本や映画・ドラマ・アニメの感想などを書いてる日記blog。
「あたしたちは二人で一人よ」
『暗黒館の殺人2』本文より
と、美魚が繰り返した。その目許には、うっすらと涙が滲んでいる。
「だから中也さま、あたしたちと結婚しましょ」
と、美鳥が詰め寄った。その目許にも、うっすらと涙が滲んでいる。
「そしてずっと一緒に……ね、中也さま」
「いつまでも一緒に……ね、中也さま」
「やっと辿り着いたねえ」
『黒猫館の殺人 新装改訂版』本文より
鹿谷が感慨深げに云った。
「ふうん。これが黒猫館か」
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「僕らが日ごろ揺るぎのないものと信じている"現実"が、実のところどれほど脆く危ういバランスの上に成立しているのかってこと。そして、そのことをまるで理解していない人間たちが、どれだけたくさん僕らのまわりにはいるか。特に今のこの日本という国においては、そいつが顕著なんだなあ」
『時計館の殺人 下』本文より
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「刻々と移ろうあやふやな"内面"を映す"表情"ほど、忌わしいものはない。ねえ、あなたもそう思うでしょう」
『寄面館の殺人』本文より
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自分がよく知っている人物が書いた本となれば、おのずと話は違ってくる。しかも、著者からじきじきに送られてきた謹呈本なのだ読まないわけにはいくまい。それに、そう、その本の中身があの「迷路館殺人事件」だというからには……。
『迷路館の殺人 新装改訂版』本文より
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(ああ、何ということだろう)
『水車館の殺人<新装改訂版>』本文より
……にしても、いったいどうして?
暗澹たる気持ちで私は、嵐が吹きやまぬ窓の外の暗闇を睨みつける。
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長く急な石段を昇りきると、とたんに視界が開けた。荒れ放題に荒れた芝生を前庭にして、白い壁と青い屋根の平たい建物が、彼らを待ちかまえるように建っていた。
『十角館の殺人(新装改訂版)』本文より
真正面に見える、青く塗られた両開きの扉が玄関だろう。数段の短い階段が、地面からその戸口へと延びている。
「これが十角館か」