
その面白さ、歴史の違った角度からの検証がすごく勉強になった。
これを読んでからそれぞれの作品の舞台に行くだけでいろいろ想像できるようになって楽しくなったんだよなぁ。

最後の最後というわけで主人公ふたりにも変化が生まれたりととても微笑ましいものも見られたしでとっても満足です。
またそのうち全作読み返そうと思う。

【小説】カンナ 出雲の顕在

メフィスト賞→高田崇史
08 /16 2011
カンナ 出雲の顕在
高田崇史
講談社ノベルス
カンナ 出雲の顕在 (講談社ノベルス)カンナ 出雲の顕在 (講談社ノベルス)
(2011/07/07)
高田 崇史

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「出雲大社が、出雲を代表する神社と認識されたのは、つい最近のことです。ほんの百数十年前」

カンナ 出雲の顕在』本文より

カンナ』シリーズ8作目。
次でいよいよラスト!

まさかQEDより先に出雲にいっちゃうとは思わんかった。
ってか最終巻にこっちが先に王手をかけるとは…

出雲はなぜ現在神格化された地となっているのか。
たった百数十年の間になにがあったのか。

それがついに今まで追い続けてきた謎に直結していった。
敵も目的もついに判明。
いよいよ最終決戦を残すのみ。

出雲大社がなぜ参拝するのに下っていく必要があるのかとか、怨霊を封じているはずなのに境内までは直進という謎も興味深く読めました。

神々が集う地=出雲というのが当たり前と思っていたけど、それが吹き飛んだ。
この謎をQEDでやるもんだと思ってたら、まさかラストの直前の謎のひとつとしてだけにとどめてあるということにどきどきする。
これ以上の謎っていったい…

日本の歴史をひっくり返すかのような物語をひっさげ、どういう結末へと持っていくのが楽しみで仕方ない。

【ミステリ】白蛇の洗礼

メフィスト賞→高田崇史
07 /29 2011
白蛇の洗礼 毒草師
高田崇史
講談社ノベルス
毒草師 白蛇の洗礼 (講談社ノベルス)毒草師 白蛇の洗礼 (講談社ノベルス)
(2011/06/07)
高田 崇史

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「では気を付けて行って来るんだね。今きみにアドヴァイスできるのは、絶対に毒殺されずに済む方法は、たった一つしかないということだ」
「そ、それは?」
「何も触れない。何も口にしない。できれば息も止めておく」

『白蛇の洗礼』本文より

QEDのスピンオフ毒草師の2冊目『白蛇の洗礼』。

千利休のキリシタン疑惑の謎と、茶室などでの連続毒殺殺人事件を追う。

ものすごく千利休の問題と殺人事件が絡んでる!?
薀蓄がものすごく多くあるわけでもない。でも薀蓄の濃さはすごかった。毒についてや、毒にまつわる特殊な人々の話など。
そして千利休やお茶について。

それとミステリの配分がすごくよかった。
謎と歴史ミステリが見事に絡み合ってました。

さらにいうなら、毒草師御名方史紋の謎も。
ここでそう絡めるのかよっ、と。
いままでの変態薀蓄紳士だけじゃなく、彼自身の魅力もものすごく引き立ってた。

【小説】カンナ 天満の葬列

メフィスト賞→高田崇史
05 /03 2011
カンナ 天満の葬列
高田崇史
講談社ノベルス
カンナ 天満の葬列 (講談社ノベルス)カンナ 天満の葬列 (講談社ノベルス)
(2011/03/08)
高田 崇史

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本当に怨霊ではないのか。
ではそうだとしたら、何故「大怨霊」と呼ばれるようになったのだろう。一体誰が、そう呼んだのだ?

カンナ 天満の葬列』本文より

カンナ』シリーズ7作目。
菅原道真はなぜ怨霊と呼ばれるようになったのか。
そのルーツは。
そして誰が言い始めたのか。それによって益を得たものたちとは。

歴史ミステリーとアクションのこのシリーズもいよいよ終盤。
菅原道真の話だけではなく、忍びの末裔たちの話としても、物語の核となっている社伝の謎も深まってきた。
そしてQEDシリーズとのリンクも濃くなってもきた。

そういつの間にやらカンナのシリーズも終盤の空気が漂ってきた。
QEDもそういえば終盤。
もしかして同時期に終わらせるために現在はQEDを待機させてるなんてことないかなぁ。

これまでのシリーズで語られてきた歴史上の様々な敗者たちの歴史をひも解いてきた先に、いったい社伝にはなにが書かれているのか。
さぁ。面白くなってきたぞ。

【小説】鬼神伝 龍の巻

メフィスト賞→高田崇史
11 /04 2010
鬼神伝 龍の巻
高田崇史
講談社ノベルス
鬼神伝 龍の巻 (講談社ノベルス)鬼神伝 龍の巻 (講談社ノベルス)
(2010/10/07)
高田 崇史

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『鬼』というのは戦う『神』のことだ。そして『神』は我々『人』の祖先。また『人』は『仏』となる。つまり、鬼も神も人も仏も、みな同じ

鬼神伝 龍の巻』本文より

鬼神伝』3作目。

鎌倉幕府の時代。
北条時宗の治世においての鬼と人との戦いが描かれる。
そして再び天童純がこの時代に飛ばされるわけだが。

鬼と人との戦い以外にも日蓮や某刀家事やら細々としたところでも魅力的な要素がいっぱい。
戦乱という戦乱が当てはまるような3作目だけど歴史的な解釈もふんだんに取り込んでどこまで濃くする気だ。

もはや子どものためのミステリーランドという枠を飛びぬけて面白さを前面に出してきてるよなぁ。

【小説】鬼神伝

メフィスト賞→高田崇史
10 /29 2010
鬼神伝
高田崇史
講談社ノベルス
鬼神伝 (講談社ノベルス)鬼神伝 (講談社ノベルス)
(2010/10/07)
高田 崇史

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私は鬼だ。そして、もしも奴ら貴族を指して『人』というのならば、私は自分が鬼であることを誇りに思っている

鬼神伝』本文より

ミステリーランドの『鬼神伝 鬼の巻』『鬼神伝 神の巻』の合本版。
小中学生のときに読みたかった!

平安の世にタイムスリップし、草薙剣を手に鬼と人との間の戦い、そして神をも巻き込んだ戦いへと赴くことになった少年の純の物語。

鬼とは人とは何か。
なぜ鬼は退治されるべき対象なのか。

高田崇史のQEDやカンナで描かれた内容を少年少女に向けて描かれたファンタジー小説。
いいなぁ。
こんなん読んだら日本史の見方がまったく変わるじゃないか。
そして自ら調べて真実を知るということをこの本を読んでできるようになったのなら…
ほんと15年くらい前に読みたかった本です。


でも…
なんかすごく後味悪いというか、続きが知りたいというか。
確かに完結しているけど、その後がどうなったのか知りたい。
なので近々『龍の巻』にもしっかり手を出します。

【小説】カンナ 鎌倉の血陣

メフィスト賞→高田崇史
06 /11 2010
カンナ 鎌倉の血陣
高田崇史
講談社ノベルス
カンナ 鎌倉の血陣 (講談社ノベルス)カンナ 鎌倉の血陣 (講談社ノベルス)
(2010/06/08)
高田 崇史

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「物事が始まる時というのは、大抵がそんなものです。それこそ頼朝の挙兵だって、当初、彼のもとに集まった兵は、わずか八十人ほどだったといいますからね。それがやがて、平家を滅亡にまで追い込む大軍となった。思い立つ日こそ吉日です。貴湖さん」

カンナ 鎌倉の血陣』本文より

カンナ』シリーズ6作目。
QEDでも取り上げられた鎌倉。
またそれとは別のアプローチがなされており、そこから導き出される北条家と源家に残された様々な文献資料から見えてくる真の姿にゾクゾクした。

誰もが学校で習うような知識。
その実、実際に読んだことはない。
せいぜいが知っているとしてもどのような内容だったかというものくらい。

それを実際に読み比べていくといくつもの不思議な点が出てきて、それを繋ぎ合わせると…というのはQEDもカンナシリーズもあることだけれども、未だに新刊読むたびに驚かされます。
根幹の北条政子と鎌倉幕府内で起こる様々な暗殺。
それに結び付けたかのように今回かもしぃたちを襲う暗殺者たち。

歴史の謎もそうだけれども、展開もどんどん激しいものになってきた。
まさに加速の巻でした。

登場人物たちの動きも、シリーズの謎である蘇我大臣馬子傅暦の行方とその書がもたらす影響に関する話もついていくのにいっぱいいっぱい。
こんだけ一気に物語が進み、ラストに向かって前進。
これはもう次が楽しみとしか言いようがない。

【小説】カンナ 戸隠の殺皆

メフィスト賞→高田崇史
02 /13 2010
カンナ 戸隠の殺皆
高田崇史
講談社ノベルス
カンナ 戸隠の殺皆 (講談社ノベルス)カンナ 戸隠の殺皆 (講談社ノベルス)
(2010/02/05)
高田 崇史

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「元々からの? ということは、この宮は当初から天手力男命を祀っていたわけではないんですね」
「ここは戸隠ですから」

カンナ 戸隠の殺皆』本文より

カンナ』第5弾。
今度は戸隠。

そりゃあもちろん戸が隠れた場所、つまりは天照大神の天の岩戸伝説が絡んでくるわけです。
そして戸隠に隠された過去、葬られた過去と言ったほうがいいかもしれない。
そんな戸を開けた天手力男命より前の存在について語られる。


今度も大冒険。
忍同士の戦いもさることながら、QED並に奥の深い戸隠について深く探求していく。
甲斐がどんどんと貴湖の影響を受けてか、歴史の闇へ闇へと一歩一歩進んでいっている気がしてならない(笑

天の岩戸伝説の謎に驚愕しすぎて物語の本筋を思わず忘れてしまうかと思った。

甲斐たち主人公の甲賀に伊賀の忍びに、貴湖の伊勢に今回の戸隠に。
忍の末裔たちが次々と登場していき、さらには甲斐の婚約者の家も暗躍しはじめた。
本筋の方も面白くなってきた。

甲斐と貴湖の仲がいい感じになると同時に婚約者の存在がいい感じにスパイスになってるよなぁ。

【ミステリ】QED 出雲神伝説

メフィスト賞→高田崇史
10 /23 2009
QED 出雲神伝説
高田崇史
講談社ノベルス
QED 出雲神伝説 (講談社ノベルス)QED 出雲神伝説 (講談社ノベルス)
(2009/10/22)
高田 崇史

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出雲が島根ではなく、奈良にもあった。そこまでは良いとしても、ではどちらが元なのか?
そして、奈良や京都に、どうして出雲が散らばっているのか。いや、京都はまだいい。出雲臣たちが連れ去られ、居住させられていたと考えればまだ理解できる。だが、奈良に何ヵ所もあるというのは……その理由が分からない。

QED 出雲神伝説』本文より

ここ数年のQEDの中でもっとも好きだ!
タイトルも読み終わってから考えるとすごく秀逸。
もちろん表紙も。

本編『QED 出雲神伝説』と短編『QED~flumen~出雲大遷宮』を収録したシリーズ16作目。


以前から出雲出雲と言われていたから次のQEDは出雲なんだろうなと思っていたらまさかの奈良の中の「出雲」の話。

目から鱗というのはこのシリーズで何度も体験しているけれども、今回ほどの衝撃は今までなかった。
奈良に出雲って…。
大和出雲の謎解きにしても、この日本という国の成り立ちそのもの、闇に葬られた歴史をひとつひとつ紐解いていく過程も非常に興味深く読めた。

町ひとつを取ってみても歴史はいくらでもあるし、知らない事実もたくさんある。
特に今回はよく出向く場所、亀岡だったり奈良や桜井、伊賀上野などが舞台だっただけにもう一度しっかりと旅をしてみたくなった。
今度はまったく違ったものが見えるに違いない。

伝説と真実の比較や、語源を辿る幾つもの話も相変わらず知識欲を書き立てられる内容だった。
八雲立つの「八雲」なんて、ねぇ。
もうびっくりですよ(笑


またシリーズとしても終盤。
別シリーズの「カンナ」とのリンクも出てきだした。
シリーズとしてなんかまとまりだした気がする。

それにしてもこのシリーズはどこに向かってラストを迎えるんだろう。
今までてっきり島根県の出雲でラストなんじゃないかなぁなんて思っていたのだけれども…
そこじゃないだろうな…

次もものすごく楽しみにしてます。

【小説】カンナ 奥州の覇者

メフィスト賞→高田崇史
07 /08 2009
カンナ 奥州の覇者
高田崇史
講談社ノベルス
カンナ 奥州の覇者 (講談社ノベルス)カンナ 奥州の覇者 (講談社ノベルス)
(2009/07/07)
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「やはり、この戦いに関しての最大の疑問は、何故アテルイが戦闘力を保持したまま、あっさりと田村麻呂たちに投稿したのかという点だろうと思います」

カンナ 奥州の覇者』本文より

高田崇文の『カンナ』4作目。
奥州の覇者「アテルイ」にスポットを当てている。

もちろんシリーズ最大の謎「出賀茂神社社伝」をめぐる忍の末裔たちの陰謀渦巻く展開も見もの。
ってかついにあの男が現れたやがった!
もう今までの3作はなんだったのか。
これじゃまるで前3作はプロローグ、
ここからが本当の「本編」ってことか!?


長い長い日本の歴史においての真実。
真実とは伊賀や甲賀に村雲といった忍の末裔たちが絡んでくる背景に浮かび上がる朝廷の闇に葬られた歴史。
これこそがこのカンナの核になりそうな予感がする…。

物語りも一気にスケールアップ。
さらに大きな謎かけも仕掛けつつ、今回の最大の謎「アテルイはなぜ優位に立ちながら田村麻呂ひいては朝廷へと投降したのか」という4巻目のテーマの構成も興味深く読めました。


それにしても濃い。
ページ数はそんなにないはずなのだが恐ろしく密度が濃いよな、このシリーズ。

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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