【ミステリ】愚行録

本→ミステリ
12 /03 2016
愚行録
貫井徳郎
創元推理文庫
愚行録 (創元推理文庫)
貫井 徳郎
東京創元社
売り上げランキング: 3,028

人生って、どうしてこんなにうまくいかないんだろうね。人間は馬鹿だから、男も女もみんな馬鹿だから、愚かなことばっかりして生きていくものなのかな。

愚行録』本文より

貫井徳郎の『愚行録』。
だいぶ嫌なもの読んだ。
読後感がだいぶもやもやする。
この感じを誰かに話たいっていう時に最後の大矢博子の解説がわかるよーわかるよーと語りかけるかのようだった。

一家惨殺事件に関して証言する様々な人たちの話。
それによって一家がどんな人物だったのか、事件の真相はどんなものなのかがどんどん浮かび上がってくるが、それ以上に強烈な証言者たち。
もうほんとどうしてこうまで、こんな人たちばっかりなのか。
読んでてどよーんとするほどのものを読まされようとは。
そしてまたその本としてミステリとしての構造もまた見事だし、この「読後感」そのものを突きつけられるかのようだ。
巧いなぁ。

【ミステリ】怪盗グリフィン、絶体絶命

本→ミステリ
11 /27 2016
怪盗グリフィン、絶体絶命
The Caribbean Ring Finger

法月綸太郎
講談社文庫
怪盗グリフィン、絶体絶命 (講談社文庫)
法月 綸太郎
講談社 (2014-09-12)
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「怪盗グリフィンに不可能はない」

怪盗グリフィン、絶体絶命』本文より

法月綸太郎怪盗グリフィン、絶体絶命』。
どうしたののりりん!?
まさかこんな。
こんな面白いものを書いてたなんて!

ミステリで冒険で怪盗もので。
盗みも見事だわ、ミステリとしても刺激的だわ、ミッションインポッシブルのような不可能な状況での大活劇にはわくわくするわ。
最高の読書体験だった。
もう、楽しいの言葉しか出てこない。

【ミステリ】夢幻花

本→ミステリ
10 /15 2016
夢幻花
東野圭吾
PHP文芸文庫
夢幻花 (PHP文芸文庫)
夢幻花 (PHP文芸文庫)
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東野 圭吾
PHP研究所 (2016-04-07)
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「黄色いアサガオ?」
「その通り。幻の花だ」

夢幻花』本文より

東野圭吾の『夢幻花』。

あまりにも端正すぎるというか。
伏線という伏線の回収の美しさ。
無駄もスキもない小説のようにすら感じられるミステリ。

幻の花を求め、その花にも意味があり、それを追う人間たちと殺人事件が絡み合う。

【ミステリ】ヒポクラテスの誓い

本→ミステリ
10 /01 2016
ヒポクラテスの誓い
中山七里
祥伝社文庫
ヒポクラテスの誓い (祥伝社文庫)
中山七里
祥伝社 (2016-06-15)
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「あなた、死体はお好き?」
真琴はそう訊かれて返事に窮した。

ヒポクラテスの誓い』本文より

中山七里の『ヒポクラテスの誓い』。
法医学教室もの。
冒頭からしてそうとう魅力的。
一行目でこれは面白い小説だと思わせてくるのが中山七里の魅力だなと思う。

死体から浮かび上がってくる真実といえばよくある小説やドラマだけれども、小説ならではの情感と慣れからくるプロへと一歩一歩進む主人公の成長も見て取れる。
というかさぁこれからだ。ここからこの子の本当の法医学教室での日々がはじまるというところで終わりよって。
続きがやたら気になる本だった。

【ミステリ】後妻業

本→ミステリ
09 /25 2016
後妻業
黒川博行
文春文庫
後妻業 (文春文庫)
後妻業 (文春文庫)
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黒川 博行
文藝春秋 (2016-06-10)
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悪党にはセンスが要る。結婚相談所も後妻業も、あんたの経営センスは大したもんや。

後妻業』本文より

黒川博行の『後妻業』。
圧倒的なノワール。
後妻業という男を騙し、殺し、そして遺産をいただくという悪い女の話である。
それと同時に大阪近郊のとても親近感の沸く地理感からくるリアリティたっぷりの描写。
さらに、後妻業を企てた男と女を追いかけるサスペンスとミステリ。
なによりも誰も彼もが金とセックスを絡ませながらの強烈な「欲」の追及がとてつもない本だった。

【ミステリ】ノックス・マシン

本→ミステリ
09 /18 2016
ノックス・マシン
法月綸太郎
角川文庫
ノックス・マシン (角川文庫)
法月 綸太郎
KADOKAWA/角川書店 (2015-11-25)
売り上げランキング: 55,811

以上のような理由により、わたしは、アガサ・クリスティを探偵小説の世界から、即刻かつ永遠に抹殺することを提案いたします

ノックス・マシン』収録『引き立て役倶楽部の陰謀』本文より

法月綸太郎の短編集『ノックス・マシン』。

本格ミステリをこじらせたらこうなるのか。
たいへん楽しい。
ミステリのルールを逆手にとったというかルールそのものをミステリ化させるという斜め上の楽しさをまさに魅せてくれた小説だ。

収録話:
・「ノックス・マシン
・「引き立て役倶楽部の陰謀」
・「バベルの牢獄」
・「論理蒸発 ノックス・マシン2」

【ミステリ】静おばあちゃんにおまかせ

本→ミステリ
09 /11 2016
静おばあちゃんにおまかせ
中山七里
文春文庫
静おばあちゃんにおまかせ (文春文庫)
中山 七里
文藝春秋 (2014-11-07)
売り上げランキング: 210,893

冤罪だけは作っちゃ駄目なのよ。無実の人の人生はもちろん、真相究明の芽も摘んでしまう。それだけじゃないわ。冤罪はね、事件に関わった捜査員や検察官、そして裁判官にも暗い影を落とす。

静おばあちゃんにおまかせ』本文より

ゆるふわ系ミステリに見えるタイトル『静おばあちゃんにおまかせ』。
だがしかし、作者は中山七里だ。
検事モノをがっつりやってきただけに、元検事、いまは退官のおばあちゃんを安楽椅子探偵に、両親を飲酒運転の車に殺された孫と平凡な警察官のコンビで送るガチミステリ。
そして社会派の問題もこれでもかとやってのける。
なにが正義なのか、検事は何を信念にもって行動しているのか。
悪と戦い、法律の中で葛藤する生き様がすげぇよおばあちゃん。

【ミステリ】追憶の夜想曲

本→ミステリ
07 /24 2016
追憶の夜想曲
中山七里
講談社文庫
追憶の夜想曲 (講談社文庫)
中山 七里
講談社 (2016-03-15)
売り上げランキング: 5,643

「弁護人、わたしも同感です。いったい、あなたは何を証明しようとしているのですか」

追憶の夜想曲』本文より

御子柴弁護士第2弾「追憶の夜想曲」。
おいおい。まさか2作目が出ようとは。
今回もガンガンいくぜ。
この男は何をたくらみ、何を証明し、何を得ようとするのか。
殺人を犯した弁護士だからこその人の心理の奥の奥まで抉りだす。

今回の自供すらもしている女の弁護から次々に滲みでてくる悪意の塊。
くっそ面白かった。
圧倒的不利からの逆転といえば聞こえはいいが、暴き出すは最悪ともいえるげっそりする読後感。
だがここまで二転三転と意外すぎる結末まで至る伏線もまたたまらなく楽しすぎる。

【ミステリ】仮面病棟

本→ミステリ
06 /05 2016
仮面病棟
知念実希人
実業之日本社文庫
仮面病棟 (実業之日本社文庫)
知念 実希人
実業之日本社
売り上げランキング: 6,950

刑事になだめられ、秀悟は黙り込む。自分の記憶に間違いはない。そう確信していた。しかし、刑事に繰り返し質問をされるうちに、その自信はゆっくりと、しかし確実にすり減ってきていた。
悪夢のようなあの夜の出来事、あれはどこまで現実だったのだろうか?

仮面病棟』本文より

知念実希人の『仮面病棟』。

この駆け抜けるような疾走感。
病院をジャックした犯人、彼が撃った女性を助けてから先、犯人との攻防、病院からの脱出の検討、病院の謎解き。
すべてが恐ろしいスピードで同時進行し、気付いたら読み終わっていたといういい読書体験だった。

ミステリでありアクションであり謎解きもあり、プリズン・ブレイクものでもあるとか最高じゃないですか。

【ミステリ】微笑む人

本→ミステリ
05 /01 2016
微笑む人
貫井徳郎
実業之日本社文庫
微笑む人 (実業之日本社文庫)
貫井 徳郎
実業之日本社 (2015-10-03)
売り上げランキング: 56,382

「誰だってそうだろ。理解できない理由で殺されたりしたら、怖いじゃないか」
「そんなこと言ったって、現実に起きてるんだからしょうがないじゃないですか」

微笑む人』本文より

貫井徳郎の『微笑む人』。

小説家が様々な人にインタビューして「本が増えたから邪魔な妻と子供を殺した」犯人の実像に迫っていくスタイルのミステリ。
少しずつ少しずつ犯人の人となり、真面目で完璧、とても人は殺せない家庭的な人。
でもその反証も出てきて二面性などが疑われ。

たぶんこうなるだろうなぁ、で、こういう嫌な終わり方をしていくんだろうというのがありありと想像でき。
そこから先がとんでもないひっくり返し方をしやがった。
思わず呆然、今まで感じた事ない読後感を感じさせられた。

なんて小説だ。

【ミステリ】暗黒館の殺人4

本→ミステリ
03 /20 2016
暗黒館の殺人
綾辻行人
講談社文庫
暗黒館の殺人(四) (講談社文庫)
綾辻 行人
講談社
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「鹿谷さん」
「何かな」
「僕は-すべてを見てきたんですよ」

暗黒館の殺人4』本文より


暗黒館の殺人』第四部。
これにて閉幕。

館はこうあるべき、と。
この巨大な分厚さを誇った本のラストはもうまさにこうあるべき。
謎は解かれると同時に謎が解放されたような読後感。
すべての館はここに収束していくような館シリーズのひとつのクライマックスともいうべき内容だったかと。

【ミステリ】暗黒館の殺人3

本→ミステリ
03 /13 2016
暗黒館の殺人
綾辻行人
講談社文庫
暗黒館の殺人(三) (講談社文庫)
綾辻 行人
講談社
売り上げランキング: 78,070

「彼女は--ダリアは魔女だった。彼女自身がそう認めていたという話さ。まあ、何をもって『魔女』と呼ぶかを厳密に論じようとすれば、そこにもいろいろと問題は出てくるんだろうがね」

暗黒館の殺人3』本文より


暗黒館の殺人』第3部。
殺人も続き、怪異はより深く深く物事を混乱させていく。

すべての登場人物の闇の深さと、異常な事態が逆にしっくりくるこの館。
徐々に暗黒館の謎も解かれだし、と。
あとはまるまるが解決編の第4部だな。

【ミステリ】暗黒館の殺人2

本→ミステリ
03 /06 2016
暗黒館の殺人
綾辻行人
講談社文庫
暗黒館の殺人(二) (講談社文庫)
綾辻 行人
講談社
売り上げランキング: 31,224

「あたしたちは二人で一人よ」
と、美魚が繰り返した。その目許には、うっすらと涙が滲んでいる。
「だから中也さま、あたしたちと結婚しましょ」
と、美鳥が詰め寄った。その目許にも、うっすらと涙が滲んでいる。
「そしてずっと一緒に……ね、中也さま」
「いつまでも一緒に……ね、中也さま」

暗黒館の殺人2』本文より

暗黒館の殺人』2冊目。

闇の中から嫌なものがはい出てくるような第2部。
幻想的悪夢とでもいうのか。
双子が出てきてからの人間であって人間でないものが徘徊しているかのようなこの館。
誰もが何かを抱えているが、いわゆる薄っぺらいものではない。この世ならざる何かを抱えて生きている感じを醸し出しているのがぞくっとする。
いわゆるホラーであり、それを探っていくミステリであり。
綾辻行人が暗黒館までに発表してきたあらゆる小説をすべて詰め込んだような印象が特にこの2部には強い気がする。

【ミステリ】暗黒館の殺人1

本→ミステリ
02 /28 2016
暗黒館の殺人
綾辻行人
講談社文庫
暗黒館の殺人(一) (講談社文庫)
綾辻 行人
講談社
売り上げランキング: 34,152

湖に浮かぶ島がある。城壁のような石積みの塀が巡らされている。その向こうに建つ、あれが--。
あれが暗黒館か。

暗黒館の殺人1』本文より

館シリーズ7作目『暗黒館の殺人』。ノベルス上下巻を4分冊した1冊目。
文庫で再読。

冒頭の暗黒館にたどり着くところのゾクゾク感。
いよいよこの館の全貌と闇に触れていくのだというわくわく感。
冒頭からじわりじわりと楽しませてくれる。
ミステリもだけれども、幻想感、倒錯感がじわりとあふれ出してるな…

【ミステリ】サヴァイブ

本→ミステリ
01 /02 2016
サヴァイブ
近藤史恵
新潮文庫
サヴァイヴ (新潮文庫)
近藤 史恵
新潮社 (2014-05-28)
売り上げランキング: 24,527

だが、ときどき思うのだ。自分は逃げたことに変わりはなく、そして逃げはじめた人間は逃げ続けなければならないのだと。

サヴァイブ』本文より


すべてサクリファイスに関わる短編集『サヴァイブ』。
プロチームに居続けるむつかしさ。日本と世界のロードレース界の違い。
それに世界の壁、たどりつけないグランツールの世界。
肉体の限界。

どんな壁があっても、無理でも、それこそ自転車的な意味を含めてもがき続ける男たちの姿。
なにこの圧倒的なリアリティ感。
自転車乗りやロードレース好きには手に汗にぎるというか、嫌な汗もふくめて共感できる最高の小説じゃないか。
ああ、もうミステリ界隈からこれを手にして自転車を手にして、みんなもっとロードレースを盛り上げようぜ。

【ミステリ】ノエル

本→ミステリ
12 /20 2015
ノエル
道尾秀介
新潮文庫
ノエル: -a story of stories- (新潮文庫)
道尾 秀介
新潮社 (2015-02-28)
売り上げランキング: 141,570

どんな話なのだろう。本の中身を想像するこの時間が、莉子は大好きだった。

ノエル』本文より

道尾秀介の『ノエル』。クリスマスと絵本のもたらす奇跡。

ああ。
だがやっぱり道尾秀介なのだ。
ただでは奇跡へとたどり着かせてはくれないほどの厳しく顔をそむけたくなる現実に直面するそれぞれの主人公たち。
読んでて非常に辛い。
辛いがその奇跡ゆえの読後感もあるんだが…

でもやっぱりしんどさがずーんとくる。
しかし、それも良さだよなぁ。

【ミステリ】ヒートアップ

本→ミステリ
10 /31 2015
ヒートアップ
中山七里
幻冬舎文庫
ヒートアップ (幻冬舎文庫)
中山 七里
幻冬舎 (2014-08-05)
売り上げランキング: 161,457

「最初に呉越同舟と言ったのは誰だ。今更、勝手なことを言うな」
「あんたは…馬鹿だ」
「前から知っている」

ヒートアップ』本文より

ヒート…麻薬…。
あれ、どっかで聞いたような。って『魔女は甦る』のあれか。
なにげに作品間でリンクもしてあるヒートたる闘争心を増し、恐怖感がまったくなくなるという兵器ともいうべき薬をめぐって麻薬取締官とヤクザのふたりの相棒もの。

なげそんな相対するふたりが手を組むのか。
その過程も面白いのだけれども、互いの違う価値観を持ちながらハイスピードで進む捜査と弾丸飛び交うダイ・ハードばりの銃撃戦。
それに加えてミステリ成分すらも加えてくるんだからなんなんだよ、これ。
面白いとしか言いようがないじゃないか。

相棒ものに、火薬分に、逃走劇に、対決と謎解きと。
満腹。

【ミステリ】スタート!

本→ミステリ
08 /02 2015
スタート!
中山七里
光文社文庫
スタート! (光文社文庫)
中山 七里
光文社 (2015-02-10)
売り上げランキング: 44,432

小森がにやにや笑いながら差し出したのは一編の脚本だった。
タイトルは『災厄の季節』。
「とりあえず、それが決定稿だ。読んでおいてくれ」

スタート!』本文より

中山七里の『スタート!』。
『災厄の季節』の映画を撮影していく話かよ。
思わず爆笑。
あんなんどうやったって日本ではやれないことばかりじゃないか。
と思ったら作中で案の定。
そして映画の、特にこけた映画のコメンタリーなどで製作と監督の軋轢とか、製作と俳優の所属事務所とのお金のやりとりのいろいろとか。
あらゆる災厄が降りかかっていく。
それを乗り越えていく様が爽快だった。
映画好きにはたまらん。
そして『カエル男』を読んでいたらなお楽しめるときたもんだ。

ミステリ部分?
あったけど、もはやそれよりも映画撮影のどたばたが楽しすぎた。

【ミステリ】ロスト・ケア

本→ミステリ
07 /26 2015
ロスト・ケア
葉真中顕
光文社文庫
ロスト・ケア (光文社文庫)
葉真中 顕
光文社 (2015-02-10)
売り上げランキング: 73,529

検事さん、あなたたちが法律で僕をどのように裁こうとも、僕は正しいことしかしていません

ロスト・ケア』本文より

これでデビュー作とは…
介護という現代日本での問題そのものにスポットライトを当てた本作『ロスト・ケア』。
介護の地獄と、要介護者ばかりを殺してまわった犯人。
なぜ彼が40人以上もの人間を殺し、なにをなそうとしたのか。
そんなミステリ。

誰が犯人、どのようにして。
それはそんなに問題じゃなかった。
それは様々な小説やノンフィクション、果てはテレビから新聞まで様々なものがとりあげてきた。
社会的な問題、お金の格差で死が決まる。
それじゃない。
もちろん描いてくれてる社会派でもある。

それよりも舞台となっていく老人ホームとそこで働く人たちの優しい想い。
やさしさがそのまま殺人者を作っていくすさまじさ。
それでいて犯人を裁くことができるのは法律だけれども、誰もが彼を悪とは完全にはみなせないときたもんだ。
そういう気味悪さと現実味も持ち味。
それ以上には本当の犯人の目的。
見つかっても逮捕されても構わない。それでも犯行を続けて逮捕された理由。
そのミステリ、動機にこそぞわっとした。
最後の最後まで目が離せない展開だった。

【ミステリ】黒猫館の殺人 新装改訂版

本→ミステリ
06 /13 2015
黒猫館の殺人 新装改訂版
綾辻行人
講談社文庫
黒猫館の殺人〈新装改訂版〉 (講談社文庫)
綾辻 行人
講談社 (2014-01-15)
売り上げランキング: 45,972

「やっと辿り着いたねえ」
鹿谷が感慨深げに云った。
「ふうん。これが黒猫館か」

黒猫館の殺人 新装改訂版』本文より

館シリーズ新装改訂版の最終章『黒猫館の殺人
はじめて読んだときにはものすごく肩すかしじゃないか、と思ったものだ。
あれから15年。
読み返すとこんなに面白かったっけ、と。
アリス(有栖川ではない)との関係性が特に面白い。
不思議の国も鑑の国も読んで、なおかつ作者についても最初に読んだ当時よりもはるかに知識がある状態。
それだからルイス・キャロルの狂気とも思える作風があってこその黒猫館と見て読むと読むほどに面白い仕掛けだらけだよなと思う。

ついにこの新装改訂版も終わりか。
これをきっかけに館シリーズを読み返せてほんとよかった。

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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