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【ミステリ】恩讐の鎮魂曲

本→中山七里
08 /19 2018
恩讐の鎮魂曲
中山七里
講談社文庫
恩讐の鎮魂曲 (講談社文庫)
中山 七里
講談社 (2018-04-13)
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「お前の贖罪の仕方と俺の贖罪の仕方が違っていただけの話だ。そう深刻に考えるな」

恩讐の鎮魂曲』本文より


御子柴礼二シリーズ3作目『恩讐の鎮魂曲』。

あの、あの御子柴がっ。
まさかの人間的な成長というか良心が芽生えたというか。

少年院の恩師の弁護によって過去と向き合うところからまさか、あの勝利を勝ち取るためにはどんなことでもする御子柴の変化が見られようとは。

過去と絡めるための罪と向き合う物語というのもぐっとくるけど、今回の判決を迎えるまでの登場人物の無駄のなさ。
ここまで彼らを物語でかきまわし使いまくるか。
さすがだな。これがストーリーテラーというやつか。

【小説】嗤う淑女

本→中山七里
06 /30 2018
嗤う淑女
中山七里
実業之日本社文庫
嗤う淑女 (実業之日本社文庫)
中山 七里
実業之日本社 (2017-12-05)
売り上げランキング: 110,676


あの男は見誤ったのだ。自分には美貌と知恵と行動力と、加えて自由がある。

嗤う淑女』本文より

中山七里の『嗤う淑女』。

おそろしい女だ。
冒頭の少女の頃の殺人なんてまだまだ序の口だった。
すべての事件の繋がりから見えてくる本性のぞわっとする怖さ。
そして、なんだろう。
中山七里がこの強烈な印象を残す女をそのまま放っておくわけがないという期待感。
どこかしらのシリーズで再登場しそうな不気味さに期待したくなる。

【ミステリ】ハーメルンの誘拐魔

本→中山七里
04 /22 2018
ハーメルンの誘拐魔
中山七里
角川文庫
ハーメルンの誘拐魔 刑事犬養隼人 (角川文庫)
中山 七里
KADOKAWA (2017-11-25)
売り上げランキング: 52,191

「確かに女の勘というのは大したものだな」
「えっ」
「しかし俺だって、男の嘘を見破るのはなかなかのものだぞ」

ハーメルンの誘拐魔』本文より

刑事犬養隼人シリーズ『ハーメルンの誘拐魔』。

これは70億の身代金とれますわ、っていう説得力。
犯人側の用意した誰を誘拐し、誰に身代金を要求するのかという相当クレバーなやり方。
対抗するは男の嘘を見破る犬養と、今回のパートナーは女の勘を武器に動く刑事。
このコンビのやりとりもまた面白いものだった。
キャラクターが活きていて、核となる圧倒的なまでに劇場型の誘拐事件。
思わず一気に読んだ。

【ミステリ】どこかでベートーヴェン

本→中山七里
12 /02 2017
どこかでベートーヴェン
中山七里
宝島社文庫
どこかでベートーヴェン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
中山 七里
宝島社 (2017-05-09)
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凡人がどれだけ努力し、どれだけの涙と汗を流そうとも、決して頂点に届かない最後の一歩。生まれながらにして神様から与えられ、本人だけが無自覚な宝物--岬はそれを持っているのだ。

どこかでベートーヴェン』本文より

シリーズ4作目にしてエピソード0『どこかでベートーヴェン』。

岬洋介最初の事件にして高校時代のエピソード。
高校という青春ものであり、このシリーズが持つ音楽もの、そして過去編という構造。
こんだけでどれだけエンターテイメントだよと思っていたら、ちゃんとミステリだし、友情ものだし、そしてなにより天才の孤独と孤高さをこんだけ密度濃く描きよった。
全部入りの最高のエンターテイメント小説じゃないか。

【ミステリ】テミスの剣

本→中山七里
07 /29 2017
テミスの剣
中山七里
文春文庫
テミスの剣 (文春文庫)
中山 七里
文藝春秋 (2017-03-10)
売り上げランキング: 28,887

刑事さんを前に言うことではないのでしょうが、殺されていい人間なんて一人もいないというのは子供の戯言でしかない。世の中には屠られるべき人間、おめおめと生きていてはいけない人間が確実に存在する。

テミスの剣』本文より

中山七里の『テミスの剣』。
司法だから御子柴ものかなと思いきや、そうではなかったがおそろしく面白い小説だった。

冤罪をテーマにしながら、様々な視点から冤罪というテーマを描いていく。
ミステリとしても最高に面白い謎と真実を明かしてくれるし、その真実のさらにもっと先へ先へと明かしていく手法に仰天。
びっくりだ。
また冤罪を描くための被害者、家族、刑事に検事に裁判官に真犯人。
さまざまな視点からその正義と贖罪の描き方を深くまで描いてきた。
その文章に飲み込まれ、それゆえか気付いたら読み終わってた。
濃い!
あまりに濃い読書体験だった。


ん。
今にしても思ったが今回の渡瀬刑事が影響を受けたあの裁判官、静さんって静おばあちゃんかよ!
ああ確かに裁判官で引退してって「静おばあちゃんにおまかせ」でやってて、思えば冤罪についてえらく語っていたような。
冤罪事件が裁判官にも暗い影を落とすとか言ってたのは今回の事件か!

【ミステリ】ヒポクラテスの誓い

本→中山七里
10 /01 2016
ヒポクラテスの誓い
中山七里
祥伝社文庫
ヒポクラテスの誓い (祥伝社文庫)
中山七里
祥伝社 (2016-06-15)
売り上げランキング: 7,206

「あなた、死体はお好き?」
真琴はそう訊かれて返事に窮した。

ヒポクラテスの誓い』本文より

中山七里の『ヒポクラテスの誓い』。
法医学教室もの。
冒頭からしてそうとう魅力的。
一行目でこれは面白い小説だと思わせてくるのが中山七里の魅力だなと思う。

死体から浮かび上がってくる真実といえばよくある小説やドラマだけれども、小説ならではの情感と慣れからくるプロへと一歩一歩進む主人公の成長も見て取れる。
というかさぁこれからだ。ここからこの子の本当の法医学教室での日々がはじまるというところで終わりよって。
続きがやたら気になる本だった。

【ミステリ】静おばあちゃんにおまかせ

本→中山七里
09 /11 2016
静おばあちゃんにおまかせ
中山七里
文春文庫
静おばあちゃんにおまかせ (文春文庫)
中山 七里
文藝春秋 (2014-11-07)
売り上げランキング: 210,893

冤罪だけは作っちゃ駄目なのよ。無実の人の人生はもちろん、真相究明の芽も摘んでしまう。それだけじゃないわ。冤罪はね、事件に関わった捜査員や検察官、そして裁判官にも暗い影を落とす。

静おばあちゃんにおまかせ』本文より

ゆるふわ系ミステリに見えるタイトル『静おばあちゃんにおまかせ』。
だがしかし、作者は中山七里だ。
検事モノをがっつりやってきただけに、元検事、いまは退官のおばあちゃんを安楽椅子探偵に、両親を飲酒運転の車に殺された孫と平凡な警察官のコンビで送るガチミステリ。
そして社会派の問題もこれでもかとやってのける。
なにが正義なのか、検事は何を信念にもって行動しているのか。
悪と戦い、法律の中で葛藤する生き様がすげぇよおばあちゃん。

【ミステリ】追憶の夜想曲

本→中山七里
07 /24 2016
追憶の夜想曲
中山七里
講談社文庫
追憶の夜想曲 (講談社文庫)
中山 七里
講談社 (2016-03-15)
売り上げランキング: 5,643

「弁護人、わたしも同感です。いったい、あなたは何を証明しようとしているのですか」

追憶の夜想曲』本文より

御子柴弁護士第2弾「追憶の夜想曲」。
おいおい。まさか2作目が出ようとは。
今回もガンガンいくぜ。
この男は何をたくらみ、何を証明し、何を得ようとするのか。
殺人を犯した弁護士だからこその人の心理の奥の奥まで抉りだす。

今回の自供すらもしている女の弁護から次々に滲みでてくる悪意の塊。
くっそ面白かった。
圧倒的不利からの逆転といえば聞こえはいいが、暴き出すは最悪ともいえるげっそりする読後感。
だがここまで二転三転と意外すぎる結末まで至る伏線もまたたまらなく楽しすぎる。

【ミステリ】ヒートアップ

本→中山七里
10 /31 2015
ヒートアップ
中山七里
幻冬舎文庫
ヒートアップ (幻冬舎文庫)
中山 七里
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「最初に呉越同舟と言ったのは誰だ。今更、勝手なことを言うな」
「あんたは…馬鹿だ」
「前から知っている」

ヒートアップ』本文より

ヒート…麻薬…。
あれ、どっかで聞いたような。って『魔女は甦る』のあれか。
なにげに作品間でリンクもしてあるヒートたる闘争心を増し、恐怖感がまったくなくなるという兵器ともいうべき薬をめぐって麻薬取締官とヤクザのふたりの相棒もの。

なげそんな相対するふたりが手を組むのか。
その過程も面白いのだけれども、互いの違う価値観を持ちながらハイスピードで進む捜査と弾丸飛び交うダイ・ハードばりの銃撃戦。
それに加えてミステリ成分すらも加えてくるんだからなんなんだよ、これ。
面白いとしか言いようがないじゃないか。

相棒ものに、火薬分に、逃走劇に、対決と謎解きと。
満腹。

【ミステリ】スタート!

本→中山七里
08 /02 2015
スタート!
中山七里
光文社文庫
スタート! (光文社文庫)
中山 七里
光文社 (2015-02-10)
売り上げランキング: 44,432

小森がにやにや笑いながら差し出したのは一編の脚本だった。
タイトルは『災厄の季節』。
「とりあえず、それが決定稿だ。読んでおいてくれ」

スタート!』本文より

中山七里の『スタート!』。
『災厄の季節』の映画を撮影していく話かよ。
思わず爆笑。
あんなんどうやったって日本ではやれないことばかりじゃないか。
と思ったら作中で案の定。
そして映画の、特にこけた映画のコメンタリーなどで製作と監督の軋轢とか、製作と俳優の所属事務所とのお金のやりとりのいろいろとか。
あらゆる災厄が降りかかっていく。
それを乗り越えていく様が爽快だった。
映画好きにはたまらん。
そして『カエル男』を読んでいたらなお楽しめるときたもんだ。

ミステリ部分?
あったけど、もはやそれよりも映画撮影のどたばたが楽しすぎた。

【ミステリ】切り裂きジャックの告白

本→中山七里
06 /06 2015
切り裂きジャックの告白
中山七里
角川文庫
切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人 (角川文庫)
中山 七里
KADOKAWA/角川書店 (2014-12-25)
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「あなたはどんな理由で、脳が死んだからといってその人自身が死んだと言えるんですか。どんな段階で人の死を宣告できるんですか。それを決めるのは人間じゃありませんよ」

切り裂きジャックの告白』本文より


切り裂きジャックの告白』。
なぜ切り裂きジャックを名乗る人間は時間がかかり危険も増大する臓器を抜き取る殺人を繰り返すのか。そしてわざわざ犯行声明すら出すのか。
実にミステリの題材として面白いのに、その結論を社会派ともいる誰にも答えが出せない現代の問題をテーマにした問題に着地させるとは。
作者は天才か。

ドビュッシーからはじまり、こんな作家に成長するとは予想だにしなかったなぁ。

【ミステリ】魔女は甦る

本→中山七里
05 /24 2015
魔女は甦る
中山七里
幻冬舎文庫
魔女は甦る (幻冬舎文庫)魔女は甦る (幻冬舎文庫)
(2013/08/01)
中山 七里

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ある日、何の予告もなくかけがえのない人を殺された人の気持ち、分かる?

魔女は甦る』本文より

親からおすすめの本を送ってきてもらうが、最近中山七里ばっかりだなぁと思ったら今度もだったか。

魔女は甦る』。
まさに魔女。
薬を調合する。そしてその研究者。
それが八つ裂きにされて殺される。
そんなショッキング極まりない殺人事件はミステリとして展開し、予想もしない方向へと転換しよった。
アクションか、それともホラーか。
生きるか、それとも殺されるのか。
なにをどうやったとしても決してハッピーエンドではなかったし、まだまだ展開しうる最悪の展開すら予想できる。
なんだこの面白い展開を次々と。
ミステリの範疇を余裕で越えてくるのを次々に出してくる作家だな…

【ミステリ】贖罪の奏鳴曲

本→中山七里
04 /25 2015
贖罪の奏鳴曲
中山七里
講談社文庫
贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)
(2013/11/15)
中山 七里

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何故、殺したかって?
どうして、そんなことを訊くのだろう。殺したかったからに決まっているじゃないか。殺したくないのに殺すなんて非論理的だ。

贖罪の奏鳴曲』本文より


中山七里の『贖罪の奏鳴曲』。
殺人者であり弁護士。
重大事件で少年院に入り名前を変え、そして弁護士に。
それだけならダークヒーロー。
とんでもないところは、この弁護士のエピソード1であり、彼が弁護士になる少年院での物語。いわばエピソード0すら扱ってる。
そのエピソードありきでこの弁護士であり、このシリーズの探偵役を務める。

悪人の被告ですら弁護し、刑をできるだけ減刑させる。
その手法だけですら見事すぎる。
だがそれを越えて真実を見破っているというところがまた爽快感がすごい。
なによりも根っからの常軌を逸した悪人であるというところがあるのがまたゾクゾクする。

読み始めた当初はまた憲法39条かよ、またピアノかよとか思ったけれども、そんなのは調味料でしかなかった。

すごく魅力的な探偵の登場だ。

【ミステリ】連続殺人鬼カエル男

本→中山七里
03 /08 2015
連続殺人鬼カエル男
中山七里
宝島社文庫
連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)
(2011/02/04)
中山 七里

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「正常か異常か。白か黒か。不安な人間ほど区別したがるものでしてね。ところが、そんな二分法に陥ると思考停止になってしまう。思考停止の果てに行き着くものは、判断力皆無の操り人形です」

連続殺人鬼カエル男』本文より

中山七里連続殺人鬼カエル男』。
さよならドビュッシーとともに最終選考とともに残った作品。
同じ作者で2作残るて…

残虐な殺しをするカエル男。
逮捕してもまず刑法39条が立ちはだかるのは間違いない。
そんな犯人を追う。

あまりに強烈。
そうとうすごい描写の殺人シーンもそうだけれども、そして39条という法律の壁、いつもの中山作品の音楽シーン。
すべてが混ぜ合わさったらすんごい作品になってた。

そしてなによりもミステリとして二転三転していく真実とぞっとするラスト。
コミカルなタイトルにそぐわない印象を与えてくれた。

ラストの1ピースが作品としての完璧さを加えてくれているのは確か。
このラストのためにこそすべての材料をそろえてきたのだとすら思えてくる。

ドビュッシーはそこそこに楽しませてもらったけれども、これはもっともっとすごかった。

【ミステリ】さよならドビュッシー

本→中山七里
03 /20 2011
さよならドビュッシー Good-bye Debussy
中山七里
宝島社文庫
さよならドビュッシー (宝島社文庫)さよならドビュッシー (宝島社文庫)
(2011/01/12)
中山 七里

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「他人には訪れないような不幸に自分が見舞われる。どうして、選りによって自分なんだろう? 考えてみるけど分からない。君だってそうだろう? でもそのまま悲しんだりやられっぱなしじゃいられない。とにかく抵抗しなきゃ自分を護れない。それに大抵の災難は運命みたいなものだからね。その運命みたいなものだからね。その運命とやらに一矢報いるなんてちょっと痛快だろ」

さよならドビュッシー』本文より

このミス大賞の『さよならドビュッシー』読了。

ラストに鳥肌たった。
途中まではスポ根だけで十分、ミステリ部分いらなくね?とか思ってたのに。


ピアノを勉強していたお金持ちのお嬢様が家の火災で大けがを負い、家族が数人亡くなるも莫大な遺産が入ってきて、ピアノは弾けなくなっていた。そこにピアノを蘇らせようという先生と共に必死の努力で天才的な才能をどんどん開花させていくという。
なんともスポ根満載。
いじめもあり。
それを乗り越えという、どこがミステリなんだというものなんだけれども。

ああそれなのに。
ところどころで出てきた主人公を事故に見せかけて殺そうとする者がいて、それが肝なんだけど…
すごかった。

ただただすごかった。


音楽描写も練習内容の目に浮かぶような情景。まるでマンガ的な強烈な流れが印象的すぎる。
それでいて、あの驚くようなミステリに仕上がってるわけだろ…
この小説は面白い。
思わず一気に読み終わってしまった。

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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