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【ミステリ】虚ろな十字架

本→ミステリ
12 /24 2017
虚ろな十字架
東野圭吾
光文社文庫
虚ろな十字架 (光文社文庫)
東野 圭吾
光文社 (2017-05-11)
売り上げランキング: 1,364

人を殺したのだから、罪を償うのは当然のこと。

虚ろな十字架』本文より

東野圭吾の『虚ろな十字架』。
読み終わって深く息をし、表紙に戻ってこの本のこの表紙からすべてが始まってたのだと感嘆した。

果たして死刑は無力なのか。
殺された側と殺した側。
罪を償うという、そりゃ当たり前なことに対して真っ向から挑んだ作品。
罪を償うとはなんなのか、罪を求め続けることはなんなのか。
この殺人をめぐっての周りの人たちがどんどん不幸へと陥る。
我が子を殺され、犯人に対して極刑を望んだことがすべての間違いのはじまりだったのか。
何かほかに方法はなかったのか。

罪と罰に対してそれぞれが背負う十字架のなんと意味をなさない…
そうか、これが無力か、と自問させられる小説だな…。

【ミステリ】豆の上で眠る

本→ミステリ
12 /23 2017
豆の上で眠る
湊かなえ
新潮文庫
豆の上で眠る (新潮文庫)
湊 かなえ
新潮社 (2017-06-28)
売り上げランキング: 3,469

--誰なの?
本人を前にして、直接訊ねた。

豆の上で眠る』本文より

湊かなえの『豆の上で眠る』。
姉は本当に本物なのか。
そんな帯に非常に興味を惹かれ読み進めると、まずは姉の誘拐事件。
そして彼女が戻ってくる。
だがしかし、違和感がどんどん重なっていくが、姉妹しか知りえないことも知っている。
2年間の記憶喪失期間は神かくしなのか、なんなのか。

真実に近づき、真実が語れるにつれて余計にもやっとした感覚に陥らされる。
真実とはなんなのか。そのあやふやさにぐらぐらくる。

思わず一気読みしてしまった。

【ミステリ】生還者

本→ミステリ
11 /18 2017
生還者
下村敦史
講談社文庫
生還者 (講談社文庫)
生還者 (講談社文庫)
posted with amazlet at 17.10.13
下村 敦史
講談社 (2017-07-14)
売り上げランキング: 114,471

「登山に対する考え方は登山家それぞれだと思うし、言葉遊びをする気もないが……登山家は危険に挑むんじゃなく、困難に挑むんだ。危険を作り出すんじゃなく、困難を作り出してるんだ」

生還者』本文より

下村敦史の『生還者』。

山から帰還した者たちの物語であり、山に包まれた謎の物語。

もう生き残ったことが悪いのか、それとも山に翻弄された人々の本性が駄目だったのか。
生還者たちの声と山に残った数少ない手がかりから暴かれていく真実の怖さ。
生き残ってしまうことの怖さと、一生を山の出来事に縛られ続ける怖さ。
山と関係ない一般の人からのバッシングの嵐。

どこかにありそうな、ある意味身近な物語でもありながら、片時も目が離せないミステリ成分がものすごく面白いものだった。

【ミステリ】北天の馬たち

本→ミステリ
09 /24 2017
北天の馬たち
貫井徳郎
角川文庫
北天の馬たち (角川文庫)
貫井 徳郎
KADOKAWA (2016-09-22)
売り上げランキング: 83,921

迷惑をかけてすまなかった。
しばらくいなくなるが、心配しないでくれ。 S&R

北天の馬たち』本文より


貫井徳郎の『北天の馬たち』。
前に読んだのが愚行録だからそのギャップが。
探偵のカッコよさと、その探偵を追う、そして探偵へとなっていくかのような主人公の爽やかさ。
こういうのも書いて来るのか。

不思議な、いわゆる普通の探偵への依頼、もしくはミステリにおける探偵への依頼とはまたことなった依頼をこなす不思議さを見つつ、最後の3章目の彼らの根本にかかわる事件への流れがまたいいんだよな。

【ミステリ】神様の裏の顔

本→ミステリ
09 /17 2017
神様の裏の顔
藤崎翔
角川文庫
神様の裏の顔 (角川文庫)
藤崎 翔
KADOKAWA/角川書店 (2016-08-25)
売り上げランキング: 11,659

「人間は、二度死を迎える。一度目は、肉体が死んだ時。二度目は、生きている人の、心の中から、消えてしまった時……という言葉が、あるそうです。どうか、父を、皆様の、心の中で、長生き、させて、あげてくださいっ」

神様の裏の顔』本文より

藤崎翔の『神様の裏の顔』。

なんだこれはw
壮大なコントかw
ああ。しかも作者の経歴がお笑い芸人を経て作家、か。
ああ、なるほど。っていやいや、このどんでん返しの連続。
しかも深刻なのに笑える。
いや、よく考えろ。こんだけの構造をもった本だぞ。
それを重要なところですべて笑いに持っていく。
これはセンスだな。
しかも誰にも負けないほどの。

たった1日の通夜の間の出来事。
だけども通夜らしく故人の一生をトリックに使う豪快さ。その長年に渡る謎。
それをたったこれだけのページに収めてしまってるのだ。

すごいぞ。この作者。

【ミステリ】闇に香る嘘

本→ミステリ
09 /16 2017
闇に香る嘘
下村敦史
講談社文庫
闇に香る嘘 (講談社文庫)
下村 敦史
講談社 (2016-08-11)
売り上げランキング: 72,691

大事な人間を失ったとき、人は誰しも目を閉じて生前の姿を思い返すしか会う方法がない。私は毎日がそうだ。私が失明する前の由香里の顔、想像するしかない夏帆の顔。私のまぶたの裏側に浮かび上がるのは、もはや空想の映像でしかない。

闇に香る嘘』本文より

闇に香る嘘』乱歩賞受賞作。

この盲目の主人公と戦後の残留孤児の問題を絡めながら自身のルーツと、彼が巻き込まれた殺人事件。
それにキーを握る本物なのか偽物なのか分からぬ兄の存在。
視覚で語らないからこその疑心暗鬼と真実の見えてくる様が実に独特。
こうまで深く重厚に物語を濃くしていくのかと。

【ミステリ】広域捜査

本→ミステリ
09 /09 2017
広域捜査
安東能明
新潮文庫
広域指定 (新潮文庫)
広域指定 (新潮文庫)
posted with amazlet at 17.07.16
安東 能明
新潮社 (2016-08-27)
売り上げランキング: 154,311

「われわれ警察はどんな理由があろうとも、真実から目をそらしてはいけない。九十九パーセント、犯人に間違いないと思われる人間が目の前にいたとしても、残り一パーセントの可能性は確実に潰してゆくべきです。そうは思われませんか?」

広域捜査』本文より

安東能明の『広域捜査』。

警察小説らしい警察小説といえばそうだな。
地道で、でも信念がありそうの捜査に手に汗をにぎらせられる。
そして警察同士の内部でのにらみ合い。
タイトルにもなっている広域捜査。どこが主導権を握り、犯人を挙げるのかというところにこだわらざるをえない体質と
悪化していく状況もまた見ものだった。

【ミステリ】しらみつぶしの時計

本→ミステリ
08 /27 2017
しらみつぶしの時計
法月綸太郎
祥伝社文庫
しらみつぶしの時計 (祥伝社文庫)
法月 綸太郎
祥伝社 (2013-02-08)
売り上げランキング: 390,444

光も空気さえも通わない「密室」の中で、稔は決断を迫られた--。

しらみつぶしの時計』本文より

法月綸太郎のノンシリーズ短編集『しらみつぶしの時計』。
濃いな…。
ほんと濃いミステリだ。
法月綸太郎シリーズでないからこその、作者法月綸太郎のミステリ経歴がこれでもかと発揮されてて楽しい限りだ。

特に冒頭のトイレという密室の事件「使用中」がもう最高。
密室の事件だし、この密室を巡ってのみつどもえの頭脳戦。もうなにこれ。
しかもこのラスト。

それもだし、タイトルにもなっている脱出ゲーム「しらみつぶしの時計」。ある種の読者への挑戦をそのままやってのけてる。
これも臨場感といい、ゲーム風味でありながらがっつり推理させられる感のある感じもいいんだよな。

収録話
・「使用中」
・「ダブル・プレイ」
・「素人芸」
・「盗まれた手紙」
・「イン・メモリアム」
・「猫の巡礼」
・「四色問題」
・「幽霊をやとった女」
・「しらみつぶしの時計」
・「トゥ・オブ・アス」

【ミステリ】時限病棟

本→ミステリ
08 /13 2017
時限病棟
知念実希人
実業之日本社文庫
時限病棟 (実業之日本社文庫)
知念 実希人
実業之日本社 (2016-10-06)
売り上げランキング: 90,486

田所病院からの脱出へようこそ!!

時限病棟』本文より

知念実希人の『時限病棟』。

一気読みした。
前作『仮面病棟』もそうだったが、今作もそうとうなページターナーである。

いかんせんどうしても設定といい好きな映画と似たようなところがどうしても気になるが…
それはそれとしてリアル脱出ゲームをテーマにしているだけに、これが面白すぎる。
ミステリと脱出のいい融合を見た。
これもリアル脱出ゲームでやろうぜ。
そしたら是非いきたい。

【ミステリ】愚行録

本→ミステリ
12 /03 2016
愚行録
貫井徳郎
創元推理文庫
愚行録 (創元推理文庫)
貫井 徳郎
東京創元社
売り上げランキング: 3,028

人生って、どうしてこんなにうまくいかないんだろうね。人間は馬鹿だから、男も女もみんな馬鹿だから、愚かなことばっかりして生きていくものなのかな。

愚行録』本文より

貫井徳郎の『愚行録』。
だいぶ嫌なもの読んだ。
読後感がだいぶもやもやする。
この感じを誰かに話たいっていう時に最後の大矢博子の解説がわかるよーわかるよーと語りかけるかのようだった。

一家惨殺事件に関して証言する様々な人たちの話。
それによって一家がどんな人物だったのか、事件の真相はどんなものなのかがどんどん浮かび上がってくるが、それ以上に強烈な証言者たち。
もうほんとどうしてこうまで、こんな人たちばっかりなのか。
読んでてどよーんとするほどのものを読まされようとは。
そしてまたその本としてミステリとしての構造もまた見事だし、この「読後感」そのものを突きつけられるかのようだ。
巧いなぁ。

【ミステリ】怪盗グリフィン、絶体絶命

本→ミステリ
11 /27 2016
怪盗グリフィン、絶体絶命
The Caribbean Ring Finger

法月綸太郎
講談社文庫
怪盗グリフィン、絶体絶命 (講談社文庫)
法月 綸太郎
講談社 (2014-09-12)
売り上げランキング: 415,788

「怪盗グリフィンに不可能はない」

怪盗グリフィン、絶体絶命』本文より

法月綸太郎怪盗グリフィン、絶体絶命』。
どうしたののりりん!?
まさかこんな。
こんな面白いものを書いてたなんて!

ミステリで冒険で怪盗もので。
盗みも見事だわ、ミステリとしても刺激的だわ、ミッションインポッシブルのような不可能な状況での大活劇にはわくわくするわ。
最高の読書体験だった。
もう、楽しいの言葉しか出てこない。

【ミステリ】夢幻花

本→ミステリ
10 /15 2016
夢幻花
東野圭吾
PHP文芸文庫
夢幻花 (PHP文芸文庫)
夢幻花 (PHP文芸文庫)
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東野 圭吾
PHP研究所 (2016-04-07)
売り上げランキング: 172

「黄色いアサガオ?」
「その通り。幻の花だ」

夢幻花』本文より

東野圭吾の『夢幻花』。

あまりにも端正すぎるというか。
伏線という伏線の回収の美しさ。
無駄もスキもない小説のようにすら感じられるミステリ。

幻の花を求め、その花にも意味があり、それを追う人間たちと殺人事件が絡み合う。

【ミステリ】後妻業

本→ミステリ
09 /25 2016
後妻業
黒川博行
文春文庫
後妻業 (文春文庫)
後妻業 (文春文庫)
posted with amazlet at 16.09.06
黒川 博行
文藝春秋 (2016-06-10)
売り上げランキング: 191

悪党にはセンスが要る。結婚相談所も後妻業も、あんたの経営センスは大したもんや。

後妻業』本文より

黒川博行の『後妻業』。
圧倒的なノワール。
後妻業という男を騙し、殺し、そして遺産をいただくという悪い女の話である。
それと同時に大阪近郊のとても親近感の沸く地理感からくるリアリティたっぷりの描写。
さらに、後妻業を企てた男と女を追いかけるサスペンスとミステリ。
なによりも誰も彼もが金とセックスを絡ませながらの強烈な「欲」の追及がとてつもない本だった。

【ミステリ】ノックス・マシン

本→ミステリ
09 /18 2016
ノックス・マシン
法月綸太郎
角川文庫
ノックス・マシン (角川文庫)
法月 綸太郎
KADOKAWA/角川書店 (2015-11-25)
売り上げランキング: 55,811

以上のような理由により、わたしは、アガサ・クリスティを探偵小説の世界から、即刻かつ永遠に抹殺することを提案いたします

ノックス・マシン』収録『引き立て役倶楽部の陰謀』本文より

法月綸太郎の短編集『ノックス・マシン』。

本格ミステリをこじらせたらこうなるのか。
たいへん楽しい。
ミステリのルールを逆手にとったというかルールそのものをミステリ化させるという斜め上の楽しさをまさに魅せてくれた小説だ。

収録話:
・「ノックス・マシン
・「引き立て役倶楽部の陰謀」
・「バベルの牢獄」
・「論理蒸発 ノックス・マシン2」

【ミステリ】仮面病棟

本→ミステリ
06 /05 2016
仮面病棟
知念実希人
実業之日本社文庫
仮面病棟 (実業之日本社文庫)
知念 実希人
実業之日本社
売り上げランキング: 6,950

刑事になだめられ、秀悟は黙り込む。自分の記憶に間違いはない。そう確信していた。しかし、刑事に繰り返し質問をされるうちに、その自信はゆっくりと、しかし確実にすり減ってきていた。
悪夢のようなあの夜の出来事、あれはどこまで現実だったのだろうか?

仮面病棟』本文より

知念実希人の『仮面病棟』。

この駆け抜けるような疾走感。
病院をジャックした犯人、彼が撃った女性を助けてから先、犯人との攻防、病院からの脱出の検討、病院の謎解き。
すべてが恐ろしいスピードで同時進行し、気付いたら読み終わっていたといういい読書体験だった。

ミステリでありアクションであり謎解きもあり、プリズン・ブレイクものでもあるとか最高じゃないですか。

【ミステリ】微笑む人

本→ミステリ
05 /01 2016
微笑む人
貫井徳郎
実業之日本社文庫
微笑む人 (実業之日本社文庫)
貫井 徳郎
実業之日本社 (2015-10-03)
売り上げランキング: 56,382

「誰だってそうだろ。理解できない理由で殺されたりしたら、怖いじゃないか」
「そんなこと言ったって、現実に起きてるんだからしょうがないじゃないですか」

微笑む人』本文より

貫井徳郎の『微笑む人』。

小説家が様々な人にインタビューして「本が増えたから邪魔な妻と子供を殺した」犯人の実像に迫っていくスタイルのミステリ。
少しずつ少しずつ犯人の人となり、真面目で完璧、とても人は殺せない家庭的な人。
でもその反証も出てきて二面性などが疑われ。

たぶんこうなるだろうなぁ、で、こういう嫌な終わり方をしていくんだろうというのがありありと想像でき。
そこから先がとんでもないひっくり返し方をしやがった。
思わず呆然、今まで感じた事ない読後感を感じさせられた。

なんて小説だ。

【ミステリ】サヴァイブ

本→ミステリ
01 /02 2016
サヴァイブ
近藤史恵
新潮文庫
サヴァイヴ (新潮文庫)
近藤 史恵
新潮社 (2014-05-28)
売り上げランキング: 24,527

だが、ときどき思うのだ。自分は逃げたことに変わりはなく、そして逃げはじめた人間は逃げ続けなければならないのだと。

サヴァイブ』本文より


すべてサクリファイスに関わる短編集『サヴァイブ』。
プロチームに居続けるむつかしさ。日本と世界のロードレース界の違い。
それに世界の壁、たどりつけないグランツールの世界。
肉体の限界。

どんな壁があっても、無理でも、それこそ自転車的な意味を含めてもがき続ける男たちの姿。
なにこの圧倒的なリアリティ感。
自転車乗りやロードレース好きには手に汗にぎるというか、嫌な汗もふくめて共感できる最高の小説じゃないか。
ああ、もうミステリ界隈からこれを手にして自転車を手にして、みんなもっとロードレースを盛り上げようぜ。

【ミステリ】ノエル

本→ミステリ
12 /20 2015
ノエル
道尾秀介
新潮文庫
ノエル: -a story of stories- (新潮文庫)
道尾 秀介
新潮社 (2015-02-28)
売り上げランキング: 141,570

どんな話なのだろう。本の中身を想像するこの時間が、莉子は大好きだった。

ノエル』本文より

道尾秀介の『ノエル』。クリスマスと絵本のもたらす奇跡。

ああ。
だがやっぱり道尾秀介なのだ。
ただでは奇跡へとたどり着かせてはくれないほどの厳しく顔をそむけたくなる現実に直面するそれぞれの主人公たち。
読んでて非常に辛い。
辛いがその奇跡ゆえの読後感もあるんだが…

でもやっぱりしんどさがずーんとくる。
しかし、それも良さだよなぁ。

【ミステリ】ロスト・ケア

本→ミステリ
07 /26 2015
ロスト・ケア
葉真中顕
光文社文庫
ロスト・ケア (光文社文庫)
葉真中 顕
光文社 (2015-02-10)
売り上げランキング: 73,529

検事さん、あなたたちが法律で僕をどのように裁こうとも、僕は正しいことしかしていません

ロスト・ケア』本文より

これでデビュー作とは…
介護という現代日本での問題そのものにスポットライトを当てた本作『ロスト・ケア』。
介護の地獄と、要介護者ばかりを殺してまわった犯人。
なぜ彼が40人以上もの人間を殺し、なにをなそうとしたのか。
そんなミステリ。

誰が犯人、どのようにして。
それはそんなに問題じゃなかった。
それは様々な小説やノンフィクション、果てはテレビから新聞まで様々なものがとりあげてきた。
社会的な問題、お金の格差で死が決まる。
それじゃない。
もちろん描いてくれてる社会派でもある。

それよりも舞台となっていく老人ホームとそこで働く人たちの優しい想い。
やさしさがそのまま殺人者を作っていくすさまじさ。
それでいて犯人を裁くことができるのは法律だけれども、誰もが彼を悪とは完全にはみなせないときたもんだ。
そういう気味悪さと現実味も持ち味。
それ以上には本当の犯人の目的。
見つかっても逮捕されても構わない。それでも犯行を続けて逮捕された理由。
そのミステリ、動機にこそぞわっとした。
最後の最後まで目が離せない展開だった。

【ミステリ】賞の棺

本→ミステリ
05 /31 2015
賞の棺
帚木蓬生
集英社文庫
賞の柩 (集英社文庫)賞の柩 (集英社文庫)
(2013/11/20)
帚木 蓬生

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何ゆえにあなたは私に殺されるべきか。それは、あなたが私の人生を賭けた仕事を葬り去り、成果を掠め取ったからです。その成果を踏み台にしてあなたは地位と名声を手に入れました。

賞の棺』本文より


ノーベル賞とデータの剽窃を巡った学術ミステリ『賞の棺』。
久しぶりに帚木蓬生の本を読んだら、安定の知的な本だった。
まさかノーベル賞を舞台にした殺人事件。そして踏み込むほどに暗い影を落としていく剽窃というテーマ。
誰が最初に発見したのか。
それによって栄光をつかむものもいて、利用され散っていくものもあり。
それらが当たり前のように存在していて、いつ同様のことが起こっておもおかしくないというリアル感のある小説だった。

∀ki(あき)

自由に生きてます。
色々読んだり見たりしてます。

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