フォークの先、希望の後 THANATOS
Hedgehog's Dilemma汀こるもの講談社ノベルスここでは誠意のない者、狂気に囚われた者こそが信頼に値し、愛と正義を信じるものほど危険なのです。善意などまやかしです。目に見えるもの、指で触れるものは何一つ信じてはいない。
『フォークの先、希望の後』本文より
THANATOSシリーズ3作目『
フォークの先、希望の後』。
あぁ。まただよ。
副題が「Hedgehog's Dilemma」だよ。
前作が「まごころを、君に」だっただけに確信犯だな。
これ確実にエヴァンゲリオンの第4話「雨、逃げ出した後 Hedgehog's Dilemma」だよな…
などと思っていたところ本文中に同じようなセリフがあったのでびっくらこいた。
エヴァをよく知ってる人がいたら、きっと非常に楽しい本だと思う。
本文中にどんだけネタが含まれていたことかw
また、作者なりのエヴァの解釈を本筋に絡めなているかのような内容が読めるのも面白いところ。
そんなわけでまたタイトルに釣られました。
ちくしょう。
今作はミステリというよりも死神「タナトス」の絶望と希望を描いたもの…かな。
周りにいる人を次々に死に至らしめる不能犯であるタナトス=美樹。
誰のせいでもない。
ただ周りの人が死んでいくため。
それゆえに周りから疎まれるだけの存在。
そんな彼の心に迫っていくわけだが。
これがまたいいのだ。
随分ひねくれたラブストーリー。
いや、ラブストーリーではないな。
近いんだが遠いような(笑
さながらハリネズミのジレンマのごとく、タナトスとの交流は非常に厄介極まりないもの。
それを随分と遠まわしに事件の謎と解きつつゆっくりと心を解きほぐしていく。
まったく…
これまでのひねくれた少年像が今作でさらに変わったかもしれない。
くっそ、また面白いものを書いてきやがって。
巻を進めるごとに最初に感じた狙いすぎの双子美少年探偵しかも中2病っぽいミステリという印象が変わってきたなぁ。
ミステリではなかったかもしれないけど、非常に面白いものが読めました。
もちろんこの記事執筆中のBGMは新世紀エヴァンゲリオンのDVD-BOXにあった音声特典の「Hedgehog's Dilemma」と「THANATOS」をループして聞いてます(笑