【小説】ジャッジメント

本→小説
11 /11 2017
ジャッジメント
佐藤青南
祥伝社文庫
ジャッジメント (祥伝社文庫)
佐藤 青南
祥伝社 (2016-06-15)
売り上げランキング: 90,663

何年経っても、どんな仕事に就いても、たぶん僕らには、あの夏以上に輝く夏は訪れない。

ジャッジメント』本文より

あああ。まじか。
そういうことか。

冒頭の野球部員たちのタバコを吸う場面。
そこから栄光の甲子園への道と、現代の殺人容疑をかけられたプロ野球選手と甲子園時代に彼と戦った弁護士の二つのパートで構成され。
それがもうね。
最後の最後の最後でこういうことだったのか、と。
それぞれのパートの出来ももちろんいいのだが、それがあまりに効果的すぎて賞賛の拍手を送りたくなる。

【小説】神の子 上下

本→小説
11 /04 2017
神の子 上下
薬丸岳
光文社文庫
神の子(上) (光文社文庫)
薬丸 岳
光文社 (2016-12-08)
売り上げランキング: 20,619

おれの中で人間の区別は一通りしかない。
頭がいい人間か、頭が悪い人間か、--だけだ。

神の子 上』本文より

薬丸岳の『神の子』。
この分厚い上下巻の本。
だがしかしあまりに面白かった。一気に読んだ。

戸籍がなく、人の戸籍を奪い犯罪組織にいた少年。
だが彼は天才だった。

これだけでノワール色たっぷりの世界征服でもたくらむのかと思いきや。
この天才少年を軸に様々な人間が彼にかかわり人生を変えていく。
いや、世界すら変わっていったというべきか。

あまりに予想外な方向へと突き進む話にくぎ付けになった。
すごい小説!

【小説】とっぴんぱらりの風太郎 上下

本→小説
10 /28 2017
とっぴんぱらりの風太郎 上下
万城目学
文春文庫
とっぴんぱらりの風太郎 上 (文春文庫)
万城目 学
文藝春秋 (2016-09-02)
売り上げランキング: 18,376

ふざけてなんかおらぬ。ひょうたんに身体を宿している以上、ひょうたんと名乗るほかない。もともと名前もないゆえ、もっとも近いところを取って因心居士と称している。だから、儂のことは因心居士と呼ぶがよい。

とっぴんぱらりの風太郎 上』本文より

万城目学とっぴんぱらりの風太郎』。
変な話。
ひょうたんと出会い、忍者として人間として激動の歴史へと巻き込まれていく。
このひょうたんの突飛さはもとより、少しずつニート忍者で何者にもなれなかった主人公が望んでいないのに、どんどん歴史のターニングポイントへと出会わされてく。
もうね。おそろしくファンタジーなのに、とっても時代小説。
なんじゃこりゃと思うような内容なのに、気が付けば分厚いこの本を読了してた。
終わってみればとても楽しい時間を過ごせてた。
くっそ面白いじゃないか。

【小説】ロスジェネの逆襲

本→小説
10 /21 2017
ロスジェネの逆襲 半沢直樹3
池井戸潤
文春文庫
ロスジェネの逆襲 (文春文庫)
池井戸 潤
文藝春秋 (2015-09-02)
売り上げランキング: 1,197

組織の論理、大いに結構じゃないか。プレッシャーのない仕事なんかない。仕事に限らず、なんでもそうだ。嵐もあれば日照りもある。それを乗り越える力があってこそ、仕事は成立する。

ロスジェネの逆襲』本文より

半沢直樹シリーズ3作目『ロスジェネの逆襲』。
これが半沢直樹か!倍返しか!

とても熱量のある仕事小説で、企業同士の戦いの熱さ、腹の読み合い、お互いの潰し合い。
それらの緊張感と、まさに倍返しの場面の圧倒的な読み応え。
これは映像で見てみたいな。

【小説】祈りの幕が下りる時

本→小説
10 /14 2017
祈りの幕が下りる時
東野圭吾
講談社文庫
祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)
東野 圭吾
講談社 (2016-09-15)
売り上げランキング: 898

「そのお心遣いには感謝しますが、心配無用です。母に、そういう人がいてよかったと思っています。むしろ、何とかしてその方に会ってみたいぐらいです。会って、母のことを聞きたいです」

祈りの幕が下りる時』本文より

東野圭吾の『祈りの幕が下りる時』。

これシリーズ物の1作だったのか。
それも知らずに読み始め、この詳しい身元も不明、過去も語らなかった女性の一生を少しずつ息子が探し出していく。
その丁寧な筆致が人の一生のミステリアスさ、そして彼女の想いの大きさを知り、それがまたいい余韻を残してくれる。
あらすじから言えばすごく地味なのになぁ。

【小説】約束の海

本→小説
10 /08 2017
約束の海
山崎豊子
新潮文庫
約束の海 (新潮文庫)
約束の海 (新潮文庫)
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山崎 豊子
新潮社 (2016-07-28)
売り上げランキング: 19,062

「確かに自信のないままに続けてよい仕事ではないからな、但し、責任を取るなら、それが何に対する責任か、自分自身ではっきりさせろ、明確でない責任感は単なる感傷かも知れん、それに、辞めたからと云って、罪の意識が軽くなるわけではないはずだ--」

約束の海』本文より

山崎豊子の『約束の海』。
完結してないじゃないか。ってか遺作かいな…
山崎豊子作品がラストの作品から読むことになるとは。

戦争と平和と。
それを自衛隊の潜水艦が起こした一般の船との衝突事故からはじめ、過去の戦争が絡み、力とは兵力とは。そのうえでの平和とは。
様々に問いかけてき始めたところだっただけに、ああ、これは最後まで読んでいたら何を見せてくれてたんだろうと思わせられる。
この収録されている第1部だけでも壮大な物語であるのに、第2部第3部の予定のあらすじだけでも相当に深い物語になりそう。
そしてそれを読んで考えさせられたいという衝動が沸き上がってくるな。

【小説】銀行総務特命 新装版

本→小説
10 /07 2017
銀行総務特命 新装版
池井戸潤
講談社文庫
新装版 銀行総務特命 (講談社文庫)
池井戸 潤
講談社 (2011-11-15)
売り上げランキング: 12,331

「あいつも銀行員じゃなかったら、もっと別な人生があっただろうにな」

銀行総務特命 新装版』本文より

池井戸潤の連作短編集『銀行総務特命』。

濃い銀行員人生たちが詰まってる…
しかも辛いのばっか。

なぜ銀行員たちはこれほどまでに金に苦しめられ、人からの信用を失っていくのか。
金を扱い、信用を扱い。
でも結局他人が信じられないことの悲劇たちばかり。
しかもそれがリアリティある銀行の世界の中で描かれるから辛いことこの上ない。

言ってしまえば銀行の原罪たちだよなぁ。
それをミステリ仕立てで謎を解いていくのがこれまたページが次々めくれてしまうのが不思議。
こんなしんどい物語なのにな。
しかし面白くも興味深くも読めるのも確か。

【小説】検察側の罪人 上下

本→小説
09 /30 2017
検察側の罪人 上下
雫井脩介
文春文庫
検察側の罪人 上 (文春文庫)
雫井 脩介
文藝春秋 (2017-02-10)
売り上げランキング: 1,904

君たちはその手に一本の剣を持っている。法律という剣だ。

検察側の罪人 上』本文より

雫井脩介の『検察側の罪人』。
また濃いものを…
検察という事件を追う、正義を貫く。
そういった存在でありながらタイトルのようになぜ「罪人」なのか。
一体誰がなんのためのどういった「罪」なのか。

まさに正義とはなんぞやを丁寧に描き切った。
検察側だけじゃない、弁護側も、法曹の世界も。もちろん犯罪者側や証言者まで。
この世界を描き切った上での「じゃあ正義とは何か」と問いかけてくる。
もうラストあたりが辛いわ、読後感悪いというか、余韻が残り続ける感がすごい。

【小説】ラストレシピ

本→小説
09 /23 2017
ラストレシピ 麒麟の舌の記憶
田中経一
幻冬舎文庫
ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 (幻冬舎文庫)
田中 経一
幻冬舎 (2016-08-05)
売り上げランキング: 8,728

「本当に、美味しい」
味は人の記憶を蘇らせる。美子の心の中に、出会った頃の二人のことが浮かんできた。

ラストレシピ』本文より

田中経一の『ラストレシピ』。

よもやこんな壮大な話になろうとは。
たかが料理。されど料理。
最期の料理請負人が請け負った満州時代に作られた200品からなるレシピ。
その探求が現在と過去を結び、あの時代なぜそのようなものが作られたのか、誰のためのなんの料理なのか。
誰がその料理を考え、作り、誰のために作ったのか。

料理は料理でただ作りさえすればそこにあるものだけれども、それが特別な料理、特別な人に向けて、そしてそれが歴史の転換点にすらなる料理というところまで転がしてくるのか。
そして出会う料理人たちの想いが現代までつたられてくる様はあまりに強い。それらが重なって物語として成り立っていくあたりもまた非常に楽しめる1作となっていたように思う。

【小説】首折り男のための協奏曲

本→小説
09 /10 2017
首折り男のための協奏曲
伊坂幸太郎
新潮文庫
首折り男のための協奏曲 (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社 (2016-11-28)
売り上げランキング: 7,719

「首を折って人を殺すような仕事をしてるからじゃねえか。時々、人に親切にして、バランスを取りたくなるんだよ、あいつは」

首折り男のための協奏曲』本文より

伊坂幸太郎の『首折り男のための協奏曲』。

短編で読みやすく、すべてが少しずつリンクしていく様もまた見どころ。
短編が集まってみたらなんか、少しずつ関連性があるぞというなんか不思議な本でもある。

虐げられる側の物語が多かったり、ミステリでもあり、少し不思議な話を集めたものでもあり。時に合コンの話のような実験的なものもあり。
ああ、なんて充実した短編集だろう。
伊坂幸太郎の全方位の先端を見せてくれたような本だ。

【小説】獏の檻

本→小説
09 /03 2017
獏の檻
道尾秀介
新潮文庫
貘の檻 (新潮文庫)
貘の檻 (新潮文庫)
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道尾 秀介
新潮社 (2016-12-23)
売り上げランキング: 58,920

年月は本当に過ぎ去ったのだろうか。
子供。大人。老人。赤ん坊。男と女。彼らの声が混じり合うその様子。途切れることのない一つの大きな音となって響く、その全体的な抑揚にさえ、私は聞き憶えがあるように思えた。しかし、行き交う村人たちの中に見知った顔などないのだ。

『獏の獏』本文より

道尾秀介の『獏の檻』。

悪夢と現代の話と、32年前の話と。
まるで夢の中をさまようような現代パート。挿入される悪夢のような、ただの夢なのか、誰かの記憶なのか、自分の記憶なのか。
あいまいな夢が挿入されるたびに少しずつ現実を侵食していき、やがて夢の方が現実を喰ってしまうかのような。
32年前の現実を探り、現代で事件に巻き込まれ、きっかけとなるキーパーソンの轢死の謎を解いていく。
だけれども謎がとけるほどに、まるで夢のように真実がどんどんおぼろげになっていくかのよう。
きっぱりとした真実であり、解決。そんなものはもはや問題ですらなくて、このなんというか、悪夢感とでもいうのだろうか。
抜け出せなくなり、悪夢に取りつかれ絡めとられていくかのようなストーリーに没頭させられた。

ああ、これ二度目読んだらだいぶ印象も変わりそう。

【小説】あきない世傳 金と銀 奔流篇

本→小説
09 /02 2017
あきない世傳 金と銀 奔流篇
髙田郁
ハルキ文庫
あきない世傳 金と銀〈3〉奔流篇 (時代小説文庫)
髙田 郁
角川春樹事務所 (2017-02-14)
売り上げランキング: 2,567

「『商いは利を生んでこそ』という惣次の考えは、商いの基だす。けれど、商いから情を一切抜いてしもたなら、味気ないもんだすで」

あきない世傳 金と銀 奔流篇』本文より

あきない世傳 金と銀』3巻目。

幸があんだけ才能あるというのに夫はもはや子供を産むための妻じゃないか。
商売の頭としては女は不要という時代だからこその、下から少しずつ才覚を表していく様の第1章というような位置づけだろうか。
商いとは、店を大きくするというのはどういうことかを投げかけてきた3冊目。さて4冊目でどう応えてくれるだろうか。

【小説】あきない世傳 金と銀 早瀬篇

本→小説
07 /23 2017
あきない世傳 金と銀 早瀬篇
髙田郁
ハルキ文庫
あきない世傳金と銀〈2〉早瀬篇 (ハルキ文庫)
高田 郁
角川春樹事務所 (2016-08-09)
売り上げランキング: 7,563

「物事が成るか成らんかは、ひとの想いや働きだけで決まるもんやない。ご神仏の手ぇが差し伸べられるかどうかだす。それに加えて、起こってしもた難事を解決するためには、短気はあかん。決して諦めんと、歳月をかけてゆっくりと時節を待て、いう意味やないか、て考えるようになりました」

あきない世傳 金と銀 早瀬篇』本文より

あきない世傳 金と銀』2巻目。
結婚に、そして商売にいよいよ乗り出してきた。
幸も14歳から17歳へと成長し、大人たちの商売を見ながら、そして妻でありながら妻でないような苦しい時を経て
さて、ここからどう成長するか。
ここらでプロローグも終わりか。
いよいよ戦国商いの世界がはじまるぞ。

相も変わらずこの作者の人情は優しくて好きだなぁ。

【小説】悟浄出立

本→小説
07 /02 2017
悟浄出立
万城目学
新潮文庫
悟浄出立(新潮文庫)
新潮社 (2017-05-19)
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「こっちが西天ですよ、と書かれた立て札が、どこかに用意されているとでも思ったか? ただ、自分が行きたい方向に足を出しさせすればいいんだよ!」

悟浄出立』本文より

主人公になれなかった人たちを主人公にしたらこうなっちまった的な短編集『悟浄出立』。
西遊記に三国志に史記に。
あいつらこんな悩みを持ってやがってたのかとにやにやしながら読めるな、これ。

【小説】悪医

本→小説
06 /25 2017
悪医
久坂部羊
朝日文庫
悪医 (朝日文庫)
悪医 (朝日文庫)
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久坂部羊
朝日新聞出版 (2017-03-07)
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「先生は、私に死ねと言うんですか」
「何もそんなことを言ってるんじゃ……」

悪医』本文より

久坂部羊の『悪医』。

がんと闘う患者と医者の話。
だが決してわかりあってるわけじゃない。
なんとしても生きたい・治したい患者と治せないから今こそ自由に生きるべきだと諭す医者と。

この患者と医者の双方の思いの違いを克明に描いた様がものすごく人間的。
死が近いからこそのそこから逃げようとするのはそりゃそうだし、治らないのならいまこそやりたいことをやるべきと諭すのも医者だし。
可能性が圧倒的に低かろうともどれだけ苦痛と寄り添うことになろうとも生きるのもそれはそれで人だし、最後を自由に苦痛とは違うところで生かしたいとするのもそりゃあ医者だし。

死を前にしたときどうするかというのを考えさせられる1冊だ。

【小説】芥川症

本→小説
03 /05 2017
芥川症
久坂部羊
新潮文庫
芥川症 (新潮文庫)
芥川症 (新潮文庫)
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久坂部 羊
新潮社 (2016-12-23)
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何もしない医療が、これほど平穏で安らぎを与えるものか。
よけいなことをせず、寿命を静かに受け入れる。
医療にすがって、治らない病気を無理に治そうとするほど、苦しく、愚かしいことはない。

芥川症』本文より

久坂部羊の短編集『芥川症』。

ブラックユーモアの効いた医者と患者のエトセトラ。
医療とはなんなのか。
神への挑戦なのか、それとも自己満足のためなのか。
ここが変だよ日本の医療といわんばかりの素晴らしいユーモア、あるいは不謹慎と怒る人すらいそうだけど、でもこれももっともだよなと思わず納得してしまうものが多くある本だった。

この作者の本は短編だと余計にブラックユーモア医療ものが生き生きとしてたいへん楽しい。

【小説】クリーピー

本→小説
02 /26 2017
クリーピー
前川裕
光文社文庫
クリーピー (光文社文庫)
前川 裕
光文社 (2014-03-12)
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あの人、お父さんじゃありません

クリーピー』本文より

前川裕の『クリーピー』。
お隣さんの娘さんが発する「あの人、お父さんじゃありません」発言から先が一気に物語が加速した。
恐ろしさというか、隣人を知らないことの怖さというか。
狂気を煮詰めたその先に出てきた、もはや誰にも理解ができない感情を喚起させてくれるかのよう。
もはや感想がネタバレなしに語れないようなおっそろしい本だった。

【小説】キアズマ

本→小説
02 /19 2017
キアズマ
近藤史恵
新潮文庫
キアズマ (新潮文庫)
キアズマ (新潮文庫)
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近藤 史恵
新潮社 (2016-02-27)
売り上げランキング: 53,441

「でも、道を歩いてたって、車に乗ってたって、結局は同じことや。数秒先に自分が生きている保証なんかない。違うか?」

キアズマ』本文より

近藤史恵の『キアズマ』。
サクリファイスからの誓のシリーズとはまた別だけれども、同じロードレース。
しかも自転車、ロードレーサーと出会うところからはじまるストーリー。

自転車に興味を持つところからはじまるのに、ここまで命を削りながら、命そのものならまだしも魂まで削って自転車という世界に捧げようとすらするような気概すら感じさせる文体はいったいなんなのか。
自転車、ただの自転車だが、されど自転車。
ただ速く走るための乗り物なんかじゃなく、誰よりも速く駆け抜ける歓びというか…
なんか恐ろしい境地を見せられた気がするぞ。

【小説】共震

本→小説
12 /31 2016
共震
相場英雄
小学館文庫
共震 (小学館文庫)
共震 (小学館文庫)
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相場 英雄
小学館 (2016-03-08)
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「俺たちは当事者じゃない。この気持ちは、早坂さんや神戸の人たちじゃないと共有できない。なんど沿岸に足を運んでも、俺たちでは分かり得ない感情だ」

共震』本文より

相場英雄の『共震』。
これが小説家が選んだ東日本大震災を記録する本だ!

小説家にしかできない。
読んでもらって風化させない。
ミステリを入れ、舞台を選び、そしておそらく多くの、とてつもない労力のもとで得た証言や記録でもって作り上げたのだろうという。
小説でありながら圧倒されるドキュメンタリー部分。
エッセイでも写真集でもなく、新聞記事でもなく、小説家が小説として東日本大震災を残そうとした。
そして残した。
それがこの本だ。

【小説】勇者たちへの伝言

本→小説
12 /24 2016
勇者たちへの伝言 いつの日か来た道
増山実
ハルキ文庫
勇者たちへの伝言 いつの日か来た道 (ハルキ文庫)
増山実
角川春樹事務所 (2015-11-14)
売り上げランキング: 12,319

「故郷」とは、きっと追い求めるものではなく、ふりかえったときに、「ただそこにあるもの」なのかもしれない。

勇者たちへの伝言』本文より

増山実の『勇者たちへの伝言』。

大正から昭和、平成へと至るまでの過去と現在。
日本と北朝鮮。
そして日本のプロ野球の歴史。
そのすべてが阪急ブレーブスと西宮という点で交錯していく。

あまりに壮大、あまりにノスタルジック、そしてあまりに哀しく、そして彼らが愛した西宮という地と阪急ブレーブスが読んでるこっちが愛おしく思えてくる。

なんだろな。
小説の良さってのを詰め込んだ感動作?考えさせられる北朝鮮への帰国事業の実情?プロ野球ができる前夜ともいえる黎明期の人種問題?それとも平等とは自由とは何ぞやという物語か。
この小説たった1冊に詰め込まれれた想いがすごい!
いい本だ!

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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