【小説】銀翼のイカロス 半沢直樹4

本→小説
06 /23 2018
銀翼のイカロス 半沢直樹4
池井戸潤
文春文庫
銀翼のイカロス (文春文庫)
池井戸 潤
文藝春秋 (2017-09-05)
売り上げランキング: 2,015

「ひとつ油断すれば、私も同じ道を選んでいたかもしれない。だがいま、心の中の霧が晴れた気がする。私はまだ、まっとうなバンカーだろうか」

銀翼のイカロス 半沢直樹4』本文より

池井戸潤銀翼のイカロス』。
半沢シリーズ4作目。

今回また強大な的と戦うな。
債務放棄させるための政治との戦い。
いろんな癒着から、後ろから刺してくるバンカーから、全方位的だらけ。
そこに半沢が立ち向かう「NO」のための戦いがまたいい。
どうやっても公権力にどう立ち向かい、債務がかさむ大企業を助け出すのか。
いつもの逆転劇と、そのプロセスがやはり魅せてくるな。

【小説】Aではない君と

本→小説
06 /09 2018
Aではない君と
薬丸岳
講談社文庫
Aではない君と (講談社文庫)
薬丸 岳
講談社 (2017-07-14)
売り上げランキング: 6,216

「心を殺すのは許されるのにどうしてからだを殺しちゃいけないの?」

Aではない君と』本文より

薬丸岳の『Aではない君と』。

友罪といい、この『Aではない君と』といい、罪と罰を刑法と社会との両方で丁寧に描いた作品だと思う。
どれだけ罪を償おうと、どんな理由があろうともついて回る罪を犯罪を犯した子とその親でひたすらに向き合い続けなきゃいけない。誰が許しても過去がいつまでもついて回る、もしくはいつバレるともしれないという強迫的な心情が辛すぎる…。
そりゃそうなんだろうけれども。

【小説】去年の冬、きみと別れ

本→小説
05 /20 2018
去年の冬、きみと別れ
中村文則
幻冬舎文庫
去年の冬、きみと別れ (幻冬舎文庫)
中村 文則
幻冬舎 (2016-04-12)
売り上げランキング: 6,980

M・Mへ
そしてJ・Iに捧ぐ。

去年の冬、きみと別れ』本文より

ああ、こういうことか。
特殊な形態の文章で構成された本だなと思いながら読み進めていたら最後でのなぜこの形態をとらなければなかなかったというのかというのが実に面白いミステリというかなんというか。

形態ありきの小説だな。
これをまた映画でやろうというのがよく思ったよなぁ。

【小説】恐怖箱 切裂百物語

本→小説
05 /19 2018
恐怖箱 切裂百物語
編者 加藤一
共著 高田公太ねこや堂神沼三平太
竹書房文庫
恐怖箱 切裂百物語 (竹書房文庫)
加藤 一 高田 公太 ねこや 堂 神沼 三平太
竹書房
売り上げランキング: 529,535

何度掃除しても髪の毛は詰まり、何度掃除しても慣れない。
大学を卒業して実家に戻るまで、あと一年もこれが続くのか。

恐怖箱 切裂百物語』本文より


実話をもとにしたという百物語。
怖い話、不思議な話、ちょっと笑える話。
この世とあの世の間で起こる非日常感をさっと味わえた。

【小説】虚栄 上下

本→小説
05 /12 2018
虚栄 上下
久坂部羊
角川文庫
虚栄 上 (角川文庫)
虚栄 上 (角川文庫)
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久坂部 羊
KADOKAWA (2017-09-23)
売り上げランキング: 270,740

今は医学が進んでいるから、何でもわかるはずだと考えている人が多いようですが、決してそんなことはない。実際はわからないことだらけです。

虚栄 下』本文より

久坂部羊の『虚栄』。

凶悪化するがんに対抗するための国家プロジェクトを巡る医師の派閥同士の確執。
メディアとの戦い。そして医師と人との対峙。
ありふれた病となったがんを巡る人と人の関係のねじれの気持ち悪さがこれでもかと描かれる。

治療って、医療ってそもそもなんだっけ、とあらためて問いかけてこられたような、そんな気がする。
もうここまで利権の絡みを見せつけられると、ね。
そしてそれがやたらリアリティのある、そりゃあもちろん小説ならではの実にいいキャラクターたちが動いているのだけれども、どこかにいそうな人たちばかりだからこその泥臭さがあるんよな…

【小説】ゴールデンブラッド

本→小説
05 /06 2018
ゴールデンブラッド
内藤了
幻冬舎文庫
ゴールデン・ブラッド GOLDEN BLOOD (幻冬舎文庫)
内藤 了
幻冬舎 (2017-10-06)
売り上げランキング: 41,222

助けられるのに、救えるのに、死なせてきたんだ。この気持ちは、誰にもわかってもらえない

ゴールデンブラッド』本文より

内藤了の『ゴールデンブラッド』。

まさに血液を巡る冒険だな。

凄惨な事件の中に潜む謎と、謎の中にある万能血液の存在の明と暗の描き方が巧妙で、謎と直結させるための急転直下な展開が楽しいものだった。

【小説】ケモノの城

本→小説
12 /17 2017
ケモノの城
誉田哲也
双葉文庫
ケモノの城 (双葉文庫)
誉田 哲也
双葉社 (2017-05-11)
売り上げランキング: 9,597

「見ればいい。ここであったことを、知ればいい。そうしたら、あなただっておいそれとは口外できなくなる。ぜひ、そうしてください」

ケモノの城』本文より

最初の100ページを読んで確信した。
今から死ぬほど嫌な文章を大量に読まさせられる。
北九州の連続監禁殺人事件がベースじゃないか…

最初に知ったのは新堂冬樹の『殺し合う家族』だった。

ああ、あの時と同じ嫌な思いをしながら読むのか。
だけれどもわくわく感が非常にあった。
同じ事件がベースでもアプローチは違う。

この本での女の供述。
そして警察での捜査。
加えて幸せなカップルと彼女側の父親の物語。

3つの視点がすべて繋がった瞬間。あの圧倒のされ方はすさまじいものだった。
こうきたか!と。
この事件にこうやって幕を引くのか!と。
素晴らしい余韻というか、残虐極まりない事件の中での希望と真実が見えた瞬間のカタルシスが半端ない。

すげぇ!

【小説】アキラとあきら

本→小説
12 /16 2017
アキラとあきら
池井戸潤
徳間文庫
アキラとあきら (徳間文庫)
池井戸潤
徳間書店 (2017-05-17)
売り上げランキング: 1,031

金は人のために貸せ。金のために貸したとき、バンカーはタダの金貸しになる。

アキラとあきら』本文より

池井戸潤のバンカーの人生を描いた長大な作品だといえるんじゃないだろうか。

幼少期から学生時代、就職し、その先まで。
仲間となり敵にもなり、また別のところで人生が交錯する二人のアキラとあきら
バンカーとしての生きざま。それをぐいぐいと見せられた。
財務という数字と人との間に生きる者たちの生きざまが実に激しいものだった。

【小説】友罪

本→小説
12 /09 2017
友罪
薬丸岳
集英社文庫
友罪 (集英社文庫)
友罪 (集英社文庫)
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薬丸 岳
集英社 (2015-11-20)
売り上げランキング: 6,721

「自分が生きている間には、たとえどんなことをしようと、とても償いきれない罪」
「それは……」
「人を殺したんだ」

友罪』本文より

薬丸岳の『友罪』。

少年犯罪者のその後の生活を描いた話。
名を変え、罪とどう向き合って生きるのかを軸に過去と向き合う人たちを配し、罪とその償いとはなんぞやを考えさせてくれる。
どうあっても変えられない過去。
過去を知られれば周りを不幸にしていく人物たち。
一生かけて償うという言葉はすごく簡素だけれども、その一生片時も幸せも嬉しさもなく、ただ他人から嫌われ罵られ続けるだけの人生とはなんなのか。
そりゃあ被害者遺族からすればというのを盛り込みつつも、いわゆる少年Aが青年になり、それを周りの人物の視点からだけで描いていくという。
なにかもやっとする。捉えきれない彼の深層心理がやたら現実味を増してくるし、ひたすらに悩み続け死にたいと思い続けながらもそれが何も意味をなさないことも知っていて、あまりに大きな事件ゆえの償い方を誰一人として教えられないという孤独感が圧倒的なペンの力をもって伝えてくる。

重いテーマな上に読後の余韻も半端ないな…

【小説】ナオミとカナコ

本→小説
12 /03 2017
ナオミとカナコ
奥田英朗
幻冬舎文庫
ナオミとカナコ (幻冬舎文庫)
奥田 英朗
幻冬舎 (2017-04-11)
売り上げランキング: 61,630

これはサスペンス・ドラマも真っ青のストーリーだぞ。あんた、わかってるのか!

ナオミとカナコ』本文より

奥田英朗の『ナオミとカナコ』。
もう最高!
最後の1ページまでまったく気が抜けなかった。

序盤の陰鬱なふたりの30歳をすぎた主人公描写。
さぁDV夫をどう殺害してくれようかとキャッキャと女子会のノリで割といい感じの殺害計画を立てわくわくした気持ちで実行の日を迎える。
ああもうこの後だよ!
殺害が終わってからの最高の展開。
殺害後と前で何が変わったのか。
晴れ晴れとした本来手に入るはずだった自由と殺人をしたことでのそれを隠しとおさなきゃいけない使命感。
追う者たちと追われる者たち、それぞれに勢力が分厚くなっていく不思議。
これがいわゆるミステリの追う者探偵役たち、そして追いつめられる側が主人公側。
だが、この主人公たちがタダでは終わらない。明らかに素人だし、いわゆる犯人側としては用意周到型とか天才型とかじゃない。
普通の女性ふたりがいかにこの状況を切り抜けていくかという疾走感と、なぜかなんとか逃げ切ってほしいという応援したくなる人物像。
これが最高に楽しい読書体験へとつながっていった感があるな。

【小説】代償

本→小説
11 /25 2017
代償
伊岡瞬
角川文庫
代償 (角川文庫)
代償 (角川文庫)
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伊岡 瞬
KADOKAWA/角川書店 (2016-05-25)
売り上げランキング: 5,758

こいつをどうにかしなければ、と思った。
この浅沼達也という男を、自分の存在そのものと引き換えにしてでも、どうにかしなければならない。

代償』本文より

伊岡瞬代償』。

すごいものを読んだ。
少年時代と弁護士時代。
このかけ離れた時代をつなぐのはクズ、悪、ゲス。そんな言葉では物足りない。
少年にして邪悪そのもの。あらゆる者の幸せを奪い取る者。浅沼達也。
もうね、この造形がすごい。
あらゆる小説の中でももっとも非道な少年じゃないだろうか。小学生にしてこれ。
虫唾が走るどころじゃない。誰かが殺さなければならないような存在。
もう彼の悪行のすべて、しかも自分じゃ手を下さないときたもんだ。
一切の罪を背負わないような所業。まさに天才。

その彼が捕まり、衝撃的な1部の終わりを経てなおなぜ彼は主人公に弁護など頼めたのか。
そして主人公と再び運命が交差し、一気にクライマックスへと向かうさまが緊迫感とついにあの悪との対決が見られるのかともうほんとわくわくしてページをめくる手がとまらなかった。

これはすごい小説だぞ…

【小説】ジャッジメント

本→小説
11 /11 2017
ジャッジメント
佐藤青南
祥伝社文庫
ジャッジメント (祥伝社文庫)
佐藤 青南
祥伝社 (2016-06-15)
売り上げランキング: 90,663

何年経っても、どんな仕事に就いても、たぶん僕らには、あの夏以上に輝く夏は訪れない。

ジャッジメント』本文より

あああ。まじか。
そういうことか。

冒頭の野球部員たちのタバコを吸う場面。
そこから栄光の甲子園への道と、現代の殺人容疑をかけられたプロ野球選手と甲子園時代に彼と戦った弁護士の二つのパートで構成され。
それがもうね。
最後の最後の最後でこういうことだったのか、と。
それぞれのパートの出来ももちろんいいのだが、それがあまりに効果的すぎて賞賛の拍手を送りたくなる。

【小説】神の子 上下

本→小説
11 /04 2017
神の子 上下
薬丸岳
光文社文庫
神の子(上) (光文社文庫)
薬丸 岳
光文社 (2016-12-08)
売り上げランキング: 20,619

おれの中で人間の区別は一通りしかない。
頭がいい人間か、頭が悪い人間か、--だけだ。

神の子 上』本文より

薬丸岳の『神の子』。
この分厚い上下巻の本。
だがしかしあまりに面白かった。一気に読んだ。

戸籍がなく、人の戸籍を奪い犯罪組織にいた少年。
だが彼は天才だった。

これだけでノワール色たっぷりの世界征服でもたくらむのかと思いきや。
この天才少年を軸に様々な人間が彼にかかわり人生を変えていく。
いや、世界すら変わっていったというべきか。

あまりに予想外な方向へと突き進む話にくぎ付けになった。
すごい小説!

【小説】とっぴんぱらりの風太郎 上下

本→小説
10 /28 2017
とっぴんぱらりの風太郎 上下
万城目学
文春文庫
とっぴんぱらりの風太郎 上 (文春文庫)
万城目 学
文藝春秋 (2016-09-02)
売り上げランキング: 18,376

ふざけてなんかおらぬ。ひょうたんに身体を宿している以上、ひょうたんと名乗るほかない。もともと名前もないゆえ、もっとも近いところを取って因心居士と称している。だから、儂のことは因心居士と呼ぶがよい。

とっぴんぱらりの風太郎 上』本文より

万城目学とっぴんぱらりの風太郎』。
変な話。
ひょうたんと出会い、忍者として人間として激動の歴史へと巻き込まれていく。
このひょうたんの突飛さはもとより、少しずつニート忍者で何者にもなれなかった主人公が望んでいないのに、どんどん歴史のターニングポイントへと出会わされてく。
もうね。おそろしくファンタジーなのに、とっても時代小説。
なんじゃこりゃと思うような内容なのに、気が付けば分厚いこの本を読了してた。
終わってみればとても楽しい時間を過ごせてた。
くっそ面白いじゃないか。

【小説】ロスジェネの逆襲

本→小説
10 /21 2017
ロスジェネの逆襲 半沢直樹3
池井戸潤
文春文庫
ロスジェネの逆襲 (文春文庫)
池井戸 潤
文藝春秋 (2015-09-02)
売り上げランキング: 1,197

組織の論理、大いに結構じゃないか。プレッシャーのない仕事なんかない。仕事に限らず、なんでもそうだ。嵐もあれば日照りもある。それを乗り越える力があってこそ、仕事は成立する。

ロスジェネの逆襲』本文より

半沢直樹シリーズ3作目『ロスジェネの逆襲』。
これが半沢直樹か!倍返しか!

とても熱量のある仕事小説で、企業同士の戦いの熱さ、腹の読み合い、お互いの潰し合い。
それらの緊張感と、まさに倍返しの場面の圧倒的な読み応え。
これは映像で見てみたいな。

【小説】祈りの幕が下りる時

本→小説
10 /14 2017
祈りの幕が下りる時
東野圭吾
講談社文庫
祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)
東野 圭吾
講談社 (2016-09-15)
売り上げランキング: 898

「そのお心遣いには感謝しますが、心配無用です。母に、そういう人がいてよかったと思っています。むしろ、何とかしてその方に会ってみたいぐらいです。会って、母のことを聞きたいです」

祈りの幕が下りる時』本文より

東野圭吾の『祈りの幕が下りる時』。

これシリーズ物の1作だったのか。
それも知らずに読み始め、この詳しい身元も不明、過去も語らなかった女性の一生を少しずつ息子が探し出していく。
その丁寧な筆致が人の一生のミステリアスさ、そして彼女の想いの大きさを知り、それがまたいい余韻を残してくれる。
あらすじから言えばすごく地味なのになぁ。

【小説】約束の海

本→小説
10 /08 2017
約束の海
山崎豊子
新潮文庫
約束の海 (新潮文庫)
約束の海 (新潮文庫)
posted with amazlet at 17.09.15
山崎 豊子
新潮社 (2016-07-28)
売り上げランキング: 19,062

「確かに自信のないままに続けてよい仕事ではないからな、但し、責任を取るなら、それが何に対する責任か、自分自身ではっきりさせろ、明確でない責任感は単なる感傷かも知れん、それに、辞めたからと云って、罪の意識が軽くなるわけではないはずだ--」

約束の海』本文より

山崎豊子の『約束の海』。
完結してないじゃないか。ってか遺作かいな…
山崎豊子作品がラストの作品から読むことになるとは。

戦争と平和と。
それを自衛隊の潜水艦が起こした一般の船との衝突事故からはじめ、過去の戦争が絡み、力とは兵力とは。そのうえでの平和とは。
様々に問いかけてき始めたところだっただけに、ああ、これは最後まで読んでいたら何を見せてくれてたんだろうと思わせられる。
この収録されている第1部だけでも壮大な物語であるのに、第2部第3部の予定のあらすじだけでも相当に深い物語になりそう。
そしてそれを読んで考えさせられたいという衝動が沸き上がってくるな。

【小説】銀行総務特命 新装版

本→小説
10 /07 2017
銀行総務特命 新装版
池井戸潤
講談社文庫
新装版 銀行総務特命 (講談社文庫)
池井戸 潤
講談社 (2011-11-15)
売り上げランキング: 12,331

「あいつも銀行員じゃなかったら、もっと別な人生があっただろうにな」

銀行総務特命 新装版』本文より

池井戸潤の連作短編集『銀行総務特命』。

濃い銀行員人生たちが詰まってる…
しかも辛いのばっか。

なぜ銀行員たちはこれほどまでに金に苦しめられ、人からの信用を失っていくのか。
金を扱い、信用を扱い。
でも結局他人が信じられないことの悲劇たちばかり。
しかもそれがリアリティある銀行の世界の中で描かれるから辛いことこの上ない。

言ってしまえば銀行の原罪たちだよなぁ。
それをミステリ仕立てで謎を解いていくのがこれまたページが次々めくれてしまうのが不思議。
こんなしんどい物語なのにな。
しかし面白くも興味深くも読めるのも確か。

【小説】検察側の罪人 上下

本→小説
09 /30 2017
検察側の罪人 上下
雫井脩介
文春文庫
検察側の罪人 上 (文春文庫)
雫井 脩介
文藝春秋 (2017-02-10)
売り上げランキング: 1,904

君たちはその手に一本の剣を持っている。法律という剣だ。

検察側の罪人 上』本文より

雫井脩介の『検察側の罪人』。
また濃いものを…
検察という事件を追う、正義を貫く。
そういった存在でありながらタイトルのようになぜ「罪人」なのか。
一体誰がなんのためのどういった「罪」なのか。

まさに正義とはなんぞやを丁寧に描き切った。
検察側だけじゃない、弁護側も、法曹の世界も。もちろん犯罪者側や証言者まで。
この世界を描き切った上での「じゃあ正義とは何か」と問いかけてくる。
もうラストあたりが辛いわ、読後感悪いというか、余韻が残り続ける感がすごい。

【小説】ラストレシピ

本→小説
09 /23 2017
ラストレシピ 麒麟の舌の記憶
田中経一
幻冬舎文庫
ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 (幻冬舎文庫)
田中 経一
幻冬舎 (2016-08-05)
売り上げランキング: 8,728

「本当に、美味しい」
味は人の記憶を蘇らせる。美子の心の中に、出会った頃の二人のことが浮かんできた。

ラストレシピ』本文より

田中経一の『ラストレシピ』。

よもやこんな壮大な話になろうとは。
たかが料理。されど料理。
最期の料理請負人が請け負った満州時代に作られた200品からなるレシピ。
その探求が現在と過去を結び、あの時代なぜそのようなものが作られたのか、誰のためのなんの料理なのか。
誰がその料理を考え、作り、誰のために作ったのか。

料理は料理でただ作りさえすればそこにあるものだけれども、それが特別な料理、特別な人に向けて、そしてそれが歴史の転換点にすらなる料理というところまで転がしてくるのか。
そして出会う料理人たちの想いが現代までつたられてくる様はあまりに強い。それらが重なって物語として成り立っていくあたりもまた非常に楽しめる1作となっていたように思う。

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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