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【小説】ブレイズメス1990

本→桜宮サーガ
08 /03 2012
ブレイズメス1990
海堂尊
講談社文庫
ブレイズメス1990 (講談社文庫)ブレイズメス1990 (講談社文庫)
(2012/05/15)
海堂 尊

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「天城先生がムダなものとして削ぎ落とす中には、"こころ"が含まれているんですね。実に危険です。市場原理に掉させば、医療は壊れてしまう」
天城は即座に言い返す。
「それは甘えだ。医療も社会の一要素なのだから、経済原則から逃れられない」
高階講師は食い下がる。
「市場原理に従えば、次は不採算部門の切り捨てと患者の選別になる。それは医療の自殺行為でしょう」

ブレイズメス1990』本文より


桜宮サーガのひとつ『ブラックペアン1988』の続編『ブレイズメス1990』。
前作と同じく後に極北市に向かう世良くんが主人公。
今回は天才外科医の天城雪彦と共に東城大学と日本の医療をゆるがす大手術を行う。

1990年を舞台にしながらも、現代に通じる医療問題が刺激的だった。
人の命に優先順位はあるのか。
そして命と金の狭間で揺れる医療に携わる人間たち。

その永遠ともいえるテーマと、滅私奉公のように医療に携わるままでいいのか。
いや、医者がお金をかせぎ、それをどう還元していくのかということこそが、実は必要なのではないのか。

それをまざまざと今回の主人公といえる変人で天才的な外科医の天城雪彦という人物を通して語っているかのようだった。

90年の医療との対峙。
たいへん興味深く読めたと思う。


それにしても最初のニースとモナコのシーンでカジノで運を見せつけ、全財産の半分を手術費用としてもらっていたという天城の設定にもぶっとんだわけだけれども、日本における医療の閉塞感をぶっとばすかのような持論の展開はとてもとても魅力的な題材でした。

あとは桜宮サーガならではの登場人物たちの過去も見れたので満足。
高階先生を含め、このあとの「ジェネラル・ルージュの伝説」に収録されている「伝説1991」のオペメンバーも揃っているところにぐぐっときた。


しかし、これは最初の問題提起を起したにすぎず、このあと天城先生はどうなっていくんだろうというのがとても興味深い。
いつか語られる日が来るのを待ちたいものです。

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∀ki(あき)

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