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【ミステリ】暗黒館の殺人4

本→館シリーズ
03 /20 2016
暗黒館の殺人
綾辻行人
講談社文庫
暗黒館の殺人(四) (講談社文庫)
綾辻 行人
講談社
売り上げランキング: 82,865

「鹿谷さん」
「何かな」
「僕は-すべてを見てきたんですよ」

暗黒館の殺人4』本文より


暗黒館の殺人』第四部。
これにて閉幕。

館はこうあるべき、と。
この巨大な分厚さを誇った本のラストはもうまさにこうあるべき。
謎は解かれると同時に謎が解放されたような読後感。
すべての館はここに収束していくような館シリーズのひとつのクライマックスともいうべき内容だったかと。

【ミステリ】暗黒館の殺人3

本→館シリーズ
03 /13 2016
暗黒館の殺人
綾辻行人
講談社文庫
暗黒館の殺人(三) (講談社文庫)
綾辻 行人
講談社
売り上げランキング: 78,070

「彼女は--ダリアは魔女だった。彼女自身がそう認めていたという話さ。まあ、何をもって『魔女』と呼ぶかを厳密に論じようとすれば、そこにもいろいろと問題は出てくるんだろうがね」

暗黒館の殺人3』本文より


暗黒館の殺人』第3部。
殺人も続き、怪異はより深く深く物事を混乱させていく。

すべての登場人物の闇の深さと、異常な事態が逆にしっくりくるこの館。
徐々に暗黒館の謎も解かれだし、と。
あとはまるまるが解決編の第4部だな。

【ミステリ】暗黒館の殺人2

本→館シリーズ
03 /06 2016
暗黒館の殺人
綾辻行人
講談社文庫
暗黒館の殺人(二) (講談社文庫)
綾辻 行人
講談社
売り上げランキング: 31,224

「あたしたちは二人で一人よ」
と、美魚が繰り返した。その目許には、うっすらと涙が滲んでいる。
「だから中也さま、あたしたちと結婚しましょ」
と、美鳥が詰め寄った。その目許にも、うっすらと涙が滲んでいる。
「そしてずっと一緒に……ね、中也さま」
「いつまでも一緒に……ね、中也さま」

暗黒館の殺人2』本文より

暗黒館の殺人』2冊目。

闇の中から嫌なものがはい出てくるような第2部。
幻想的悪夢とでもいうのか。
双子が出てきてからの人間であって人間でないものが徘徊しているかのようなこの館。
誰もが何かを抱えているが、いわゆる薄っぺらいものではない。この世ならざる何かを抱えて生きている感じを醸し出しているのがぞくっとする。
いわゆるホラーであり、それを探っていくミステリであり。
綾辻行人が暗黒館までに発表してきたあらゆる小説をすべて詰め込んだような印象が特にこの2部には強い気がする。

【ミステリ】暗黒館の殺人1

本→館シリーズ
02 /28 2016
暗黒館の殺人
綾辻行人
講談社文庫
暗黒館の殺人(一) (講談社文庫)
綾辻 行人
講談社
売り上げランキング: 34,152

湖に浮かぶ島がある。城壁のような石積みの塀が巡らされている。その向こうに建つ、あれが--。
あれが暗黒館か。

暗黒館の殺人1』本文より

館シリーズ7作目『暗黒館の殺人』。ノベルス上下巻を4分冊した1冊目。
文庫で再読。

冒頭の暗黒館にたどり着くところのゾクゾク感。
いよいよこの館の全貌と闇に触れていくのだというわくわく感。
冒頭からじわりじわりと楽しませてくれる。
ミステリもだけれども、幻想感、倒錯感がじわりとあふれ出してるな…

【ミステリ】黒猫館の殺人 新装改訂版

本→館シリーズ
06 /13 2015
黒猫館の殺人 新装改訂版
綾辻行人
講談社文庫
黒猫館の殺人〈新装改訂版〉 (講談社文庫)
綾辻 行人
講談社 (2014-01-15)
売り上げランキング: 45,972

「やっと辿り着いたねえ」
鹿谷が感慨深げに云った。
「ふうん。これが黒猫館か」

黒猫館の殺人 新装改訂版』本文より

館シリーズ新装改訂版の最終章『黒猫館の殺人
はじめて読んだときにはものすごく肩すかしじゃないか、と思ったものだ。
あれから15年。
読み返すとこんなに面白かったっけ、と。
アリス(有栖川ではない)との関係性が特に面白い。
不思議の国も鑑の国も読んで、なおかつ作者についても最初に読んだ当時よりもはるかに知識がある状態。
それだからルイス・キャロルの狂気とも思える作風があってこその黒猫館と見て読むと読むほどに面白い仕掛けだらけだよなと思う。

ついにこの新装改訂版も終わりか。
これをきっかけに館シリーズを読み返せてほんとよかった。

【ミステリ】時計館の殺人 新装改訂版

本→館シリーズ
03 /30 2013
時計館の殺人 新装改訂版 上下
綾辻行人
講談社文庫
時計館の殺人<新装改訂版>(上) (講談社文庫)時計館の殺人<新装改訂版>(上) (講談社文庫)
(2012/06/15)
綾辻 行人

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「僕らが日ごろ揺るぎのないものと信じている"現実"が、実のところどれほど脆く危ういバランスの上に成立しているのかってこと。そして、そのことをまるで理解していない人間たちが、どれだけたくさん僕らのまわりにはいるか。特に今のこの日本という国においては、そいつが顕著なんだなあ」

時計館の殺人 下』本文より


館シリーズ5作目『時計館の殺人』新装改訂版。
2分冊にしなくてもいいじゃないと思うも、この昼と夜の時計館の対比にぞくっとくる表紙。
そして読みやすい厚さってのはよかったかも。

5冊目時計館。
「YAKATA」のコミック版から館シリーズに入った身としては一番印象に残っている話でもある。
この時計館の中では狂った由季弥くんがもうひとつの悪夢の主人公なんだよなぁとしみじみ。


そう、この「狂う」とか「現実」を疑うようなおっそろしく歪んだ舞台であり、殺人事件たちがこの時計館だと思う。
もちろんトリックもそうとう凝ってるというか、時計館に相応しいものであるし、なにより、この時計館という館!
この時計館の存在自体が実に狂っていて、あまりに素敵すぎる。

殺人事件の動機にどんどん焦点が合うにしたがって、傍から時計館の真実が迫ってくるような…
まさに悪夢的な事件だ。

10年ぶりに読んだけど、これがやっぱり一番好きかもしれん。

【ミステリ】寄面館の殺人

本→館シリーズ
05 /29 2012
寄面館の殺人
綾辻行人
講談社ノベルス
奇面館の殺人 (講談社ノベルス)奇面館の殺人 (講談社ノベルス)
(2012/01/06)
綾辻 行人

商品詳細を見る

「刻々と移ろうあやふやな"内面"を映す"表情"ほど、忌わしいものはない。ねえ、あなたもそう思うでしょう」

寄面館の殺人』本文より

館シリーズ9作目『寄面館の殺人』。

今回寄面館に招かれた面々は主人の趣により仮面をつけることを義務付けられ、殺人が起こると同時に仮面に鍵がかけられるという奇妙さ。
殺人事件自体はよくあるもの、だけれどもセオリーどおりというわけでもなく、すべてこの仮面にまつわることに帰結していくストーリー展開に唸った。
伏線の回収ってこんだけ面白いものなのか。

丁寧に伏線が張られ、事件が起き、館の謎、主人の謎、殺人の謎。
それらが伏線をもとに解決されていく。

正当なミステリの教科書みたいだ。
仮面という奇抜に見えて、それを奇抜なだけに終わらすことなく物語の中心に据えた上でこの「寄面館」を成り立たせた。

うん、もう、巧妙なミステリだったとしか言いようがない。

【ミステリ】人形館の殺人 新装改訂版

本→館シリーズ
09 /10 2011
人形館の殺人 新装改訂版
綾辻行人
講談社文庫
人形館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫 あ 52-21)人形館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫 あ 52-21)
(2010/08/12)
綾辻 行人

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心の奥深くで見え隠れする、遠い……遠すぎる風景。それは決して、誰にも話すものではない。

人形館の殺人 新装改訂版』本文より

館シリーズ4作目『人形館の殺人』。

ああ…
これはなんていい悪夢だろう。

今までの館シリーズという「シリーズ」を逆手にとりながらも、館の魅せる悪夢のすばらしいことといったら。

気味悪い。
不気味。
そして歪んでいく現実の軋みがたまらない。

それに加えて過去と現実が絡み合うミステリの形と悪夢の結びつきっぷりがやっぱりこの作品の魅力だよなー。

【ミステリ】迷路館の殺人 新装改訂版

本→館シリーズ
09 /04 2011
迷路館の殺人 新装改訂版
綾辻行人
講談社文庫
迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫)迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫)
(2009/11/13)
綾辻 行人

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自分がよく知っている人物が書いた本となれば、おのずと話は違ってくる。しかも、著者からじきじきに送られてきた謹呈本なのだ読まないわけにはいくまい。それに、そう、その本の中身があの「迷路館殺人事件」だというからには……。

迷路館の殺人 新装改訂版』本文より


館シリーズ3作目『迷路館の殺人』新装改訂版。
迷路館を読むのは十数年ぶり。

館シリーズというからにはかの建築家が建てた家で起こる奇妙な殺人。

迷路館という名前そのものの迷宮のような家。
アリアドネの糸の伝説になぞらえてあり、もちろん奥にはミノタウロスがいるかのよう。

そして今回の殺人事件は見立て殺人。
遺産を巡って、その条件を満たすためにミステリ作家たちが書いた小説の通りに作家たちが殺されていく。

なによりもやはりこの本の特色は作中作。
この迷路館の事件そのものの話が本になり、それを登場人物が読むというところからスタートするというのだ。

もうその作中作という設定にしてやられ、すばらしく奇妙な館と殺人事件に魅了される。
単なる謎解きだけじゃない。
シリーズ化した館の真髄を存分に味わえるような内容。
もうものすごく満足。

なんとなくは覚えていたけれども、それでも随所のミステリ好きたちを唸らせる技巧の数々にはニヤニヤせざるを得ないです。

【ミステリ】水車館の殺人

本→館シリーズ
03 /26 2011
水車館の殺人<新装改訂版>
綾辻行人
講談社文庫
水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)
(2008/04/15)
綾辻 行人

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(ああ、何ということだろう)
……にしても、いったいどうして?
暗澹たる気持ちで私は、嵐が吹きやまぬ窓の外の暗闇を睨みつける。

水車館の殺人<新装改訂版>』本文より

館シリーズ2作目『水車館の殺人』。
10数年ぶりに読んでみたら内容がさっぱり覚えてない。
由里絵ちゃんしか覚えてなかった。
あとは仮面の男とか絵画とか、なによりも暗澹としている館の雰囲気くらいか。

この館のもつ不気味な雰囲気こそがなによりも面白い。
過去の起こった凄惨な事件。
いわくつきの建築家の建てた館。
外を寄せ付けない住人。
深窓の令嬢と彼の父親である仮面の男。

もう…
雰囲気が。
それだけですら満足。

そんだけじゃないのがこのシリーズ。
ミステリとしてのフェアな読者への挑戦といい、これ以降の館シリーズの方向性を見せたかのようなラストシーン。
ゾクッときた。
あのラストがあまりに衝撃的すぎる。
いやな悪夢として夢の中にすら出てきそうだからなぁ。

【ミステリ】十角館の殺人(新装改訂版)

本→館シリーズ
11 /01 2008
十角館の殺人(新装改訂版)
綾辻行人
講談社文庫
十角館の殺人 新装改訂版 (講談社文庫 あ 52-14)十角館の殺人 新装改訂版 (講談社文庫 あ 52-14)
(2007/10)
綾辻 行人

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長く急な石段を昇りきると、とたんに視界が開けた。荒れ放題に荒れた芝生を前庭にして、白い壁と青い屋根の平たい建物が、彼らを待ちかまえるように建っていた。
真正面に見える、青く塗られた両開きの扉が玄関だろう。数段の短い階段が、地面からその戸口へと延びている。
「これが十角館か」

十角館の殺人(新装改訂版)』本文より

十角館の描写にゾクゾクきた。
10年ぶりに読み返してもまだまだ新鮮。
それ以上に実に不気味な世界と再び出会った気分を味わった。

綾辻行人の館シリーズ1作目『十角館の殺人』の新装改訂版。
解説は旧文庫版にも収録された鮎川哲也の解説と戸川安宣の解説。
表紙は故辰巳四郎から喜国雅彦にバトンタッチ。
なんともいい雰囲気の十角館です。


十角形の館である『十角館』。
孤島の中にひっそりと存在するその館にミステリ研の学生達がやってきた。
しかし、その館を建てた建築家は別の館で焼死するなど曰く付きの館だった。

十角館でひとりまたひとりとゲームのように殺されていく。
被害者の傍には「被害者1」「被害者2」というプレートが置かれ…

もう最高としか言いようがない。
これがミステリだ。


被害者たちはそれぞれが著名なミステリ作家の名前を名乗りあい、そして事件後も「探偵たち」は推理を続ける。

しかしその裏をかくかのような犯人のあまりに見事な犯行。

それに加えてまるでその犯行を含めて、見透かしていたような故人の建築家・中村青司。
あまりの館の凝り様。
それはまるで犯人を駆り立てるかのような雰囲気と作りをしているときた。

犯人と建築家と被害者と事件のバックグラウンド。

それらの事件の要素が実に綺麗に融合した生み出した物語はただただ凄かったとしか言いようがないです。
思えばこれを読んでから新本格というジャンルに手を出しはじめたんだよなぁ。


新装改訂版だけあって、87年の作品ながらものすごく読みやすかった。
時代を感じさせないというか、随分としっくりくる文章になってた。
あとがきでもいろいろ手を加えたと書いてあったからかな。
これはもう水車館も改訂版で買えということか(笑

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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