【小説】首折り男のための協奏曲

本→小説
09 /10 2017
首折り男のための協奏曲
伊坂幸太郎
新潮文庫
首折り男のための協奏曲 (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社 (2016-11-28)
売り上げランキング: 7,719

「首を折って人を殺すような仕事をしてるからじゃねえか。時々、人に親切にして、バランスを取りたくなるんだよ、あいつは」

首折り男のための協奏曲』本文より

伊坂幸太郎の『首折り男のための協奏曲』。

短編で読みやすく、すべてが少しずつリンクしていく様もまた見どころ。
短編が集まってみたらなんか、少しずつ関連性があるぞというなんか不思議な本でもある。

虐げられる側の物語が多かったり、ミステリでもあり、少し不思議な話を集めたものでもあり。時に合コンの話のような実験的なものもあり。
ああ、なんて充実した短編集だろう。
伊坂幸太郎の全方位の先端を見せてくれたような本だ。

【小説】獏の檻

本→小説
09 /03 2017
獏の檻
道尾秀介
新潮文庫
貘の檻 (新潮文庫)
貘の檻 (新潮文庫)
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道尾 秀介
新潮社 (2016-12-23)
売り上げランキング: 58,920

年月は本当に過ぎ去ったのだろうか。
子供。大人。老人。赤ん坊。男と女。彼らの声が混じり合うその様子。途切れることのない一つの大きな音となって響く、その全体的な抑揚にさえ、私は聞き憶えがあるように思えた。しかし、行き交う村人たちの中に見知った顔などないのだ。

『獏の獏』本文より

道尾秀介の『獏の檻』。

悪夢と現代の話と、32年前の話と。
まるで夢の中をさまようような現代パート。挿入される悪夢のような、ただの夢なのか、誰かの記憶なのか、自分の記憶なのか。
あいまいな夢が挿入されるたびに少しずつ現実を侵食していき、やがて夢の方が現実を喰ってしまうかのような。
32年前の現実を探り、現代で事件に巻き込まれ、きっかけとなるキーパーソンの轢死の謎を解いていく。
だけれども謎がとけるほどに、まるで夢のように真実がどんどんおぼろげになっていくかのよう。
きっぱりとした真実であり、解決。そんなものはもはや問題ですらなくて、このなんというか、悪夢感とでもいうのだろうか。
抜け出せなくなり、悪夢に取りつかれ絡めとられていくかのようなストーリーに没頭させられた。

ああ、これ二度目読んだらだいぶ印象も変わりそう。

【小説】あきない世傳 金と銀 奔流篇

本→小説
09 /02 2017
あきない世傳 金と銀 奔流篇
髙田郁
ハルキ文庫
あきない世傳 金と銀〈3〉奔流篇 (時代小説文庫)
髙田 郁
角川春樹事務所 (2017-02-14)
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「『商いは利を生んでこそ』という惣次の考えは、商いの基だす。けれど、商いから情を一切抜いてしもたなら、味気ないもんだすで」

あきない世傳 金と銀 奔流篇』本文より

あきない世傳 金と銀』3巻目。

幸があんだけ才能あるというのに夫はもはや子供を産むための妻じゃないか。
商売の頭としては女は不要という時代だからこその、下から少しずつ才覚を表していく様の第1章というような位置づけだろうか。
商いとは、店を大きくするというのはどういうことかを投げかけてきた3冊目。さて4冊目でどう応えてくれるだろうか。

【小説】あきない世傳 金と銀 早瀬篇

本→小説
07 /23 2017
あきない世傳 金と銀 早瀬篇
髙田郁
ハルキ文庫
あきない世傳金と銀〈2〉早瀬篇 (ハルキ文庫)
高田 郁
角川春樹事務所 (2016-08-09)
売り上げランキング: 7,563

「物事が成るか成らんかは、ひとの想いや働きだけで決まるもんやない。ご神仏の手ぇが差し伸べられるかどうかだす。それに加えて、起こってしもた難事を解決するためには、短気はあかん。決して諦めんと、歳月をかけてゆっくりと時節を待て、いう意味やないか、て考えるようになりました」

あきない世傳 金と銀 早瀬篇』本文より

あきない世傳 金と銀』2巻目。
結婚に、そして商売にいよいよ乗り出してきた。
幸も14歳から17歳へと成長し、大人たちの商売を見ながら、そして妻でありながら妻でないような苦しい時を経て
さて、ここからどう成長するか。
ここらでプロローグも終わりか。
いよいよ戦国商いの世界がはじまるぞ。

相も変わらずこの作者の人情は優しくて好きだなぁ。

【小説】悟浄出立

本→小説
07 /02 2017
悟浄出立
万城目学
新潮文庫
悟浄出立(新潮文庫)
新潮社 (2017-05-19)
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「こっちが西天ですよ、と書かれた立て札が、どこかに用意されているとでも思ったか? ただ、自分が行きたい方向に足を出しさせすればいいんだよ!」

悟浄出立』本文より

主人公になれなかった人たちを主人公にしたらこうなっちまった的な短編集『悟浄出立』。
西遊記に三国志に史記に。
あいつらこんな悩みを持ってやがってたのかとにやにやしながら読めるな、これ。

【小説】悪医

本→小説
06 /25 2017
悪医
久坂部羊
朝日文庫
悪医 (朝日文庫)
悪医 (朝日文庫)
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久坂部羊
朝日新聞出版 (2017-03-07)
売り上げランキング: 36,919

「先生は、私に死ねと言うんですか」
「何もそんなことを言ってるんじゃ……」

悪医』本文より

久坂部羊の『悪医』。

がんと闘う患者と医者の話。
だが決してわかりあってるわけじゃない。
なんとしても生きたい・治したい患者と治せないから今こそ自由に生きるべきだと諭す医者と。

この患者と医者の双方の思いの違いを克明に描いた様がものすごく人間的。
死が近いからこそのそこから逃げようとするのはそりゃそうだし、治らないのならいまこそやりたいことをやるべきと諭すのも医者だし。
可能性が圧倒的に低かろうともどれだけ苦痛と寄り添うことになろうとも生きるのもそれはそれで人だし、最後を自由に苦痛とは違うところで生かしたいとするのもそりゃあ医者だし。

死を前にしたときどうするかというのを考えさせられる1冊だ。

【小説】芥川症

本→小説
03 /05 2017
芥川症
久坂部羊
新潮文庫
芥川症 (新潮文庫)
芥川症 (新潮文庫)
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久坂部 羊
新潮社 (2016-12-23)
売り上げランキング: 181,139

何もしない医療が、これほど平穏で安らぎを与えるものか。
よけいなことをせず、寿命を静かに受け入れる。
医療にすがって、治らない病気を無理に治そうとするほど、苦しく、愚かしいことはない。

芥川症』本文より

久坂部羊の短編集『芥川症』。

ブラックユーモアの効いた医者と患者のエトセトラ。
医療とはなんなのか。
神への挑戦なのか、それとも自己満足のためなのか。
ここが変だよ日本の医療といわんばかりの素晴らしいユーモア、あるいは不謹慎と怒る人すらいそうだけど、でもこれももっともだよなと思わず納得してしまうものが多くある本だった。

この作者の本は短編だと余計にブラックユーモア医療ものが生き生きとしてたいへん楽しい。

【小説】クリーピー

本→小説
02 /26 2017
クリーピー
前川裕
光文社文庫
クリーピー (光文社文庫)
前川 裕
光文社 (2014-03-12)
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あの人、お父さんじゃありません

クリーピー』本文より

前川裕の『クリーピー』。
お隣さんの娘さんが発する「あの人、お父さんじゃありません」発言から先が一気に物語が加速した。
恐ろしさというか、隣人を知らないことの怖さというか。
狂気を煮詰めたその先に出てきた、もはや誰にも理解ができない感情を喚起させてくれるかのよう。
もはや感想がネタバレなしに語れないようなおっそろしい本だった。

【小説】キアズマ

本→小説
02 /19 2017
キアズマ
近藤史恵
新潮文庫
キアズマ (新潮文庫)
キアズマ (新潮文庫)
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近藤 史恵
新潮社 (2016-02-27)
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「でも、道を歩いてたって、車に乗ってたって、結局は同じことや。数秒先に自分が生きている保証なんかない。違うか?」

キアズマ』本文より

近藤史恵の『キアズマ』。
サクリファイスからの誓のシリーズとはまた別だけれども、同じロードレース。
しかも自転車、ロードレーサーと出会うところからはじまるストーリー。

自転車に興味を持つところからはじまるのに、ここまで命を削りながら、命そのものならまだしも魂まで削って自転車という世界に捧げようとすらするような気概すら感じさせる文体はいったいなんなのか。
自転車、ただの自転車だが、されど自転車。
ただ速く走るための乗り物なんかじゃなく、誰よりも速く駆け抜ける歓びというか…
なんか恐ろしい境地を見せられた気がするぞ。

【小説】共震

本→小説
12 /31 2016
共震
相場英雄
小学館文庫
共震 (小学館文庫)
共震 (小学館文庫)
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相場 英雄
小学館 (2016-03-08)
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「俺たちは当事者じゃない。この気持ちは、早坂さんや神戸の人たちじゃないと共有できない。なんど沿岸に足を運んでも、俺たちでは分かり得ない感情だ」

共震』本文より

相場英雄の『共震』。
これが小説家が選んだ東日本大震災を記録する本だ!

小説家にしかできない。
読んでもらって風化させない。
ミステリを入れ、舞台を選び、そしておそらく多くの、とてつもない労力のもとで得た証言や記録でもって作り上げたのだろうという。
小説でありながら圧倒されるドキュメンタリー部分。
エッセイでも写真集でもなく、新聞記事でもなく、小説家が小説として東日本大震災を残そうとした。
そして残した。
それがこの本だ。

【小説】勇者たちへの伝言

本→小説
12 /24 2016
勇者たちへの伝言 いつの日か来た道
増山実
ハルキ文庫
勇者たちへの伝言 いつの日か来た道 (ハルキ文庫)
増山実
角川春樹事務所 (2015-11-14)
売り上げランキング: 12,319

「故郷」とは、きっと追い求めるものではなく、ふりかえったときに、「ただそこにあるもの」なのかもしれない。

勇者たちへの伝言』本文より

増山実の『勇者たちへの伝言』。

大正から昭和、平成へと至るまでの過去と現在。
日本と北朝鮮。
そして日本のプロ野球の歴史。
そのすべてが阪急ブレーブスと西宮という点で交錯していく。

あまりに壮大、あまりにノスタルジック、そしてあまりに哀しく、そして彼らが愛した西宮という地と阪急ブレーブスが読んでるこっちが愛おしく思えてくる。

なんだろな。
小説の良さってのを詰め込んだ感動作?考えさせられる北朝鮮への帰国事業の実情?プロ野球ができる前夜ともいえる黎明期の人種問題?それとも平等とは自由とは何ぞやという物語か。
この小説たった1冊に詰め込まれれた想いがすごい!
いい本だ!

【小説】史上最強の大臣

本→小説
12 /17 2016
史上最強の大臣
室積光
小学館文庫
史上最強の大臣 (小学館文庫)
室積 光
小学館 (2015-05-08)
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十歳への教育の成果は、彼自身が八十歳で自分の人生を振り返ったときに初めて確かめられる。つまり、教師は七十年後に魅力的な八十歳になることを願って、十歳の少年と向き合うべきなのです。

史上最強の大臣』本文より

シリーズ2作目。
1作目は知らなかったけど予想外に面白かった。

日本にとっての教育とはなんなのかを問う本作。
破天荒すぎはするようにも思えるけど、この改革っぷりは爽快。
読んで納得、そして小説としても読みやすいし、現代日本と対比してみて楽しむもよし。
読み応えあるなぁ。

【小説】嗤う名医

本→小説
11 /19 2016
嗤う名医
久坂部羊
集英社文庫
嗤う名医 (集英社文庫)
久坂部 羊
集英社 (2016-08-19)
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ミスを告白するとか、患者に誠意を尽くすとかは、心身にある程度の余裕があってはじめてできることなのだ。

嗤う名医』収録『至高の名医』本文より

ブラックな医療小説短編集だった。
くすっと笑えるくらいだし、実際に遭遇したりした人にとってはぞっとする小説かもしれない。

名医たちが陥る人生のトラップ。
誘惑に負けて1度の不倫がHIV陽性の人とだったり、骨の研究にどっぷりはまりドクロマニアへと至った医者に、胸にシリコンを入れてみたらとんでもない事態へと発展したり。
名医の痴呆のあまりに悲しい現実などなど。

医療小説をこれまで発表してきた久坂部羊はこれまでも物議をかもすような本を描いてきた。
それが今度は短編集。
おっそろしく濃いのだ。
そして1編1編のテーマも医療の中でも幅がすごく広い。医者も患者も誰にでも陥る可能性があるような人生のトラップともいうべきものに嵌っていたところからはじまるから、その極端さと怖さと本としての面白さが同居してる。
いい短編集を読めたぜ。

収録話
・「寝たきりの殺意」
・「シリコン」
・「至高の名医」
・「愛ドクロ」
・「名医の微笑」
・「嘘はキライ」

【小説】仇敵

本→小説
10 /08 2016
仇敵
池井戸潤
実業之日本社文庫
仇敵 (実業之日本社文庫)
池井戸 潤
実業之日本社 (2016-04-06)
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「人生にはどんなことだってあり得る。それは誰にでも言えることです。ちょっとした油断で、人生の坂道を転げ落ちる。一瞬の気のゆるみが積み上げてきたものを崩すんです。それが人生だ。どうですか、一杯」

仇敵』本文より

池井戸潤の『仇敵』。

銀行ミステリというか、お金を貸す側借りる側。その双方の悩み、それもとてつもなく深いもの。
それらを心理的にも解いていったり、絶望へと向かって行ってたり。
人間ドラマだけども、お金というものが恐ろしくもあり救いもあり、ありとあらゆるものに変化していく様が実に池井戸潤
短編だから余計にどぎついものがあるように感じた。

【小説】ナゴヤドームで待ちあわせ

本→小説
09 /04 2016
ナゴヤドームで待ちあわせ
アンソロジー
ポプラ社
ナゴヤドームで待ちあわせ
太田 忠司 吉川 トリコ 鳥飼 否宇 広小路 尚祈 深水 黎一郎
ポプラ社 (2016-07-04)
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やっぱり野球は面白い、と彼は思った。負けて悔しいけれど、それでもやっぱり面白い。

ナゴヤドームで待ちあわせ』収録『ヴァーチャル・ライヴ 10・8決戦』本文より

野球にもドラゴンズにも愛着はないけど、愛知県に住んでいて両親や弟は野球好きなので買ってみて読んで渡すことにした。
とりあえず読ませる前に読んでみたら、なにこのドラゴンズ愛あふれる内容と、それぞれの持ち味の活きている短編たちは。
おなかいっぱいに堪能。
ものすごく楽しいじゃないか。
太田忠司のマサと同年代の人の生き様もそうだし、ママさんダンスチームのチアもぐっとくるし、ヴァーチャルライブに関してはトリッキー過ぎて唖然としながらもラストに明かされる真相に思わず拍手を送りたくなったし、漫談も詳しくなくとも愛が感じられてよかったし、深水黎一郎に関してはもはや何かの執念すら感じる内容であった。
そして締めくくるのが愛溢れる大矢博子の解説であった。
こんなドラゴンズ短編集ができるなら大矢さん編でロードレースものとかも作ってくれないだろか。

太田忠司『マサが辞めたら』
吉川トリコ『ママはダンシング・クイーン』
鳥飼否宇『ヴァーチャル・ライヴ 10・8決戦』
広小路尚祈『ドラゴンズ漫談』
深水黎一郎『もうひとつの10・8』
大矢博子『解説に代えて-だからドラゴンズが好きなのだ-』

【小説】鬼談百景

本→小説
08 /27 2016
鬼談百景
小野不由美
角川文庫
鬼談百景 (角川文庫)
鬼談百景 (角川文庫)
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小野 不由美
KADOKAWA/角川書店 (2015-07-25)
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「じゃあ、誰が食器を拭いたの?」

鬼談百景』本文より

全99話の怪談を収録した『鬼談百景』。
これほど趣がある。美しいとすら思える。読後感がまさに怪談。
じわじわくる怖さ。
これが日本の怪談の良さだ。
怖い、不思議、いったいどうなってるのだろう。この後どうなったんだろう。
いろんな想像が次々に読んでいるうちに沸いてくるかのような本だった。

この99話と残穢を合わせてまさに100物語ってわけだな。

【小説】ルーズヴェルト・ゲーム

本→小説
08 /13 2016
ルーズヴェルト・ゲーム
池井戸潤
講談社文庫
ルーズヴェルト・ゲーム (講談社文庫)
池井戸 潤
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みんな、野球人である前に人なんです、部長。自分の人生がどうなるのか知らないでいることこそ、本当に不幸です。

ルーズヴェルト・ゲーム』本文より

野球小説と思わせておいて、その実、いや、ほとんどお仕事小説というか、社会人小説というか。
会社経営と、会社の部としての野球部。
野球だけやってればいいというわけでもなく、経営上でもよくないといけないわけだし、部が会社に愛されなければもちろん存続なんてしていかない。
楽しいだけじゃないあたりが社会人小説だよなぁ。

【小説】笑うハーレキン

本→小説
07 /31 2016
笑うハーレキン
道尾秀介
中公文庫
笑うハーレキン (中公文庫)
道尾 秀介
中央公論新社 (2016-01-21)
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お前はいまでも、まっとうな人間でありたいと思っている。ここの連中に自分の過去を話し、同情されたり、哀れみを受けたりすることに、お前は耐えられない。奴らと同じ場所か、あるいはもっと低い場所まで落ちてしまうことが怖いからだ。

笑うハーレキン』本文より

道尾秀介の『笑うハーレキン』。
どん底の生活からの逆転劇。
そして主人公の元に訪れた天真爛漫純真な女の子の弟子入り。
主人公の頭の中に住み着いた何者かは誰なのか。

ミステリのようでありながら、頭の中のもう一人との対話を重ねながらある種の救済まで持って行きよった。
半分くらいまではイマイチだなぁとか思っていたけれども、ラストの晴れやかさは爽快だった。

【小説】残穢

本→小説
06 /18 2016
残穢
小野不由美
新潮文庫
残穢 (新潮文庫)
残穢 (新潮文庫)
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小野 不由美
新潮社 (2015-07-29)
売り上げランキング: 4,235

--時折するこの音は、いったい何の音だろう?
背後を振り返ったものの、音を立てるようなものは何もない。

残穢』本文より

小野不由美の『残穢』。

非常に気色の悪い、読後感も尾を引く薄気味悪さ。
終始エッセイのスタイルで描かれる。
そんでもって主人公は小野不由美本人であろう人物。
実際の人物も登場させながら、ある読者が悪霊シリーズの体験談募集をきっかけに送ってきた現象を検証するところから物語をスタートさせる。
その場所や由来となる過去へ過去へさかのぼるわけだけれども、…思い出すだけでなんともなしに嫌な気分にさせてくれる。
物語であって実際にあったわけではないのだけれども、その数々の取材の中で出会っていく事実。
すさまじい恐怖描写があるわけでもない、心霊ものでも、モンスターものでも幽霊ものというわけでもない。
ただのエッセイであり、ある種の研究の過程を記した文章なんだけれども、この本に書かれている普遍的な怖さとただ結果として導き出される人が立ち入ってはいけない場所というのが本当にあるのかもしれないという怖さの訴求力の強さがなにか納得させてくる。

【小説】小説フランス革命3 バスティーユの陥落

本→小説
05 /14 2016
小説フランス革命3 バスティーユの陥落
佐藤賢一
集英社文庫
バスティーユの陥落 小説フランス革命 3 (集英社文庫)
佐藤 賢一
集英社 (2011-11-18)
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「対するにパリの強みといえば、数だけでしょう。ええ、ここは王国最大の都なのです。であるならば、できるだけ多くの人間が武器をとるべきではないでしょうか」

小説フランス革命 3』本文より

小説フランス革命』3冊目。

革命がいよいよはじまっていくぞ。
だがしかしいかんせん民衆にまったく武器がない。
武器なくして武器もつ王朝に対抗もできんわけだし、議会側からさぁ武器を持てといわれてもそりゃどうにもならんわな。
それで武器を奪うにはどこを襲うか。
これがバスティーユの襲撃に繋がっていくわけか。
納得。
でも、これが革命の最初なのであって、ここからまだまだフランス革命の本質があるんだよな。

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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