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【ミステリ】クロクヌレ!

メフィスト賞→真梨幸子
12 /09 2012
クロクヌレ!
真梨幸子
講談社文庫
クロク、ヌレ! (講談社文庫)クロク、ヌレ! (講談社文庫)
(2012/10/16)
真梨 幸子

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分かっている。そんなこと、言えない。知らぬが仏。そう、知らなくていいことが世の中にはごまんとある。なんでもかんでも秘密を暴き真実を知ろうとする人は、ただの、たちの悪い出歯亀だ。世界の九十パーセントは秘密でできている。それでいいじゃないか。

クロクヌレ!』本文より

真梨幸子の『クロクヌレ!』。

タイトルからしてまたどろどろのぐちゃぐちゃなのを予想していたら予想外の内容だった。

確かに真梨幸子の女性同士のどろどろや、現実の見えてない登場人物にイライラさせながらも、この本の本質がそうじゃないところにあるからこそ、物語が非常にシャープだったと感じた。

ミステリの到達点が設定されていて、それを味付けするかのようにこれまでの作品で見せてくれた現実にありそうなどろどろした人間関係が描かれてる。

お金を無心する兄の数々の手紙に辟易し、女性派遣社員の過去の栄光にすがりながら勤められる限界の年齢におびえながら仕事をこなしていく毎日というふたつの大きなストーリーもまたいいんだよな。

芸術家であり、けれど売れないからこそのお金の無心という奔放ながら地に足がついていない生活。
対比して地に足はついているけれども30を越え、派遣社員という働き方がそろそろできなくなることにおびえるという。
どちらもなんとかしろよと言われてもいますぐにどうにかなるものでもなく、すでに地に足をつけることは手遅れみたいな描写が実に今も問題になっているようなことで、そのぎりぎりの生き方にキリキリするんだよな。

ああ。
かと思いきや、結局この物語がそんな「イヤミス」で終わらなかったことがすごかった。
すべてがひとつに繋がると同時にあらたに登場人物たちが別の側面から全く違ったものを見せ始める。
ここで一つ目の真梨幸子というジャンルが結実したとすら感じてしまった。

フジコ以来の怒涛の真梨幸子の文庫化ラッシュもこれでラスト。
次からはあらたな真梨幸子の歩みが見れそうでそれも楽しみ。

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∀ki(あき)

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