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【ミステリ】追想五断章

本→米澤穂信
07 /21 2012
追想五断章
米澤穂信
集英社文庫
追想五断章 (集英社文庫)追想五断章 (集英社文庫)
(2012/04/20)
米澤 穂信

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だから、目先の変わった可南子の依頼に飛びついた。失われた断章を求める冒険は、ほんのひとときだけでも、芳光から現実を遠ざけた。
そのはずだったのに、集められた断章が示唆するものは、不幸ながらも彩りに満ちた人生。望むと望まないとにかかわらず、主人公に押し上げられた男の物語。その劇に芳光はいまや背を向けることしかできない。

追想五断章』本文より

この儚さ!

人生で誰の主役にもなれない者の、あがきを見た気がする。
自分には何もなく、何も語るものもなく、ただ埋もれていくだけの人生の苦しさが文学的に吐き出されながら、
その傍ではひとりの男が残した五断章が語る人生の苦しさとドラマがあった。

この対比のなんと儚いことか。
なにこの文学的な自分かわいそうオーラ。なんか太宰の随筆でも読んでいるかのようだ。

それでいてドラマチックな人生を送った男の残した謎に惹かれ、自分の儚さを少しでも満たそうとすることのなんと悲しきことか。

ミステリ×文学のような、実にこの本の主人公のひと時の輝きをみるかのようで、そして五断章を探しているときの儚い描写を思わせる風景を表す文章。
なんか、すごくマッチするんだよ。

浸った。
もうこの本を読んでいる間は、この本の持つ魅力全てに浸れた。

米澤さんがミステリじゃなくて、文学書いてもついていくわ。

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∀ki(あき)

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