【小説】レ・ミゼラブル 5

本→海外小説
01 /17 2016
レ・ミゼラブル 5
Les Misérables

ユゴー Victor, Marie Hugo
訳 佐藤朔
新潮文庫
レ・ミゼラブル (5) (新潮文庫)
ユゴー
新潮社
売り上げランキング: 171,830

今読者が読んでいる本は、端から端まで、全体的にも、部分的にも、中断、例外、欠陥があるにしても、すべて悪から善への、不正から正義への、虚偽から真実への、夜から昼への、欲望から良心への、腐敗から生命への、獣性から義務への、地獄から天国への、虚無から神への前進である。出発点は物資、到達点は魂である。初めの怪物は、終りでは天使となる。

レ・ミゼラブル 5』本文より

レ・ミゼラブル』最終巻第5部「ジャン・バルジャン」。

人類の歴史の中で悪を描き、善を描き、キャラクター小説としても文学としても歴史書としても人の善についてひたすらに考えさせられる。
人をいま一歩善へと向かわせるような。

なんていうか、人類補完計画なんてものがあるとしたらこの書物のことなんじゃないだろうかとすら思えてくる。
ヴィクトル・ユーゴー…とんでもないものを世に送り出してたんだな。

【小説】レ・ミゼラブル 4

本→海外小説
10 /04 2015
レ・ミゼラブル 4
Les Misérables

ユゴー Victor, Marie Hugo
訳 佐藤朔
新潮文庫
レ・ミゼラブル (4) (新潮文庫)
ユゴー
新潮社
売り上げランキング: 210,930

魂とは偏在しながら統一した驚嘆すべきもので、どんな絶望のどん底にあっても、ほとんど冷静に推論する不思議な能力を持っている。そこで、悲しみにくれた情熱や、深い絶望が、最も陰鬱な独り言をする苦悩の中でさえ、問題を取出し、議論をすることがよくある。論理は痙攣とからみ合い、三段論法の糸は、思想の陰気な嵐の中で、切れることもなく、ただよっている。マリユスの精神状態がそうだったのである。

レ・ミゼラブル 4』本文より

レ・ミゼラブル』第4部「プリュメ通りの牧歌とサン・ドニ通りの叙事詩」。
エポニーヌの恋と死と、コゼットの大人への成長と彼女の愛、精神に混乱をきたすジャン・バルジャンに、生と死と恋と正義の間で苦悩するマリユス。
パリを闊歩し、歌に皮肉を込めながら生きるガブローシュに、正義に邁進するアンジョルラス。

……などなどのキャラクターたちの社会に対する反乱と、生きる糧の愛を描きながら、反乱とは戦争とはを問い、フランスの歴史から反乱を語り、王とは民衆とはなんぞやを問うてくる第4部。
最も長い第4部だけに濃い。
もはやキャラクター小説というよりも、歴史の動きからキャラクターたちを動かし語らせているようだ。
人間の悪も正義もどん底から天上に至るまで描いているのだけれども、それがすべて「パリ」という都市の物語へと通じているようだ。

読めば読むほどこのレミゼという本の印象が変わってきて非常に楽しい。

【小説】レ・ミゼラブル 3

本→海外小説
09 /27 2015
レ・ミゼラブル 3
Les Misérables

ユゴー Victor, Marie Hugo
訳 佐藤朔
新潮文庫
レ・ミゼラブル (3) (新潮文庫)
ユゴー
新潮社
売り上げランキング: 143,900

人間は平等である。すべての人間は同じ粘土からつくられている。少なくともこの世では、神の摂理にどんな差別もない。前世では同じ暗闇、現世では同じ肉体、来世では同じ灰。だが、人間の煉り粉に無知がまじると黒くなる。この不治の黒さが人間の内部に達すると、そこで「悪」となる。

レ・ミゼラブル 3』本文より

レ・ミゼラブル』第3部マリユス。

極貧マリウスこんだけの状態だったのかよ。
というよりはマリウスの命をかけても助けなきゃいけないという父の遺言の相手であるテナルディエの悪さが目立つ。
前巻でもあったけれども、悪が悪たるゆえん。もはや悪以外の何物でもない行動の数々に戦慄した。
こんなにもか。

対するジャン・バルジャンのコゼットに対するただの愛。単なる愛。愛以外の何物でもない行動がすごすぎる。
そのジャン・バルジャンとテナルディエをゴルボー屋敷で対決させ、見届けた人物としてマリウスとジャベールを配するあたりの面白さ。
加えてミュージカルではほぼ描かれないパトロン・ミネットは面白い。このパリの悪を代表する4人組を超越してくるテナルディエの存在があるから映えるんだろうなぁ。

【小説】レ・ミゼラブル 2

本→海外小説
09 /20 2015
レ・ミゼラブル 2
Les Misérables

ユゴー Victor, Marie Hugo
訳 佐藤朔
新潮文庫
レ・ミゼラブル (2) (新潮文庫)
ユゴー
新潮社
売り上げランキング: 139,689

彼は彼女を守り、彼女は、彼を強くした。彼のおかげで、彼女は人生を歩むことができた。彼女のおかげで、彼は徳の道をつづけることができた。彼はこの小娘の支えであったし、この小娘が、彼の拠りどころとなった。

レ・ミゼラブル 2』本文より


レ・ミゼラブル』第2部コゼット。

ジャン・バルジャンがジャン・バルジャンになった瞬間がこのコゼットを引き取った瞬間だろうな。
コゼットは地獄から抜け出したし。
その地獄であったテナルディエの描写も強烈だった。
こうやってテナルディエ夫婦と娘たちは生きてきたわけか。

そこに加えてワーテルローの長い章でのテナルディエという悪とフランスという国のキャラクターの掘り下げも興味深かった。
キャラクターも魅力的だけれどもその背景もものすごい筆量で描かれてるな。

【小説】レ・ミゼラブル 1

本→海外小説
08 /15 2015
レ・ミゼラブル 1
Les Misérables

ユゴー Victor, Marie Hugo
訳 佐藤朔
新潮文庫
レ・ミゼラブル (1) (新潮文庫)
ユゴー
新潮社
売り上げランキング: 31,025

「あなたは正直な人間になることを、わたしに約束した。あなたの魂を、わたしは買います。邪悪な精神から、あなたの魂を引離して、神にささげます」

レ・ミゼラブル 1』本文より

ヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』。
第一部「ファンチーヌ」。
さぁ5冊読むぞ。
この長大すぎる物語を。

いや、もう、それは一冊目で十分わかった。

そもそもジャン・バルジャンが出てくるまでが長い。
神父の下りも、彼の行った行為や彼の後年の偉業の数々にページを裂き、ファンテーヌがテナルディエと出会い彼らによって地獄にたたきおとされるまでの描写のすさまじいこと。
ジャン・バルジャンの孤独な牢獄から神父に出会い、変わり、マドレーヌ市長としての善良な人としての数々の行為といい。

え。
1冊でこんだけ濃いの。
そんでもって、まだこれだけしか物語が進んでいないのかよと愕然。

当時の文化という文化、歴史の中での立ち位置。
それらすべてを含みながらのとてつもない小説なんじゃないのか。

【ミステリ】ロスト・シンボル

本→海外小説
08 /01 2015
ロスト・シンボル 上中下
THE LOST SYMBOL

ダン・ブラウン DAN BROWN
訳:越前敏弥
角川文庫
ロスト・シンボル (上) (角川文庫)
ダン・ブラウン
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-08-25)
売り上げランキング: 59,950

「驚くべきことに、まだ化学は精神が持つ真の可能性の片鱗すら知らない」

ロスト・シンボル 下』本文より

ロバート・ラングドンのシリーズ3作目『ロスト・シンボル』。
天使と悪魔でローマ、ダ・ヴィンチ・コードでパリ。
そして今度はワシントン。

案の定ワシントン観光にも最適(笑
ここまで深くワシントンと、科学と精神の深遠を覗かせてくれる「知」を堪能させてくれる本もないだろう。

それに加えて暗号につぐ暗号。
どんだけ凝るんだよというくらいに暗号解読の楽しさもこの本にはある。

またこれ映画化しないかなぁ。
今回描かれた人類の至宝の描き方にこれを映画で語りかけてくれたらいいラストになるだろうなぁ、と。

【小説】美女と野獣

本→海外小説
04 /05 2015
美女と野獣 La Belle et la Bete
ボーモン夫人 Jeanne-Marie Leprince de Beaumont
訳 鈴木豊
角川文庫
美女と野獣 (角川文庫)美女と野獣 (角川文庫)
(1992/05)
ボーモン夫人

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「正直に言って、あなたのそんなお心づかいがほんとうに嬉しいんですの。そう思うと、あたくしにはあなたが醜いようには見えませんわ」

美女と野獣』本文より


ボーモン夫人の子供のための教育本に収録されている物語のみ翻訳したもの。
美女と野獣もものすごく短い短編で、ここから映画であったりディズニーアニメが生まれたのかと思うと…
まさか原作と原作の本に収録された本がこれほどまでにキッツイものだとは。
それをアニメはよくもまぁマイルドに、でも原作通りに、さらには想像の膨らませ方がすごい。

子供のため、そしてそれを読んであげる大人の啓発本というか。
正しく生きなさい、というまっとうな童話がたくさん収録されている。
まっとうであり、もはや反論の余地がないほどに正しいからこそキツイ。
誰しもこんなに高潔に生きられないだろといわんばかりに。
それらができたら、もう、この世には争いも戦いも起こらず真に平和が訪れるやもしれん。

収録話:
・「美女と野獣
・「二人の王子さま」
・「怪物になった王子さま」
・「王妃になった娘と農婦になった娘」
・「不運つづきの娘」
・「告げ口の好きな少女」
・「虐げられた王子さま」
・「醜い王子と美しいお姫さま」
・「美しい娘と醜い娘」
・「幽霊屋敷」
・「どれいの島」
・「二人の王妃」
・「鼻の高すぎる王子さま」
・「三つの願い」
・「漁師と旅人」

【FT】ハリー・ポッターと賢者の石

本→海外小説
02 /08 2015
ハリー・ポッターと賢者の石 1-1 1-2 ハリー・ポッター 1~2
Harry Potter and the Philosopher's Stone

J.K. ローリング J.K.Rowling
訳:松岡佑子
静山社
ハリー・ポッターと賢者の石 1-1 (ハリー・ポッター文庫)ハリー・ポッターと賢者の石 1-1 (ハリー・ポッター文庫)
(2012/07/03)
J.K.ローリング

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「真実か」
ダンブルドアはため息をついた。
「それはとても恐ろしいものじゃ。だからこそ注意深く扱わなければなるまい。しかし、答えないほうがいいというはっきりした理由がないかぎり、答えてあげよう。答えられない理由があるときには許してほしい。もちろん、わしは嘘はつかん」

ハリー・ポッターと賢者の石』本文より


ハリー・ポッター1作目。
文庫1~2巻。

日本語で読むとまた違った感じに読めるし、映画とも比較して読むこともできる。
こんだけ伏線張ってたのか、とか。
どう考えてもハリーはスリザリンの人間だろうとか。
ロンとハーマイオニーと出会わなければまた違った成長をしていただろうし、ヴォルデモートと同じ道を歩んでいたかもしれない。

ハリーの勇気よりもロンやハーマイオニー、ネビルたちの勇気は素晴らしいものだし、そんな素晴らしいものに囲まれていたからこそハリーの勇気も見て取れる。
けれども自分勝手さも傍に存在している。
ああ、もう、ハリーってこんなに危うい存在だったのか…

さて、ゆっくりと読む機会を見つけて全巻を読破していきたい。

【小説】IT 4

本→海外小説
11 /16 2014
IT 4
スティーヴン・キング Stephen King
訳:小尾芙佐
文春文庫
IT〈4〉 (文春文庫)IT〈4〉 (文春文庫)
(1994/12)
スティーヴン キング

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わたしは永遠だ。わたしは世界を食うものだ。

IT 4』本文より


『IT』最終巻。
ITとの対決。
そして誰もが忘れていた儀式によってITを倒す。

おそろしく年齢高めの主人公たちの冒険。
冒険者たちはあくまで普通の生活を送っていて、同じ地域で暮らしていたというだけ。
その最終決戦がついに描かれ…、え、これで終わりかよ。

恐怖と愛と狂気と。
その奇妙な組み合わせの人間関係、ITとの関係。
それらが読み手側に新しい読書体験をさせてくれたのは確か。

もー、いつものことだけど、キングは最後の最後で放り投げるではないにせよ、ある種唐突ないろいろもやもやする。
読後感がよくないけど、やたら余韻があるよな…

【小説】IT 3

本→海外小説
11 /09 2014
IT 3
スティーヴン・キング Stephen King
訳:小尾芙佐
文春文庫
IT〈3〉 (文春文庫)IT〈3〉 (文春文庫)
(1994/12)
スティーヴン キング

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みなごろしにされないうちにやめろ
おまえたちの友、ペニーワイズの警告だ

IT 3』本文より

IT』3巻目。

ようやく。ようやく1958年の長い長い話が終わった。
幼少時代の気持ち悪くトラウマだらけの子供たちの思い出。
その思い出に潜む悪との戦い。

もう読んでいくのもつらい描写が続き、気持ち悪さも加速。
それと同時に彼と25年経ってから子供時代を思い出しながら戦うのかと思うとこれは期待大。

子供たちの冒険ではもはやない。
十分に年を取りすぎた大人たちの冒険のはじまりだ。

【小説】IT 2

本→海外小説
11 /02 2014
IT 2
スティーヴン・キング Stephen King
訳:小尾芙佐
文春文庫
IT〈2〉 (文春文庫)IT〈2〉 (文春文庫)
(1994/12)
スティーヴン キング

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「ITを殺そう。こんどこそほんとうにあいつを殺そう」

IT 2』本文より

IT』2巻目。

果たしているのかいない悪夢を殺すことはできるのか。
過去に何十人もの失踪者がいて、さもそれがなかったかのように語られる町。
昔ながらの昔住んでいて町で、27歳も年を取り、冒険とかそんなものには無縁だった大人たち。
その大人たちが昔起こった悪夢を知っていて、それを倒さなければ自分たちが蝕まれていくかもしれない。

後には引けなくなっていく事態の2巻目。
いいなぁ。ITは実際にいるぞという確信が徐々に出てくるのがまたいい感じ。

【小説】IT 1

本→海外小説
10 /26 2014
IT 1
スティーヴン・キング Stephen King
訳:小尾芙佐
文春文庫
IT〈1〉 (文春文庫)IT〈1〉 (文春文庫)
(1994/12)
スティーヴン キング

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私たちはいっしょに地の底深く下りていった。
私たちはいっしょにあの暗闇へ下りていった。
こんどあの暗闇へ下りていったら、ふたたび外へ出られるだろうか?
出られるとは思えない。

IT 1』本文より

IT』1冊目。

この悪夢っぷり。キングである。
最初の1冊目。
なにも進んでいないこともないけれども、延々と続くプロローグ。
子供時代の悪夢との遭遇。

そしてようやくはじまる27年後の物語。
果たして過去の悪夢と悪魔を倒すことができるのか。
何か特殊能力を持つわけでもない。
共通の幼い日の過去を持つ懐かしい友人を集め、さぁ対峙していくわけだけれども。

小さい時の悪夢というのが徐々に具現化していくような気持ち悪い描写がやっぱ素敵。
序章はこうでなきゃ。

【本】百億の星と千億の生命

本→海外小説
08 /03 2014
百億の星と千億の生命
Billions&BIllions

カール・セーガン Carl Sagan
訳:滋賀陽子松田良一
新潮文庫
百億の星と千億の生命 (新潮文庫)百億の星と千億の生命 (新潮文庫)
(2008/07/29)
カール セーガン

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「ビリオンズ&ビリオンズ」なんて言った覚えはない。いや、私は全宇宙には100ビリオン(1000億)個の銀河があり、10ビリオン兆個の星があると言っただけだ。

百億の星と千億の生命』本文より


『コンタクト』のカール・セーガンの雑誌に掲載されたエッセイ集。
まさに作者の死の直前までの科学とこの世界に関するエッセイが満載されていた。

数学や科学のまっすぐさ。
そのまっすぐさから見て世界はどう癒されるべきか。
利権や人類の発展や政治や宗教からじゃない。
もっと単純に地球や宇宙というもっと広い観点から人間はどう世界と共存していくべきか。
そのまっすぐすぎる視点がわかっちゃいるけど、その科学的証明・数値からその単純さを見せられると。
このカール・セーガンという天文学者はいかに世界と共存しようとしていたかを見てとれる気がする。

【小説】ザ・スタンド 5

本→海外小説
06 /22 2014
ザ・スタンド
The Stand

スティーヴン・キング Stephen King
訳:深町眞理子
文春文庫
ザ・スタンド 5 (文春文庫)ザ・スタンド 5 (文春文庫)
(2004/08/04)
スティーブン・キング

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「あんたはどう思う、人間は……いつかなにかを学ぶってことがあるんだろうか?」

ザ・スタンド 5』本文より


ザ・スタンド』第三部。これで完結。
あああああ。
楽しかった。
楽しかった。
最後の100Pくらいまでは。
いつまでたっても壮大すぎる物語のプロローグが続くかのような。
前巻のラストバトルに向うがごとくの物語はどこへやら。
絶望と希望とをもって幕を閉じられた。
その閉じ方が今まで楽しかったのに急に現実へ放り出されたようで、なんだかなー。
でもそれがキングらしいといえばキングらしいのもまた事実(笑

本当に人間は地球上に生存していていい存在なのか。
その問いに物語では人間をほぼ絶滅に追い込み、そこから生き残った人々の話をスタートした。
原因はほとんどの人が抗体をもたないインフルエンザ。
ふたつの勢力、それぞれ独自の政治。
生き延び方、生き方を様々な視点からほんと面白く見せてくれていた。

さて、物語から問われた人間が人間たる喜びと地球にもたらす危機と。
こんなありきたりそうなのに最後までじっくり数千ページにわたって楽しませてくれた。

【本】本当の戦争の話をしよう

本→海外小説
06 /07 2014
本当の戦争の話をしよう
The Things They Carried

ティム・オブライエン Tim O'Brien
訳:村上春樹
文春文庫
本当の戦争の話をしよう (文春文庫)本当の戦争の話をしよう (文春文庫)
(1998/02)
ティム・オブライエン

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本当の戦争の話というのは全然教訓的ではない。それは人間の徳性を良い方向に導かないし、高めもしない。かくあるべしという行動規範を示唆したりもしない。また人がそれまでやってきた行いをやめさせたりするようなこともない。

本当の戦争の話をしよう』本文より

西島大介の「ディエンビエンフー」の影響で読んでみた。

軍にとっては意味ある戦争でも、そこにいる人たちは泥まみれになって殺し殺される。
仲間たちとの一体感をもったり、死が近くにある中で日常生活とは比べ物にならないくらい「生」を実感したり。

よくある「戦争はダメ、ゼッタイ」みたいなことを言っているんじゃなく、そこであった体験を実にいろいろなことを収録している。
後方支援も最前線も。
仲間の死も。ベトナム戦争に魅入られて戦地の中で生きる女性の話しやお守りのストッキングの話から下品さ満載のものまで。

なんのための戦争か、なんのために戦うのか。
そんな崇高なもんじゃない。
作者はベトナム戦争を体験してきて、その一部がここに収録されてる。
そんなような兵士たちの話が詰まってた。

【ミステリ】二流小説家

本→海外小説
03 /01 2014
二流小説家
The Serialist

デイヴィッド・ゴードン David Gordon
訳:青木千鶴
ハヤカワ文庫
二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
(2013/01/25)
デイヴィッド・ゴードン

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一人称で語りかけ、親密な空気を築くことができれば、読者はどこまでもぼくについてきてくれる。

二流小説家 』本文より


デイヴィッド・ゴードンの処女作『二流小説家』。
とんでもない本だな。
ミステリ好きに、小説好きに突き付けた挑戦状かのようだ。

一人称でひたすら語りかけてきて、彼の売れなさっぷりと面白さの片鱗と、そしてファンの死刑囚と会い取引を持ちかけられてからの加速度っぷり。

一気に非現実の世界へ引き込まれ、彼の受けた死刑囚のための小説を書くために死刑囚のファンである女性たちに会い死刑囚のためのポルノ小説を書く仕事のいびつさが狂気の世界へと入らされる。

もうなんなんだこれは。
ある意味ではまさに小説家と読者が直接触れ合うかのような濃密な世界を堪能させられた。
世界に引き込まれるというよりも、読者が小説と対決させられたかのような感覚だった。
こりゃ色んな賞を総なめするわけだ。

【小説】ザ・スタンド 4

本→海外小説
12 /14 2013
ザ・スタンド
The Stand

スティーヴン・キング Stephen King
訳:深町眞理子
文春文庫
ザ・スタンド 4 (文春文庫)ザ・スタンド 4 (文春文庫)
(2004/07/10)
スティーヴン キング

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ただし、忘れないでおくれ……これが神様のあんたたちに望んでおいでの途なんだって

ザ・スタンド 4』本文より

今度の表紙はナディーンさんですか。
こうきたか。

ザ・スタンド』4巻目。
最終巻直前。
すべての最終決戦までの準備は整った。

「フリーゾーン」の集まりも大きくなり、政治もはじまった。
ひとつの共同体として、闇の男たちラスヴェガスに集った悪たちとの戦いも目前。
神の啓示も出た。
さぁいよいよだ、というところまでたどり着くのにほんと長かったなぁ。

神とはなんなのか。
ここまで人類の数が減り、それでもまだ戦って数を減らさなきゃいけないとは。

また神に選ばれたと言っても過言ではないいくつかの奇跡、もはや科学では説明できなさそうな何かも予兆や予言のように意味ありげに配置もされてきた。

この少しずつ積み重ねる様がどきどきするなぁ。
思えば毎回この巻までがプロローグのようだと思ってきたが、まさか4巻を読み終わってもそれを思うとは。
序曲が壮大すぎるわ(笑
ああ、でもそれはそれでスティーヴン・キングらしくていいかも。

【小説】ザ・スタンド 3

本→海外小説
12 /07 2013
ザ・スタンド
The Stand

スティーヴン・キング Stephen King
訳:深町眞理子
文春文庫
ザ・スタンド3 (文春文庫)ザ・スタンド3 (文春文庫)
(2004/06/11)
スティーヴン・キング、深町 眞理子 他

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われわれはたんなる生き残りの集団さ。いかなる政治体制も持たない有象無象にすぎない。ありとあらゆる年齢グループ、宗教グループ、階層グループ、人種グループからの寄せ集め、それがわれわれなんだ。

ザ・スタンド 3』本文より

第2部は続く。
生き残りたちの物語が本格的にはじまった。

表紙でぎょっとして、そして老女の物語がはじまり、彼女の周り、そして闇の男のまわりにも人が集まりはじまる。
人が集まった時に何が起きているのか、そして残った200万人も次々にフルーの後遺症で死んでいく。
「本当に」生き残るために何をするのか。
また異なる者たちが共存するために何が必要なのか。
勢力が固まってきたら今度は政治がはじまり、もちろん経済もはじまるだろう。
そして戦争もあるだろう。

……ってあれ。
本当はまだプロローグなんじゃ。
真髄はいままさにここから始まるんじゃないのか。

【小説】ザ・スタンド 2

本→海外小説
11 /30 2013
ザ・スタンド
The Stand

スティーヴン・キング Stephen King
訳:深町眞理子
文春文庫
ザ・スタンド  2 (文春文庫)ザ・スタンド 2 (文春文庫)
(2004/05/12)
スティーヴン・キング、深町 眞理子 他

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ここでは全員死亡
われわれは西へ移動しネブラスカへ向かう
このままわれわれのルートを追え

ザ・スタンド 2』本文より


ついに第2部に突入。
アメリカはほぼ全滅。
もしかしたら世界中もほぼ全滅かもしれない。

第1部でこれでもかと世界が死んでいく様を見せてくれたあとにはじまった生存者たちの物語。
至る所に死体が転がる世界。
その中でなぜ自分が生き残ったのかわからないまま彷徨うさまと、謎の共通の夢が物語を誘導していく。
どこへ?いや、もうさっぱりわからん。
少なくとも1000p近く読んでようやく序章が終わったであろう本当の物語が開幕したということくらいだろうか。

たまらなく面白いぞこれ。

【FT】HARRY POTTER and the Philosopher's Stone

本→海外小説
11 /11 2013
HARRY POTTER and the Philosopher's Stone
J.K.ROWLING
BLOOMSBURY
Harry Potter and the Philosopher's StoneHarry Potter and the Philosopher's Stone
(2001/10/08)
J. K. Rowling

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Harry - yer a wizard.

『HARRY POTTER and the Philosopher's Stone』本文より

『ハリー・ポッター』シリーズ1作目。

ふむ。
映画版と同じだけどまるで違う。
映画がいかに「映画」らしい映え方をしているか、対して原作の各キャラクターの掘り下げ方、あの世界観の描き方。
原作ってこうだったんだとあらためてびっくりした。

まだまだ彼らが少年たちであって、大人たちの思惑が入り乱れ、そして魔法の世界という未知の世界での冒険に実ににやにやできる小説だ。

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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