FC2ブログ

【小説】院長選挙

本→小説
05 /30 2020
院長選挙
久坂部羊
幻冬舎文庫

何を言ってるんだ。落ち着くじゃないか。ボクはこれで終わるつもりはない。床と天井も全部鏡張りにしようと思ってるんだ。

院長選挙』本文より

久坂部羊の『院長選挙』。

クソ野郎な院長候補ばっかじゃないか(笑
プライド高く、実力もあり、人間性はクズだらけな院長候補たち。
そのへんのぶっとび具合があり、だからこそのある種の快感がラストにあるな。

これって総合病院勤めの人が読んだらにやにやものなんじゃないだろか。

【小説】テロリストの処方

本→小説
05 /10 2020
テロリストの処方
久坂部羊
角川文庫
テロリストの処方 (集英社文庫)
久坂部 羊
集英社 (2019-10-18)
売り上げランキング: 94,171

馬鹿な医師どもに任せていたら、医療は荒廃するばかりだ。見識のある者が、強大な力でコントロールしなければならない。

テロリストの処方』本文より

久坂部羊の『テロリストの処方』。

医療と医師の二極化が訪れた近い未来。
ここでそれを嘆いた者たちのテロリズムと彼らを追う医者たち。
医療の問題点を突っつきながらもスリリングな話を展開してきた。

さすがの久坂部羊だな…

【小説】あきない世傳 金と銀 碧流篇

本→小説
04 /25 2020
あきない世傳 金と銀 碧流篇
髙田郁
ハルキ文庫
あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇 (時代小説文庫)
郁, 高田
角川春樹事務所 (2019-08-07)
売り上げランキング: 3,753

「うちのひとを型染めの世界に戻してくださって、ありがとうございます」

あきない世傳 金と銀 碧流篇』本文より

あきない世傳 金と銀』7冊目。

いよいよ江戸での物語もはじまった。
大坂とはまた違う世界。
江戸だから大坂とは違うけれども、また人と人との縁の繋がり方が彼女らの商売に繋がっていくなぁ。
それがまた気持ちよく描かれてる。

【小説】幻の琴師 新装版

本→小説
04 /12 2020
幻の琴師 新装版
麻井紅仁子
梅里書房
幻の琴師
幻の琴師
posted with amachazl at 2020.03.23
麻井 紅仁子
梅里書房 (1997-05)
売り上げランキング: 1,786,455

なにもせんよりは行動する者はすべて良し。結果はどうあれ、やることに意味があるのではござらぬか?

幻の琴師 新装版』本文より

幻の琴師』新装版。

箏師たちの物語ではあるのだけれども、ふたつの物語の主人公たちをここまで掘り下げ・研究する。
小説ではあるけれども、それ以上に研究書とすら言える話たちだ。


収録話
・「幻の琴師
・「同行二人」

【小説】きみを守るためにぼくは夢をみる 4

本→小説
03 /22 2020
きみを守るためにぼくは夢をみる 4
白倉由美
イラスト マテウシュ・ウルバノヴィチ
星海社文庫
きみを守るためにぼくは夢をみる(4) (星海社文庫)
白倉 由美
講談社
売り上げランキング: 634,688

「なにか、悲しいことがあるの?」
「いろんなことがあった。」

きみを守るためにぼくは夢をみる 4』本文より

きみを守るためにぼくは夢をみる』4巻。

文庫はこれ以降はでていない。
ここで終わってもよいようなラストではある…
でも、1冊で終わっていれば綺麗な純愛で終わってた。

純粋な感情をずっと浴び続けた朔くんは、世界から取り残された朔くんは、もう…
Zガンダムなら廃人化してもおかしくないくらい辛いことを次々と経験してたな…

【小説】慈雨

本→小説
03 /01 2020
慈雨
柚月裕子
集英社文庫
慈雨 (集英社文庫)
慈雨 (集英社文庫)
posted with amazlet at 20.02.09
柚月 裕子
集英社 (2019-04-19)
売り上げランキング: 1,739

晴れた空から、雨粒が落ちてくる。雷雨でも、豪雨でもない。優しく降り注ぐ、慈しみの雨。
ーー慈雨だ。

慈雨』本文より

柚月裕子の『慈雨』。

重い。
警察人生を進んできた人間の今まで向き合ってきた罪たち。
彼らと出会い、対峙してきたからこその重み。
その重みをもってして出会う事件。過去がそのまま現れたかのような事件。
その選択のひとつひとつが、もう、ずしり感が読む側の空気まで澱ませてくる。
濃厚な人間ドラマってやつを見た。

【小説】きみを守るためにぼくは夢をみる 2

本→小説
02 /29 2020
きみを守るためにぼくは夢をみる 2
白倉由美
イラスト 新海誠
星海社文庫
きみを守るためにぼくは夢をみる(2) (星海社文庫)
白倉 由美
講談社
売り上げランキング: 439,496

「なにを犠牲にするかはきっと自分では決められないんだ。」

きみを守るためにぼくは夢をみる 2』本文より

きみを守るためにぼくは夢をみる』2巻。
2巻だ…。

さぁここから知らない物語。
あらたな恋を描きながら…ってええっ。前巻の純愛っぷりはなんだったの。
けれどもそれを貫きつつ、貫くからこその悲劇へと連なっていく。

この物語でまたも犠牲(サクリファイス)というものを見ようとは。
大塚英志と白倉由美のまさに彼らの物語の真骨頂だ。

【小説】影踏み

本→小説
02 /16 2020
影踏み
横山秀夫
祥伝社文庫
影踏み (祥伝社文庫)
影踏み (祥伝社文庫)
posted with amazlet at 20.01.28
横山 秀夫
祥伝社
売り上げランキング: 148,553

<自分がパクられた時のことは正確に知っておきたい>

影踏み』本文より

横山秀夫の『影踏み』。

なんという泥棒探偵。
泥棒の視点ですべての状況を見て判断する。
自分の事件を捜査する過程で様々なものを見ていくのだけど、その過程・その目線が斬新すぎる。
まさにプロの犯行。
また彼の頭の中の同居人の存在も最初から不気味に、そして明らかな伏線とわかる形でずっと描かれ続けるのだけれども。
そのやりとりもまた、ねぇ。よいです。

【小説】ガーディアン

本→小説
02 /09 2020
ガーディアン
薬丸岳
講談社文庫
ガーディアン (講談社文庫)
薬丸 岳
講談社 (2019-03-15)
売り上げランキング: 53,797

「というか、やめるわけにはいかないでしょう。先生は生徒を救ってくれないんだから」

ガーディアン』本文より

薬丸岳の『ガーディアン』。

教師はいじめ問題にどこまで介入できるのか。
生徒が生徒をお互いを監視する学校とはいったいどういう仕組みでどう機能するのか。

法律が介入できない問題をがっつり描き、いじめ問題が発生しなくなる仕組みの面白さ、その仕組みの危うさ。
さぁこれきっかけに考えようぜといわんばかりの作品だな。
もう、薬丸岳はほんとこんなのばっかり書いて。どうなってるんだこの作者の頭は。また次も楽しみになる。

【小説】罪の声

本→小説
01 /26 2020
罪の声
塩田武士
講談社文庫
罪の声 (講談社文庫)
罪の声 (講談社文庫)
posted with amazlet at 20.01.12
塩田 武士
講談社 (2019-05-15)
売り上げランキング: 2,006

額から流れ出る汗にも気づかず、俊也は天を仰いだ。
これは、自分の声だ。

罪の声』本文より

塩田武士の『罪の声』。

グリコ森永事件を彷彿とさせる過去の事件。
それを追う物語なわけだけれども。

これは当時を知っていれば知るほど面白く読めそう。
当時を知らないからかもしれないけど、真相に迫る様がそこまで熱心に読めないというか。
知っていれば知るほど絶対に面白いだろ感はあるのだけれども。

【小説】告白の余白

本→小説
01 /25 2020
告白の余白
下村敦史
幻冬舎文庫
告白の余白 (幻冬舎文庫)
下村 敦史
幻冬舎 (2018-12-06)
売り上げランキング: 106,071

清水さんにお願いしてみましょう。希望はあります。だからどうか、まだ死なんといてください。

告白の余白』本文より

下村敦史の『告白の余白』。

京都の、京都人の、特に洛中のイヤなところ全部乗せ小説!
京都にある程度近くに住んでて、大学も京都だったからこそ思う、この小説の嫌な空気にニヤニヤできる。
そしてまた解説が京都嫌いの作者ときたもんだ。

本音が常に隠され続ける中でのミステリとしての真実の見せ方もそうだし、京都のいいところ嫌なところこれでもかと見せつけてくる勢いのよさ。
下村敦史だし、また参考文献もたんまりじゃないと思っていたら、それ以外にも親が京都生まれだったり、編集者が祇園育ちだったりと、そりゃ密度も濃くなるわ、と。

【小説】屋上のテロリスト

本→小説
01 /18 2020
屋上のテロリスト
知念実希人
光文社文庫
屋上のテロリスト (光文社文庫)
知念 実希人
光文社 (2017-04-11)
売り上げランキング: 92,316

「なに言ってるの。あなたは私に殺されるんでしょ。バイト代を払う前に、勝手に死なないでよ」

屋上のテロリスト』本文より

知念実希人の『屋上のテロリスト』。

うわ、なにこの権力を持つ女子高生の壮大にえげつないテロ活動。
いったいこれで最後何を見せてくれるのかと思ってたら、予想の斜め上すぎる青春ものが降りかかってこようとは。
ある意味騙されたというか、こういう方向にもっていくんかいっ。

【小説】叛徒

本→小説
11 /10 2019
叛徒
下村敦史
講談社文庫
叛徒 (講談社文庫)
叛徒 (講談社文庫)
posted with amazlet at 19.10.10
下村 敦史
講談社 (2018-01-16)
売り上げランキング: 445,372

自分が正義だと妄信することと、正義の味方であろうと努めることは違う。何が正しいかは状況次第で変わる。考え続けることを怠るな

叛徒』本文より

下村敦史の『叛徒』。

相も変わらず作者のこの世界を描くための参考文献のすごさというか、通訳捜査官という聞きなれない職をここまで魅力的に描いてきた。
日本においての外国人がかかわる事件。
そこでの葛藤。
外国人がかかわる今回の国の狭間で翻弄された人々の痛みと、それと向き合う葛藤が熱い。
いや、葛藤が人としても、父としても、警察としても、葛藤がこれでもかと出てくるんだけど、出てくるほどに主人公の格好良さ泥臭さがたまらん。

【小説】院内刑事 ブラック・メディスン

本→小説
11 /09 2019
院内刑事 ブラック・メディスン
濱嘉之
講談社+α文庫
院内刑事 ブラック・メディスン (講談社+α文庫)
濱 嘉之
講談社
売り上げランキング: 53,772

「善悪の区別なし……確かにそうですね。裏の世界で伸びた者たちも、やはり努力があるわけですからね。それが長続きするにはさらなる努力が必要ということですね」

院内刑事 ブラック・メディスン』本文より


すばらしいクレーム処理係というか、これまでの警察でのキャリア含め、どんなモンスターがやってこようとも、この病院はこの院内刑事がいるかぎりは大丈夫な気すらする。
まさかこんなお手本のようなクレーム処理を見せられようとは。

【小説】真実の檻

本→小説
10 /19 2019
真実の檻
下村敦史
角川文庫
真実の檻 (角川文庫)
真実の檻 (角川文庫)
posted with amazlet at 19.09.22
下村 敦史
KADOKAWA (2018-05-25)
売り上げランキング: 269,292

正義ならどの立場にもあるんです。要は何を信じ、どんな志で何のために闘うか、の問題なんです。

真実の檻』本文より

下村敦史の『真実の檻』。

時効も過ぎた事件の真犯人、あえて冤罪を受け入れた男、その男の子供。
年月の経過が彼らの心にどうのしかかるのか。

司法の歪みもそうだし、事件の真相もそうだし、それ以上に心の動きがこんなにも読む側の心を揺さぶってくるとは。
読後感の重さ、考えさせられることがこれほどあるとは。

それを支える巻末の多くの参考資料。
ああ、それでこんだけ重厚に説得力ある物語に仕上げてきたのか。

【小説】バベル九朔

本→小説
10 /13 2019
バベル九朔
万城目学
角川文庫
バベル九朔 (角川文庫)
万城目 学
KADOKAWA (2019-02-23)
売り上げランキング: 159,261

「俺は、ここにいる」

バベル九朔』本文より

万城目学の『バベル九朔』。

読んでも読んでもどうにも苦手という意識がある万城目作品だが、今回は楽しく読めた。

いつもよりもっと不思議な世界観。
雑居ビルの歴史そのものと対面し、ビルの歴史という迷路から逃げ出せない不思議設定。
現実と夢が交差しまくる内容といかにして抜け出すか、果ては現実と対決するかというテーマをこんな状況の中でやってくるのか。
じゃあラストってどう迎えるんだろうとラストまでわくわくさせられた。

【小説】告知

本→小説
10 /06 2019
告知
久坂部羊
幻冬舎文庫
告知 (幻冬舎文庫)
告知 (幻冬舎文庫)
posted with amazlet at 19.09.15
久坂部 羊
幻冬舎 (2018-10-10)
売り上げランキング: 184,778

映画やドラマなら、名医がうまく治してハッピーエンドになるんだろうが、現実には底なし沼みたいな状況から這い上がれず、一生を終わる人もいるんだ

告知』本文より

久坂部羊の『告知』。

在宅医療に携わる医師や看護師たちの短編集。
治らない医療。
でもそこに誰かは携わらないといけない、ってこういうことか。
死期の直前に難病に、精神科も判別できない統合失調症のような何か。

いつもの久坂部羊と違い、著者の在宅医療医時代の経験がこれでもかと入っており、重い。
ひとつひとつの物語に込められた祈りにも似た何かを感じた。

【小説】我が心の底の光

本→小説
09 /21 2019
我が心の底の光
貫井徳郎
双葉文庫
我が心の底の光 (双葉文庫)
貫井 徳郎
双葉社 (2018-04-12)
売り上げランキング: 46,805

「お前、馬鹿かよ。頭おかしいな」

我が心の底の光』本文より

貫井徳郎の『我が心の底の光』。

なんだよ、このラスト!?くそっ。
とか思ってたら、解説でこういう読み方もあるのかとがつんと頭を殴られたような感覚を覚えた。
ああ、二度読み必須本だったか。

【小説】犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼 上下

本→小説
08 /10 2019
犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼 上下
雫井脩介
双葉文庫
犯人に告ぐ(2)(上)  闇の蜃気楼 (双葉文庫)
雫井 脩介
双葉社 (2018-05-10)
売り上げランキング: 90,938

「レスティンピース」

犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼 上』本文より

犯人に告ぐ2』。

2作目というのがまるわかりのタイトル。
こんなド直球なタイトルも珍しい。
たいていは副題で2とかなのに。

前作の登場人物たちを出しながら、いや、それはいい。
もはや独立した物語としておそろしく面白い。

誘拐犯たち、警察たち。
それぞれの立場、役割をこれでもかと描き、満を持して物語が始動しはじめるのが、もはや後半。
そこから怒涛の戦いがもう、すごい!
二つの視点を持つからこその、プロとプロの戦いそのもの、生きざまをまざまざと見せつけられた。

【小説】営繕かるかや怪異譚

本→小説
06 /23 2019
営繕かるかや怪異譚
小野不由美
角川文庫
営繕かるかや怪異譚 (角川文庫)
小野 不由美
KADOKAWA (2018-06-15)
売り上げランキング: 25,440

――この家に来てはいけなかったのかもしれない。

営繕かるかや怪異譚』本文より

小野不由美の『営繕かるかや怪異譚』。

「鬼談百景」じゃ短すぎ、「残穢」じゃ長すぎる。
このちょうどいい短編。
しかも怪異と寄り添う。
祓うでもなく、解決するでもなく、怪異はあるものとして考え、営繕屋として家を修繕する。
そこに怪異があり、そこに恐怖があり、その恐怖って何なのか、ある意味での共存というかその解決法がそれぞれ見事なのだ。
そしてまたその怪異がとても怖い。古い家々だからこその情景が思い浮かぶし、怖いものの原風景を持っている人ほど怖がれる。
良質なホラーだ。

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

リンクやトラックバックは自由にどうぞ。