【ミステリ】リカーシブル

本→米澤穂信
12 /10 2016
リカーシブル
米澤穂信
新潮文庫
リカーシブル (新潮文庫)
米澤 穂信
新潮社 (2015-06-26)
売り上げランキング: 209,046

どれだけ眺めていても、夕暮れに沈む町はどこもかしこも一片の情けもなくよそよそしくて、とてもわたしを受け入れてなどくれそうもない。でももちろん、それは気のせい。にっこり愛想笑いしてお腹に力を入れていれば、どんなことでも、きっとなんとかなるに決まってる。
そう信じていないと、気持ちが保ちそうもない。

リカーシブル』本文より

米澤穂信の『リカーシブル』。
遠く離れた町に引っ越し、その町での謎解き。
誰もが町を守り、ひっそりとよそ者を遠ざける町での疎外感と違和感。
そして先生と共に謎を追うほどにひとりで孤立していく主人公。

この深い森に迷い込みながらも、自分の中で消化し納得し、矛盾を目にしながらもこの町でやっていこうという。
なんだろう。
成長ものといえば成長もの。
ミステリといえばミステリ。
ジャンルはもはやどうでもいい。
しっかり生きていく主人公のハルカの芯の強さがかわいくてすごく愛おしくなってくる本だった。

【ミステリ】ふたりの距離の概算

本→米澤穂信
07 /29 2012
ふたりの距離の概算
米澤穂信
角川文庫
ふたりの距離の概算 (角川文庫)ふたりの距離の概算 (角川文庫)
(2012/06/22)
米澤 穂信

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「違う。ひなちゃんが言ったのは、『千反田先輩は菩薩みたいに見えますよね』」

ふたりの距離の概算』本文より

アニメも放送され、好調の古典部シリーズ5冊目。

マラソン大会の最中の時間すべてを使って、解かれる謎。
なぜ古典部に入った女性とは辞めたのか。

ってかマラソンしろよ(笑

そういうツッコミは置いといて。

新入生が残したたった一言の捨て台詞からすべてははじまり、終始といっていいほどこの言葉について語られる。

緻密でいて、少しずつ出される状況から導き出される結末。
そうだよな。
このどうでもいいことをひたすら語り、予想外の真実が導き出されていく過程はいいもんだ。
日常ミステリといわれる所以だよな。

今回のある種の被害者ともいえる千反田さんは、困惑するところも実に素敵でした。
真実が導き出せずに、結局千反田さんの間違った解釈でことが進んだときにはどうなっていたんだろうと想像するのも面白い。
両人共に「ぽかーん」としそうだ(笑

【ミステリ】追想五断章

本→米澤穂信
07 /21 2012
追想五断章
米澤穂信
集英社文庫
追想五断章 (集英社文庫)追想五断章 (集英社文庫)
(2012/04/20)
米澤 穂信

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だから、目先の変わった可南子の依頼に飛びついた。失われた断章を求める冒険は、ほんのひとときだけでも、芳光から現実を遠ざけた。
そのはずだったのに、集められた断章が示唆するものは、不幸ながらも彩りに満ちた人生。望むと望まないとにかかわらず、主人公に押し上げられた男の物語。その劇に芳光はいまや背を向けることしかできない。

追想五断章』本文より

この儚さ!

人生で誰の主役にもなれない者の、あがきを見た気がする。
自分には何もなく、何も語るものもなく、ただ埋もれていくだけの人生の苦しさが文学的に吐き出されながら、
その傍ではひとりの男が残した五断章が語る人生の苦しさとドラマがあった。

この対比のなんと儚いことか。
なにこの文学的な自分かわいそうオーラ。なんか太宰の随筆でも読んでいるかのようだ。

それでいてドラマチックな人生を送った男の残した謎に惹かれ、自分の儚さを少しでも満たそうとすることのなんと悲しきことか。

ミステリ×文学のような、実にこの本の主人公のひと時の輝きをみるかのようで、そして五断章を探しているときの儚い描写を思わせる風景を表す文章。
なんか、すごくマッチするんだよ。

浸った。
もうこの本を読んでいる間は、この本の持つ魅力全てに浸れた。

米澤さんがミステリじゃなくて、文学書いてもついていくわ。

【ミステリ】犬はどこだ

本→米澤穂信
05 /23 2012
犬はどこだ
The Case-Book of "KOYA SEARCH & RESCUE" 1 The Citadel of the Weak

米澤穂信
創元推理文庫
犬はどこだ (創元推理文庫)犬はどこだ (創元推理文庫)
(2008/02)
米澤 穂信

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今更言っても遅い。遅いが、つい、呟いてしまう。
「犬探しだったら、よかったのに」

犬はどこだ』本文より

米澤穂信の『犬はどこだ』。
ハードボイルドを匂わせる内容だけど、いつもの情報量の多い日常ミステリ…かと思いきやとんでもないもの読まされた。

確かに途中までは日常ミステリだった。
主人公が銀行の行員をやめ、探偵業をはじめ、仕方なく人探しをするのはなんとも日常探偵的。
そして彼の捜査方法や、彼の部下の視点も絡み始め、
果てはネットを用いて、またこれがすごくネットからの捜査をわかっているじゃないかとニヤニヤし。
すごく多彩な方法での捜査が非常に魅力的だし、ああ、これがよねぽだよ米澤穂信の日常ミステリだよと思っていた中盤戦まで。

だが、だが最後で米澤穂信の新たな一面を見た。
なにとは言えないが、これはすごい。
余韻が読み終わってからもまだ残ってる。

こんな余韻にゾクッとできる本になろうとは。

【ミステリ】折れた竜骨

本→米澤穂信
05 /08 2012
折れた竜骨
米澤穂信
ミステリ・フロンティア
折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)
(2010/11/27)
米澤 穂信

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わたしは、彼は永遠にどこかへと消えてしまったのではと思っていた。閉ざされた部屋からいなくなった彼は、もやは塵と砕けたのではとさえ疑った。

折れた竜骨』本文より

米澤穂信の『折れた竜骨』。

米澤穂信のファンタジー風味。
いや、中世ヨーロッパでの話だからそうではなく、というわけでもないな。

魔法と呪術飛び交う世界の中で起こる事件。
暗殺者は誰なのか。
そして密室事件をいかにして解決するのか。

剣と魔法の中で冴え渡る真実の言葉である「推理」への持って生き方がたまらん。
この異世界風味と実際の歴史との狭間の世界の見事なアレンジもいいんだけれども、その中で異質とも言える「推理」をラストの中心に据えたことで光る構成だ。

いい!
米澤さんのこういう話もいいじゃないか。
日常ミステリだけじゃなくて、異世界ミステリでもいいじゃない。

【ミステリ】さよなら妖精

本→米澤穂信
12 /03 2011
さよなら妖精
米澤穂信
創元推理文庫
さよなら妖精 (創元推理文庫)さよなら妖精 (創元推理文庫)
(2006/06/10)
米澤 穂信

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「Da.心が離れただけなら、時間がなんとかしたかもしれません。でも、ユーゴスラヴィヤの五つの民族のどれにとっても大事なもの三つが、なくなっていきました。これが全部なくなったら、ユーゴスラヴィヤが一つでいるのは難しい。そう、思っていました。もりやさん、この三つはわかりますか?」

さよなら妖精』本文より

米澤穂信の『さよなら妖精』。

ユーゴスラヴィヤからきた少女と過ごす2か月間。
受験を控えた高校生の少年少女たちは彼女と過ごすことで様々なものを得る。

で、いったいどこがミステリなんだと半分くらいまで思っていた。
日本の風習・文化の観光のよう。
でもそれこそがミステリの本質なんじゃないか。
日本に住んでいながらにして、日本のなにを読み手は知っているのか。
知っているようで知らないさまざまなこと。
言葉の語源、風習の意味。

実に様々な発見があった。

そしてユーゴスラヴィヤのことも。
ちょうど90年代の最初のユーゴのことがたくさん本作の中に出てくる。
あの当時のニュースでもいっぱいやってた。
でもTVから見るその紛争の映像はまるで虚構のようだったのを記憶してる。

でも実際にそれは起こっていたことだった。
今でも世界中のいろんなところでいろんなことが起きている。

なにを知って、その知識をどう活かすか。
あらためて考えさせられた。


それにしてもいい意味でほろにがい青春小説だったなぁ。
こういうの大好きだ。

【ミステリ】秋期限定栗きんとん事件 下

本→米澤穂信
09 /20 2011
秋期限定栗きんとん事件
米澤穂信
表紙イラスト:片山若子
創元推理文庫
秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)
(2009/03/05)
米澤 穂信

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「バイバイ小鳩ちゃん。あたしもそうだけど、きみも最低だった」

秋期限定栗きんとん事件 下』本文より

秋期限定栗きんとん事件の下巻。

連続放火事件解決。

今までのふたりの先入観があるからこその裏切り方。
どう推理するのか。どうブラックになるのか。
それを期待するからこそ裏切られる。

やられた。
今まで繰り返し言っていた小市民になろうとする姿勢の本質を見た気がする。
実に彼ららしい。
だからこそ度肝を抜かれるってわけか。

なんて不器用なふたりだろう。
これでまた別れたふたりはある意味元に戻ったと言えなくもないわけだし、次の冬も面白いことになりそうだ。

【ミステリ】秋期限定栗きんとん事件 上

本→米澤穂信
09 /19 2011
秋期限定栗きんとん事件
米澤穂信
表紙イラスト:片山若子
創元推理文庫
秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)
(2009/02)
米澤 穂信

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「甘い衣の上に衣をまとって、何枚も重ね着していって。そうしていくうちにね、栗そのものも、いつかキャンディーみたいに甘くなってしまう。本当はそんなに甘くなかったはずなのに、甘いのは衣だけだったはずなのに。上辺が本性にすり替わる。手段はいつか目的になる。……わたし、マロングラッセって大好き。だって、ほら、なんだかかわいいでしょ?」

秋期限定栗きんとん事件 上』本文より

小市民シリーズ第3弾。

夏で決定的な別れがあったはずなのになぜに続編とか思ってたら、ふたりとも別々の恋人できてるし。
だけど彼らはやっぱり彼ら。
小市民のままでいられるはずがない。

だが、今のところ小市民の皮をかぶっているが、時折見せる本性が怖いところ。
特に小佐内さんのブラックさはすでに垣間見えているが、一体なにを企んでいるのか。
ゾクッとするな。

今回は放火事件を追う新聞部の記者。今のところは小佐内さんの彼氏だけれども、小市民に限りなく近かったのに少しずつ離れていく。
それがまるで彼女が小市民でなくなるきっかけであるかのようで…

下巻が楽しみだ。

【ミステリ】儚い羊たちの祝宴

本→米澤穂信
08 /01 2011
儚い羊たちの祝宴
米澤穂信
新潮文庫
儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)
(2011/06/26)
米澤 穂信

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この手記は誰にも見られてはなりません。もし見られたら、わたしはとても生きてはいられないでしょう

儚い羊たちの祝宴』収録『身内に不幸がありまして』本文より

短編集。
いや、連作短編か。
いずれにせよ、どの短編にも背筋を寒くさせられた。

大正か昭和初期を彷彿とさせる上流階級の話であり、本が非常に重要なテーマとなってくる内容。
そう。
そしてどの話もラストで驚愕させられる。
それは直球にではない。ぞわぞわと「その後」もしくは「その出来事そのもの」を想像させられるかのよう。
気持ち悪い。非常に人として気持ちの悪いと感じさせられる「悪」がそこにあるかのようだった。

様々なミステリを含む本の知識があるとさらにこの不気味な「悪」の数々についてより恐ろしい想像が可能となる。
最後の本のタイトルになっている「儚い羊たちの祝宴」の内容たるや。
冷や汗ものだ。
あの「肉」なんて、それまでに伏線が張られているからこそよりぎょっとさせられた。

おぞましい(褒め言葉

【ミステリ】インシテミル

本→米澤穂信
04 /15 2011
インシテミル
米澤穂信
文春文庫
インシテミル (文春文庫)インシテミル (文春文庫)
(2010/06/10)
米澤 穂信

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「ただ、パニックになった気持ちは、わからなくもないんですよ」
少しの間を置いて。
「なにしろ、クローズドサークルは全滅アリ、ですからね」

インシテミル』本文より

米澤穂信の『インシテミル』。
今まで古典部シリーズや小市民シリーズだけしか読んでなかったから、これほどの大仰な館でのミステリを描いてくるとは…

時給11万円ちょい。7日間。
人を殺せば金額は倍に。
探偵をして正解すれば3倍に。
助手になっても金額アップ。
そんな外に出ることが許されない館での12人のサバイバル。

まるで「そして誰もいなくなった」を彷彿とするようなクローズドサークルもの。
だけれども最初から事件も何も起こらずに全員生きて7日を過ぎきるというのも可能。

だけれどもそうは問屋が卸さないw
一人目の犠牲者が出てからの怒涛のようなミステリとサバイバルものは見ていて痛快、そして仰天。

なによりもミステリ読みにとってニヤニヤしっぱなしの展開でありながら、ミステリを読まない人にはミステリへの扉を開くための1冊ともなるであろう構成は素直にすごいなぁと思った。
これ読んで実際読みたくなった本もあるし。

また館ものでクローズドサークルものでありながらも、決して本格ミステリの枠にこだわらずに、自由にミステリを書いているかのような内容にも脱帽です。
すごく楽しんで読めた!

【ミステリ】クドリャフカの順番

本→米澤穂信
03 /25 2011
クドリャフカの順番 Welcome to KANYA FESTA!
米澤穂信
角川文庫
クドリャフカの順番 (角川文庫)クドリャフカの順番 (角川文庫)
(2008/05/24)
米澤 穂信

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とうとう千反田は、その言葉を口にする。
「わたし、気になります」
ああ。遂に。遂にそれを言ったか。

クドリャフカの順番』本文より

古典部シリーズ3作目『クドリャフカの順番』。
『氷菓』『愚者のエンドロール』と神山祭という文化祭に関する事件を乗り越えたすえに文化祭本番。
やってきましたとばかりにボリュームも2倍。
さらには今度はクリスティのミステリを髣髴とさせる事件をからめながら事件たちは進行していく。

またそれが、ねぇ。
いいんです。
祭の盛り上がりっぷりの背景で蠢く些細な事件。
気になってしまったが最後。ラストまで一気に引っ張られた。

なぜ犯人がそんなささやかなメッセージと大胆な犯行をもってわざわざ文化祭に問題をしかけたのか。
それが面白い。

古典部シリーズの面白さってのはミステリとしての謎解きと、さらにその背後にあるところまで解き明かすってところが面白いのだと思う。


それにしても千反田さんかわいい。
それは譲れない(笑

【ミステリ】愚者のエンドロール

本→米澤穂信
03 /22 2011
愚者のエンドロール Why didn't she ask EBA?
米澤穂信
角川文庫
愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫)
(2002/07)
米澤 穂信

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「いえ、そんなことは頼まない。私はただ、試写会を開いただけ。そして、見てくれた君らに訊くだけよ。……あの事件の犯人は、誰だと思う?」

愚者のエンドロール』本文より

古典部シリーズ2作目『愚者のエンドロール』。

途中までしか作られなかった映画の結末を探す話。
この巻で古典部のメンバーそれぞれの役割が描かれたんじゃないかと思った。
ホータローは決して一人じゃあ探偵役をするわけでもないし、省エネ生活を送るわけでもない。
古典部メンバーがいるからこそ、探偵役をいつの間にかやってしまっているわけなんだろう。

そんなホータローが今回解き明かすのは映画の結末。
いや、もっと深いところにあるところとも言えるだろうか。

ただの「映画の結末」なのに、なんでここまで話を広げられるんだろうかとにやにやしながら読んでた。

ミステリー映画を用いているだけに古典ミステリだったりのからめ方もかなり好み。
それがまたどう結末と結びついていくのかっていうところなんてもろ好み。


クリスティに絡めた英題のつけ方といい、作中で使ったミステリ史といい、ミステリ読みとしては非常に楽しいものです。
しかしやっぱり前作同様副題が巧い。

【ミステリ】氷菓

本→米澤穂信
03 /21 2011
氷菓 You can't escape
米澤穂信
角川文庫
氷菓 (角川スニーカー文庫)氷菓 (角川スニーカー文庫)
(2001/10)
米澤 穂信

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「ええ、そうです。……わたし、気になります」

氷菓』本文より

こんなふうに千反田さんに言われたら解決してまうわっ(笑

古典部シリーズ1冊目『氷菓』。
読み終わってからの副題も見事です。
You can't escape。
たしかに、な…

短編と見せかけていつの間にやら長編に組み込まれてる。

廃部寸前の古典部を復活させ、文化祭に出す部誌のバックナンバーを調べていたら、いつの間にやら本題に入ってた。

またその本題が…
この「氷菓」と関係しているわけなんだけれども。


ああもうまさかこんな展開とは。
日常の謎なのは日常の謎なんだけど、そうとも言ってられないくらいのスケールを味わった気がする。
なにより後味が、な。
なんともいやな後味だ。
だがそれがいい。

【ミステリ】夏期限定トロピカルパフェ事件

本→米澤穂信
01 /31 2011
夏期限定トロピカルパフェ事件
米澤穂信
表紙イラスト:片山若子
創元推理文庫
夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)
(2006/04/11)
米澤 穂信

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「小鳩くんは男の子、わたし女の子。女の子の情報は女の子」

夏期限定トロピカルパフェ事件』本文より

小佐内さんがかわいい(また言うか
こういう引用した言い回しがかわいくて仕方ない。

小市民を目指す小鳩くんと小佐内さんのふたりの事件。

夏のスイーツを食べまくる片割れで起きるいくつかの事件。

あぁ。そんな日常の謎的な。
そう。前作を彷彿とさせるもので小佐内さんかわいいなーという感想がほとんどを占めるものを予想して読んだわけだが。

ぶったまげた。
これが1冊にまとまったのにはこういうことか。
まさに踊らされた。
前作を読んで、続編と食って掛かったのが間違いだったのか、見事なまでの謎解きにどきどきしすぎてしまった。

うまい。
これが本格日常ミステリ最前線ってやつか。
もう日常ミステリと呼ぶべきものなのかどうかもわからん(笑

最後の最後まで楽しく読めた1冊になった。
ああ。もうこれは次の秋期も読まなくては。

【ミステリ】春期限定いちごタルト事件

本→米澤穂信
12 /04 2010
春期限定いちごタルト事件
米澤穂信
表紙イラスト:片山若子
創元推理文庫
春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
(2004/12/18)
米澤 穂信

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「やめられないんなら……、わたしを言い訳に使って、いいよ」

春期限定いちごタルト事件』本文より

小佐内さんがかわいくてかわいくて仕方ない。
もうなに?
小動物的なかわいさ。
そしてあのギャップもたまらない。

春期限定いちごタルト事件』。
米澤穂信による日常の謎ミステリ。

また主人公がかなり変わってて。
できるだけ誰にも何にも関わらない小市民を目指す小嶋くんと小佐内さん。
けど色々日常の謎に捕まって関わっちゃう。
ってか小市民ってなんだよとツッコミをいれながら読んでるといつの間にか、彼らの小市民志向と目指しても不思議と小市民になりきれない感じがなんとも愛おしい。

で、本編の謎も陰惨な事件が起こるわけでもなく、解いても解かなくてもいいけど解かなかったら気になってしこりの残りそうな事件ばかり。
ああもう。
和むなぁ。

ラノベ読みからミステリに入るならこっから入れと言わんばかりの名作なんじゃなかろうか。
90年代からの大仰なミステリの数々から21世紀はこういう日常の謎系ミステリがぐんとか増えたよなぁとふと思った。

【ミステリ】遠まわりする雛

本→米澤穂信
11 /23 2010
遠まわりする雛
米澤穂信
角川文庫
遠まわりする雛 (角川文庫)遠まわりする雛 (角川文庫)
(2010/07/24)
米澤 穂信

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やらなくてもいいことなら、やらない。
やらなければいけないことなら手短に。

遠まわりする雛』本文より

古典部シリーズ4冊目。
でもこのシリーズははじめて。

省エネ主義のホータローはなんだかんだ言いつつ事件に首を突っ込むあたり、省エネじゃないよな(笑
首を突っ込む理由に別の要素もありそうでワクワク
なんやかんや言いつつ千反田さんに好意もってるんじゃ(笑

キャラ立ちが非常に楽しい日常の謎ミステリでした。
延々とあーだこーだと議論するわけでもなく、ぽっと解決してしまうわけでもなく。
なんか和気藹々と少しずつ年月を重ねながらお互いを知り合っていく青春小説でもあり、謎解きも意外なほどに爽やかだったりもやもやしたりと読んでいて飽きないものでした。


特に神社の納屋に閉じ込められて救出したもらうために試行錯誤する「あきましておめでとう」がすんごい好き。
むず痒いw

【ミステリ】ボトルネック

本→米澤穂信
02 /22 2010
ボトルネック
米澤穂信
新潮文庫
ボトルネック (新潮文庫)ボトルネック (新潮文庫)
(2009/09/29)
米澤 穂信

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「でも、ワープアウトと言えばいいのかスライドオフと言えばいいのか、それが発生したのがここだってのが全然納得できない。改めて言うまでもないけど、ここってただの広場同然なんだよね。橋の向こうだってそうだよ。むしろ、ただのサイクリングコース。で、キミに訊きたいのはこうだ。
キミ、何かこの場所に特別な心あたりでもあるの?」

ボトルネック』本文より

嫌いだ。
主人公が、ヒロインが、キーとなる女の子も。

これでもかというほどにネガティブな方向に特化した人物表現。
なんとか明るく振舞おうとするヒロインも。

なんだ、ここまでの痛々しいやつらは。

ドキッとするほどこの描写は痛い。
しかもなんだか、このネガティブさが懐かしく親近感すら沸いてくる。

なんかさ…
青春なんだよな…
そんな時代もあったよな、ってな感じに。


そんな生々しい登場人物たちにパラレルワールドが交差する。

もし自分が生まれなかったら。
自分さえいなければ。

自分の知っている世界と少し違っている。
自分が生まれず、生まれなかった姉が生まれていた世界へとスライドオフしてしまう。

見も知らぬ姉と共に、世界の違いを探し元の世界へ戻ろうとするが…
石川県を舞台に死んでしまった友人の真相が浮かび上がってくる。


ふ…ふふふふ…
もう最初から最後までネガティブ全開の語り口調と世界観がたまらんです。

鬱々暗澹とした未来なく過去に囚われる雰囲気が好きな人には是非に。

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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